相撲の聖地・東京墨田区で相撲文化に触れる旅 - 相撲ショー鑑賞編

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

大相撲が開催される「両国国技館」があり、力士たちが稽古に励む「相撲部屋」が多く点在する東京都墨田区。相撲文化を育み続ける聖地であり、下町情緒を感じさせる町の風景も魅力的だ。

今回紹介するのは、相撲の基礎知識を楽しく学べるショーを観覧したあと、墨田区の知られざる名所をガイドの案内付きで歩くツアー。和菓子づくりや提灯への江戸文字書き体験など、東京に息づく伝統工芸体験もできる。

※記載の料金や時間などのDATAは、一般の利用・見学の場合を記載しています。

目次

まずはショーを鑑賞し相撲の知識を楽しく学ぶ

本物の土俵が店内にある居酒屋「花の舞 江戸東京博物館前店」。土俵のほかにも、力士の手形や写真パネルなどが店内の随所に飾られ、大相撲ファンにはたまらない空間となっている。

この日はNetflix『サンクチュアリ -聖域-』に出演した、元力士も登場した。大相撲時代の四股名(力士としての土俵上での名前)は安大ノ浪(あおのなみ)
この日はNetflix『サンクチュアリ -聖域-』に出演した、元力士も登場した。大相撲時代の四股名(力士としての土俵上での名前)は安大ノ浪(あおのなみ)

この居酒屋を会場として開催されているのが、元力士による相撲ショー。相撲の歴史、稽古内容、決まり手(勝利を決めた技)、禁じ手(反則技)など相撲の基礎知識を、デモンストレーションを交えてわかりやすく教えてくれる。

元力士が「四股」を踏むシーンは最初の見どころ
元力士が「四股」を踏むシーンは最初の見どころ

ショーの中盤では取り組み(試合)も行われる。デモンストレーションとはいえ、鍛えられた元力士によるぶつかり合いは迫力満点。

目の前で繰り広げられる白熱の取り組み。タマリ席(大相撲の本場所において、最も土俵に近い席)で観戦しているような気分になる
目の前で繰り広げられる白熱の取り組み。タマリ席(大相撲の本場所において、最も土俵に近い席)で観戦しているような気分になる

希望者は「相撲スーツ」とかつらを身につけて、土俵に上がることも可能。元力士との“大一番”(大事な試合)は、ショーの中で最も盛り上がるポイント!相撲のパワーを体感できる。

元力士のパワーを、身をもって体感できる
元力士のパワーを、身をもって体感できる
元力士と土俵上で記念撮影もできる
元力士と土俵上で記念撮影もできる

最後は元力士監修の「ちゃんこ」(力士の身体を作る食事)を味わいつつ、質問タイム。この日は日本の相撲文化や、相撲をはじめたきっかけ、現役時代の苦労などさまざまな質問が飛び出した。元力士は素朴な疑問にも丁寧に答え、参加者の相撲に対する理解をより深めてくれた。

最後に質問タイムが設けられる。楽しく相撲文化を学ぶことができる、ツアーの最初にふさわしいプログラムだ
最後に質問タイムが設けられる。楽しく相撲文化を学ぶことができる、ツアーの最初にふさわしいプログラムだ
「ちゃんこ」を味わいつつショーを楽しむことができる
「ちゃんこ」を味わいつつショーを楽しむことができる

基本情報

日本語名称
元力士による相撲ショー&ちゃんこランチ
郵便番号
130-0014
住所
東京都墨田区亀沢1-1-15 はなの舞 江戸東京博物館前店(体験場所)
電話
050-3699-4344(スモプロ<株式会社シリウス>)
アクセス
地下鉄都営大江戸線「両国」駅から徒歩約3分

※「はなの舞 江戸東京博物館前店」は体験場所のため、プログラムに関する問い合わせはスモプロ(株式会社シリウス)へ

相撲文化を育んだ東京下町の魅力に触れるまち歩きガイドツアー

東京のシンボルリバー・隅田川の畔でガイドと合流し、墨田区・向島を歩くツアー。向島は東京スカイツリーの膝元に広がる下町で、相撲部屋や史跡も多く点在する。

浅草(台東区)側から隅田川越しに見る東京スカイツリー
浅草(台東区)側から隅田川越しに見る東京スカイツリー

まずは浅草地区(台東区)と向島地区を結ぶ「すみだリバーウォーク」を渡る。鉄道の線路に沿って設けられた全長約160mの遊歩道で、2020年に完成。この遊歩道の完成により、浅草・東京スカイツリーという2つの観光名所を徒歩で往来しやすくなった。

東武スカイツリーラインと並行するように架けられた「すみだリバーウォーク」
東武スカイツリーラインと並行するように架けられた「すみだリバーウォーク」
「すみだリバーウォーク」から見た隅田川。吹き抜ける風が心地よい
「すみだリバーウォーク」から見た隅田川。吹き抜ける風が心地よい

「すみだリバーウォーク」を渡り終えると、鉄道高架下の商店街「東京ミズマチ」や「隅田公園」が広がるエリアに到着する。隅田公園は緑豊かで、とても開放的な雰囲気。川をひとつ越えただけで、都心部とは異なるのどかな風景が広がっていることに参加者は驚いた様子だった。

隅田川沿いの河川敷において毎年7月に開催される、「隅田川花火大会」の様子をパネルで伝えるガイド
隅田川沿いの河川敷において毎年7月に開催される、「隅田川花火大会」の様子をパネルで伝えるガイド

続いて隅田公園内に鎮座する「牛嶋神社」を参拝。860年に創建された長い歴史を有する神社で、5年に一度「牛嶋神社大祭」が行われることでも知られる。

総桧権現造り(そうひのきごんげんづくり)と呼ばれる建築様式で建てられた、荘厳な社殿
総桧権現造り(そうひのきごんげんづくり)と呼ばれる建築様式で建てられた、荘厳な社殿

境内に祀られているのは「撫牛(なでうし)」と呼ばれる像。自分の身体の悪い部分と、牛の同じ部分を撫でると病が治ると伝えられており、多くの参拝客がこの撫牛に触れていく。

境内に祀られている「撫牛(なでうし)」。自分の治したい部分と、牛の像の同じ部分を触ると病気や怪我が治るという
境内に祀られている「撫牛(なでうし)」。自分の治したい部分と、牛の像の同じ部分を触ると病気や怪我が治るという

メジャーな観光名所だけでなく、地元住民が散歩で立ち寄る隠れたスポットにも案内してくれるこのツアー。東京の知られざる一面に気づくことができるはずだ。

ツアーでは神社の参拝方法なども丁寧に教えてくれるので、日本文化をより深く知るきっかけとなる
ツアーでは神社の参拝方法なども丁寧に教えてくれるので、日本文化をより深く知るきっかけとなる

基本情報

日本語名称
すみだまち歩きガイドツアー
電話
03-6657-5160(墨田区観光協会)

和菓子の繊細な魅力に触れる貴重な職人体験

老舗の和菓子店が点在しており、店巡りも楽しい向島エリア。そのなかの1軒である「埼玉屋小梅(さいたまやこうめ)」は、京都大納言小豆を使用するなど素材にこだわった菓子作りを1897年の創業以来続けている。

東京スカイツリーから徒歩7分ほどの場所にある老舗和菓子店「埼玉屋小梅」
東京スカイツリーから徒歩7分ほどの場所にある老舗和菓子店「埼玉屋小梅」

こちらでは、ツアー参加者限定で和菓子作り体験が可能。まず店主が見本として手やヘラを使って和菓子の形を整え、紋様を施していく。手際よく美しい和菓子が次々と完成する様子を見て、参加者は嘆声を上げていた。

和菓子作り体験がスタート。まずは店主が手本を見せてくれる
和菓子作り体験がスタート。まずは店主が手本を見せてくれる

実際に和菓子作りに挑戦。店主の手ほどきを受けながら形を整えていき、参加者のほとんどが初挑戦ながら出来栄えは上々の様子だ。一口に和菓子作りと言っても、ヘラを使っての紋様付けや薄い布で包んでの成形など、技法はさまざま。体験を通して和菓子の奥深さに触れることができる。

店主による見本。味だけでなく、造形や色彩の美にも惹き込まれる
店主による見本。味だけでなく、造形や色彩の美にも惹き込まれる
繊細さを求められる和菓子作り。参加者は思わず会話を止め、ついつい夢中になって臨んでいた
繊細さを求められる和菓子作り。参加者は思わず会話を止め、ついつい夢中になって臨んでいた

基本情報

日本語名称
埼玉屋小梅
郵便番号
131-0033
住所
東京都墨田区向島1-5-5
電話
03-3622-1214
定休日
月曜(1日、または祝日の場合は水曜)
時間
9:00~19:00
アクセス
東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー駅」から徒歩約7分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト

体験に関する予約・問い合わせ先 墨田区観光協会

電話
03-6657-5160
公式サイト
公式サイト

相撲の「番付表」でもおなじみの「江戸文字」を描く体験

「江戸文字」を描く職人の工房、「アトリエ創藝館」を見学。「江戸文字」とはお祭りの提灯や寿司店の木札などに描かれることの多い、独特の書体である。

ダイナミックな「江戸文字」が描かれた提灯が、無数に吊るされる様は圧巻
ダイナミックな「江戸文字」が描かれた提灯が、無数に吊るされる様は圧巻

相撲の番付表(力士を横綱・大関・関脇などクラス順に記した一覧表)に使用されている文字「相撲文字」も江戸文字の一つで、「隙間なく客席が埋まりますように」と願いを込めて隙間なく間を詰めて太文字で書かれている。

江戸文字職人の大石智博さんは、この道40年以上。体験の前にレクチャーを受ける
江戸文字職人の大石智博さんは、この道40年以上。体験の前にレクチャーを受ける

こちらの工房では、提灯に江戸文字を描く体験が可能。見本となる漢字がテーブル上に並べられており、参加者は好きな文字を選べる。「福=Happy」「愛=Love」のように、漢字はそれぞれに意味を持つ。参加者はみな真剣に、これから描く漢字を選んでいた。

数ある漢字のなかから、これから提灯に描く文字を選ぶ
数ある漢字のなかから、これから提灯に描く文字を選ぶ

まずは輪郭を描き、その中を墨で満遍なく塗りつぶしていく。見本があるため一見簡単そうに見えるが、提灯の凹凸も考えながら描き進めなくてはならず実はなかなか難しい。

見本を見ながら、文字を描いていく。墨を何度も重ねて塗ることで、美しさが増す
見本を見ながら、文字を描いていく。墨を何度も重ねて塗ることで、美しさが増す

一部、職人の手を借りながら、自ら描いた江戸文字が入った提灯が完成。粋な江戸文化に触れる貴重な体験となった。

江戸文字を自ら描いた提灯が完成。法被(祭りなどに着用される日本伝統の上着)は撮影用に貸してもらえる。提灯は折り畳めるので、持ち帰りやすいのもポイントだ
江戸文字を自ら描いた提灯が完成。法被(祭りなどに着用される日本伝統の上着)は撮影用に貸してもらえる。提灯は折り畳めるので、持ち帰りやすいのもポイントだ

基本情報

日本語名称
アトリエ創藝館
郵便番号
130-0003
住所
東京都墨田区横川3-8-2
電話
03-3622-2381
アクセス
JR総武線「錦糸町」駅から徒歩約10分

体験に関する予約・問い合わせ先 墨田区観光協会

電話
03-6657-5160
公式サイト
公式サイト

まとめ

いかがでしたか?
今回のツアーではショーで相撲の魅力に触れ、相撲文化を育んだ墨田区の町を歩き、江戸の伝統工芸も体験することができた。東京の知られざる一面に触れられる特別なツアーを、ぜひ体感してほしい。

また、一般には公開されていない相撲部屋を実際に見学する、「相撲の聖地・東京墨田区で相撲文化に触れる旅 - 相撲部屋の朝稽古見学編」でも同じく相撲文化を深く体験できるツアーを紹介している。ぜひ、合わせてご一読を。