鬼の舌震

中国山地から宍道湖に流れこむ斐伊川の支流・大馬木川。急流が長い年月をかけて岩を削り、約2kmにわたる大峡谷が造られた。「鬼の舌震」という名前は『出雲国風土記』に登場する「ワニ（サメ）が美しい女神（玉日名命）を恋い慕う」というエピソードから付いたとされている。

V字型の峡谷の左右には大天狗岩・小天狗岩など高さ60ｍを超える岩壁がそびえ立ち、谷底には奇岩・巨岩が点在。巨石の上に直立する「水瓶岩（はんどいわ）」、人気アニメの主人公が修行の際に刀で斬った大岩に似ていると評判の「鬼の試刀岩」といった個性豊かな岩が独特の景観を生み出し、国の名勝及び天然記念物に指定されている。新緑や紅葉の季節は特に美しく、訪れる人も多い人気のシーズンだ。

渓谷沿いに設けられた約2kmの遊歩道はバリアフリー仕様。長さ160ｍ、高さ45ｍの「舌震“恋”吊橋」を含め、宇根駐車場から下高尾駐車場までの全区間が車いすでも通行可能になっている。