相撲の聖地・東京墨田区で相撲文化に触れる旅 - 相撲部屋の朝稽古見学編
今回紹介するのは、一般には公開されていない相撲部屋を見学したあと、隅田川クルーズへと出航し、国技館周辺の名所を巡る旅。真剣に稽古する力士を間近に見ることができる特別な体験ツアーだ。
※記載の料金や時間などのDATAは、一般の利用・見学の場合を記載しています。
朝稽古の後は親方を囲んでちゃんこを堪能
墨田区には力士たちが共同生活を送り稽古に励む「相撲部屋」が、14点在している。ツアーではその時々で異なる相撲部屋を見学する特別な体験ができる。
力士たちは朝の7時からハードな稽古に励む。とくに攻め手と受け手に分かれてぶつかり合う「ぶつかり稽古」は迫力があり、見学する側も思わず力が入る。
激しい稽古を見学したあとは、お楽しみの食事タイム。ツアーでは親方を囲んで「ちゃんこ」を味わう体験ができる。大相撲界のスターと、至近距離でふれあうことができる機会はとても貴重。
「ちゃんこ」とは、相撲部屋で出される食事全般を指す言葉。一度にたくさんの量を調理しなければならないため、鍋料理であることが多い。体作りも重要な仕事であるため、食事の時間は力士にとって重要な時間と言える。
この部屋では力士たちが「ちゃんこ番」(料理を作る役割)をローテーションで担当している。味付けに決まりはなく、塩や醤油のほか、コンソメや中華スープ味のちゃんこも食しているそう。
親方や力士たちは参加者からの質問に丁寧に答え、食事会も終始和やかなムード。参加者は力士とのふれあいと、おいしいちゃんこに大満足の様子だった。
稽古は力士たちにとって大切な時間であるため、会話は控えめにするなど配慮が必要。また、写真撮影のルールも部屋によって異なるので事前に確認しよう。
基本情報
- 電話
- 03-6657-5160(墨田区観光協会)
※訪れる部屋によって稽古内容や食事の内容は異なる
遊覧船で隅田川クルーズへGO
東京のシンボルリバー・隅田川。東京湾に注ぐ全長23.5キロメートルの河川で、この川沿いに位置する両国や浅草は江戸(「東京」と呼ばれる前の古い呼称)随一の盛り場として発展した。
そんな隅田川を遊覧船「がれおん」に乗ってクルーズ。まずは水辺に沿って広がる商店街「東京ミズマチ」を横目に、水路を進んでいく。
水門を抜けるといよいよ隅田川。一気に景色が開き、心地よい風に包まれる。隅田川に架かる橋の美しさも見もの。コースによっては、屋形船(宴会を楽しめる船)が多く停泊する神田川へ足を伸ばすこともある。
江戸の一大中心地であったエリアを、水上から見学するツアー。「水都」とも称される東京の美しさを、改めて感じられた。
基本情報
- 日本語名称
- 下町探検クルーズ がれおん
- 電話
- 03-5858-6877
- 公式サイト
- 公式サイト
大相撲の聖地を巡るまち歩きガイドツアー
隅田川の畔で町歩きツアーのガイドと合流。江戸の中心地のひとつであり、相撲の聖地である両国エリアの魅力に迫っていく。
まず訪れたのは、江戸時代の日本庭園「旧安田庭園」。常陸国・笠間藩主(ひたちのくに・かさまはんしゅ)である本庄因幡守宗資(ほんじょういなばのかみむねすけ)によって、元禄年間(1688〜1703)に築造されたと伝えられる。明治時代の1879年に安田財閥の祖である、安田善次郎氏の所有となった。
初夏の新緑、秋の紅葉など季節ごとに美しい風景を見せる、まさに都会のオアシスだ。
旧安田庭園のすぐ北側に位置する、「刀剣博物館」を見学。日本刀を保存・公開し日本刀文化の普及に努めている、日本美術刀剣保存協会の附属施設だ。
「日本刀」は武器という性質以外に美術工芸品としての側面が強く、海外からも強い関心が寄せられている。美しくライティングされて展示された日本刀を間近で見ると、「刃文(はもん)」と呼ばれる紋様が美しいことに気付かされる。
また、大相撲において日本刀は権威の象徴でもあり、横綱(最高位の力士)は「太刀持ち」と呼ばれる力士を従えて土俵に入る。「大相撲」と「日本刀」は切っても切り離せない関係なのだ。
いよいよ、大相撲が開催される巨大な「両国国技館」が間近に迫ってきた。1万人以上の観客を収容する相撲の聖地であり、歴史に刻まれる数々の名勝負を生み出している。
ガイドは国技館の前で、パネルなども用いて相撲に関する知識を丁寧に説明してくれる。先程まで、相撲部屋で力士とのふれあいを楽しんでいたツアー参加者たち。相撲に対する関心が最大限まで高まっており、ガイドによる説明を熱心に聞いていた。
力士像や歴代横綱の手形が点在する国技館通りを抜け、最後にやってきたのは「回向院(えこういん)」という寺院。1657年に江戸で起こった大火災の際に亡くなった、身元や身寄りのわからない人びとを弔うために御堂を建てたのがはじまりだ。
回向院は相撲とも深い繋がりがある。江戸時代には公共社会事業の資金集めのための「勧進相撲」という興行が江戸各地で行われており、回向院境内でも1768年にはじめて相撲が開催されている。
1833年からは同院で相撲興行が定期的に行われるようになり、両国国技館が建てられる1909年まで春秋2回相撲が行われていた。この興行は現在の大相撲の前身とされている。
境内にある「力塚」は、1936年に相撲協会により建立された巨大な碑。現在でも新しく入門した力士が力を授かるよう祈願する習わしが続いており、運が良ければこの「聖地」で力士と遭遇できるかもしれない。
基本情報
- 日本語名称
- すみだまち歩きガイドツアー
- 電話
- 03-6657-5160(墨田区観光協会)
まとめ
いかがでしたか?
今回は相撲部屋での朝稽古見学のあとクルーズを楽しみ、大相撲の聖地でもある両国を散策。特に相撲部屋で親方や力士とふれあう体験は貴重で、一生の思い出となるはず。
また、ショーの観覧などで相撲文化の基礎知識が学べる「相撲の聖地・東京墨田区で相撲文化に触れる旅 - 相撲ショー鑑賞編」でも同じく相撲文化を深く体験できるツアーを紹介している。ぜひ、合わせてご一読を。