
海に浮かぶ舟屋が連なる京都・伊根町の人気観光スポット9選
「伊根町(いねちょう)」は京都府北部、日本海に面した舟屋が建ち並ぶ珍しい港町だ。
独特の構造の舟屋が海に浮かんでいるような景観は必見。
日本の原風景ともいえる美しい海辺の町並みは、国内外から注目される観光地のひとつだ。
本記事では、「伊根町」の魅力と人気観光スポットを中心に紹介していく。
他では出会えない日本ならではの風情に触れたい人は、ぜひ足を運んでほしい。
伊根町ってどんなところ?
「伊根町」は、京都府北部・丹後半島の北東端、日本海に面した風情ある港町だ。
海沿いに建ち並ぶ約230軒の「舟屋」は、1階が船のガレージ、2階が居住スペースという独特の造り。
まるで海に浮かぶような家々の姿は、日本でも非常に珍しい景観として知られている。
その景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている。
舟屋群は、伊根湾をめぐる遊覧船から見学、町を散策しながらの間近に鑑賞、展望台から一望するなど、多彩な楽しみ方ができるのも魅力。
旬の魚介を贅沢に使った「漁港めし」や「スルメの一夜干し」「サザエ塩漬け」「サバのへしこ」など、地元ならではのグルメも楽しめる。
特に伊根湾は日本有数のブリの漁場であり、寒ブリが旬を迎える冬には、脂がのったブリを味わえる。
穏やかな海辺の町で、四季折々の魅力に触れてみてほしい。

伊根町のおすすめの観光シーズンは?
気候が穏やかな春(3月〜5月)がお勧めだ。
舟屋の街並みを散策しやすく、遊覧船からは柔らかな日差しのもとで舟屋を眺められる。
また、魚介を楽しむ目的であれば、冬(12月〜2月)が適している季節だ。
海水温が低いため、脂がのった「サワラ」や「タイ」、「イカ」などが旬を迎える。
特に伊根湾で水揚げされる「寒ブリ」や「冬イカ」は冬ならではの味覚のため、狙って訪れたい。
伊根町の季節ごとの着衣例
- 春(3月 -5月):軽めのジャケットおよび薄手のセーター
- 夏(6月 -8月):薄手の着衣、半袖
- 秋(9月 -11月):軽めのジャケット、コート
- 冬(12月 -2月):コート、厚手のセーターやジャケット
伊根町への移動方法は?
「伊根町」へは、京都駅からは電車とバスで約3時間。
京都市内から車やレンタカーを使えば約2時間で到着する。
大阪駅からは電車とバスで約3時間30分、大阪市内からレンタカーを利用すると約2時間30分でアクセス可能だ。
電車利用する場合は、京都駅・大阪駅いずれも、天橋立駅または宮津駅で下車し、そこから路線バスで「伊根町」へ向かうのが一般的だ。
伊根町観光の主要交通手段
「伊根町」内の観光手段は、伊根線(上宮津公民館〜伊根郵便局前)と蒲入線(上宮津〜経ヶ岬)のバスと、予約型乗合交通「いねタク」の2種類だ。
いねタクを利用すれば、バス停まで行かずに移動可能。
専用サイトから時間指定して予約すると、タクシーを呼べるため、待ち時間を最小限に効率よく周れる。
景色も文化も満喫!伊根町の人気観光スポット9選
伊根町には、海とともにある暮らしや自然、歴史を感じられるスポットが点在している。
のどかな湾の風景や伝説が残る神社、穏やかな海辺の遊び場や文化施設など、すべてが伊根の海と深くつながっているのが魅力だ。
ここで紹介する人気観光スポットに訪れることで、この町ならではの風土や営みに触れられるだろう。
1. 伊根の舟屋
古くから漁業が盛んな京都府北部に位置する伊根湾。
海沿いには、漁に使用する船置き場として一階部分が海と繋がる「舟屋」と呼ばれる建物が軒を連ねている。
約5kmに渡り、約230軒の舟屋が並ぶ景観は全国的にも珍しく、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
舟屋は元来、漁で濡れた木造船を海から引き揚げて乾かしたり、雨風や虫から船を守ったりすることを目的とした施設。
一階は船の収納場として、二階は網の干場や漁具置き場として使われていた。
近年は船も大型化が進むなどで船を引き上げずに舟屋の前に係留している家が多い。

2. 浦嶋神社
日本のおとぎ話『浦島太郎』の発祥の地とされる「浦島神社」。
825年に丹後の豪族であった浦嶋一族の業績を称えて建立されたと伝えられている。
神社内の宝物(ほうもつ)資料室には、国指定重要文化財の「浦嶋明神縁起絵巻」や「乙姫小袖」、「玉手箱」などが展示されている。

3. 泊海水浴場
「泊(とまり)海水浴場」は京都府の丹後半島北東部に位置する伊根町の海水浴場で、地元住民に親しまれる穴場的なビーチ。
入り江状の地形により波が穏やかで、遠浅の海岸は小さな子ども連れの家族でも安心して楽しめる環境が整っている。
海水浴場の遊泳期間は例年7月中旬から8月中旬までで、午前10時から午後4時まで監視連絡員が常駐する。

4. 道の駅 舟屋の里伊根
「舟屋の里伊根」は根天然の良港として知られる伊根湾を見下ろす高台にある道の駅。
伊根湾の沿岸に約230軒の建屋が連なる観光名所「伊根の舟屋」を一望できるビュースポットとしても知られる。
施設内には、伊根漁港で水揚げされた魚介を使った料理を提供するレストランと食事処、地元の特産品や海産物を扱うお土産店などがある。

5. のろせ海岸
「のろせ海岸」は、日本海を見渡せる海岸線。
丹後半島の東側に面し、西側からの風が強くなる冬でも波が穏やか。
沖合には、天然記念物の鳥の繁殖地である冠島(かんむりじま)と沓島(くつじま)が見える。
「のろせ海岸」の穏やかな波と潮風が感じられるドライブで立ち寄るのがお勧めだ。

6. 本庄浜海水浴場
京都府伊根町に位置する「本庄浜海水浴場」は、日本最古の浦島太郎伝説が伝わる「浦嶋神社」のすぐそばにある静かなビーチ。
物語に登場する「常世の浜」はこの海岸といわれており、その物語の通りの美しい海岸が広がっている。
地元民に親しまれているビーチは遠浅で透明度が高く、家族連れでも安心して遊べるのがうれしい。

7.新井崎神社
新井崎神社は、中国・秦の始皇帝の命で不老不死の薬草を求めて海を渡ったと伝わる徐福を祀っている。
徐福は伊根湾のこの地に辿り着いたのちに新井崎に住み着き、里人に医薬や天文、占い、漁業、農耕などを教えたという。
死後は里人たちによって産土神として新井崎神社に祀られ、海上安全と漁業の神として信仰を集めている。

8. 伊根湾めぐり遊覧船
海上タクシーか伊根湾めぐり遊覧船に乗り、舟屋の街並みを鑑賞できる。
どちらも所要時間は約25分、地元の船頭が船上からの撮影スポットや舟屋の歴史をわかりやすく案内してくれる。
有料で船上に群がるカモメにエサをあげられるサービスも。
舟屋は映画「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」のロケ地としても有名。
牡蠣の養殖場や青島など漁村の風景も見られるのが特徴だ。

9. 伊根町観光交流施設 舟屋日和
「伊根町観光交流施設 舟屋日和」は、舟屋が並ぶエリアに休憩や食事ができる場所がないという声に応えて設立された。
伊根湾を眺めながら、そこで水揚げされた魚や仕入れた農産物を使った料理、自家製の干物や地酒を味わえる。
建物は街並みに溶け込むように色を合わせており、観光地ではあるが地元民の暮らしを追体験できるような場所だ。

伊根町ならではの景観も楽しめる人気飲食店3選
ここで紹介する「伊根町」の人気飲食店は、全て複合施設「舟屋日和」内にある。
舟屋の景観を眺めながら食事が楽しめる特別な空間で、伊根漁港の新鮮な魚介や京都府産の食材を味わえる。
全国でも珍しい舟屋群を見ながら食事できる、「伊根町」の人気飲食店を3つ紹介しよう。
1. レストラン 舟屋
「レストラン舟屋」は、舟屋と伊根湾が一望できる高台に建つ道の駅「舟屋の里伊根」にある定食屋。
漁師の家に生まれた同店の支配人が毎朝漁港で仕入れた魚を、様々な料理で提供。
人気メニューは、刺身4種盛りと煮魚をセットにした「舟屋定食」、日替わりで異なる魚を味わえる「舟屋海鮮丼」、数量限定の「あら煮定食」の3つ。
季節ごとにおすすめが異なり、冬にはブリの刺身やしゃぶしゃぶコース、5〜8月は伊根湾で3年以上育てられた岩牡蠣なども味わえる。
売店では地元名物の魚のぬか漬け「へしこ」、一夜干しなどを販売。

2. 海宮
「海宮(わだつみ)」は、地魚と地酒を味わえる寿司割烹店。
店名は海の神様である「ワダツミ」と伊根町に残る浦島伝説の「龍宮」から名付けた。
同店のメニューは魚尽くしなのが特徴。
水揚げされてばかりの魚の鮮度を保ったまま味わえる、贅沢なメニューが揃う。
昼は寿司5貫、地魚のお造り、煮魚か焼魚がついた「わだつみ寿司御膳」、夜は魚のフルコース「季節の御膳 浦凪(うらなぎ)」と「季節の御膳 魚見(いおみ)」、季節限定で「伊根産岩牡蠣」などを提供する。

3. INE CAFE
「INE CAFE」は、伊勢湾を眺めながら地元食材を使ったスイーツを食べられる。
店内のどこからでも海が見えるようデザインされているのが特徴だ。
特に夕暮れの時間帯は、夕焼けに染まる海の色や海に反射する舟屋の灯りが幻想的。
伊根町産の卵とチーズの風味を感じる「チーズケーキ」。
その他か「ガトーショコラ」「自家製はちみつのレモネード」「丹後ジャージー牛100%のジェラート」なども揃う。

この町ならではの特別な体験ができる!伊根町のお勧め宿泊施設3選
「伊根町」の宿泊施設は、舟屋を一望できる唯一無二の体験が魅力だ。
海や山と一体になったような静寂の中で、「伊根町」ならではの景色と暮らしを感じられる。
特別な宿泊体験を求めて一泊したい方に向けて、伊根町で泊まるべき宿泊施設を3つ紹介しよう。
1. 油屋別館 和亭
「油屋別館 和亭」は、全12室すべてが日本海を望む露天風呂付きの贅沢な宿。
客室の広い窓や露天風呂からは雄大な海の景色を楽しむことができ、特に夕暮れ時の眺めは格別だ。
客室はどの部屋もゆったりとした造りで、展望デッキやテラス、囲炉裏、掘りごたつを備えるなど、贅沢な空間が広がる。
温泉は自家堀の天然温泉で、つるつるすべすべの肌に優しいとろみのある湯が特徴。

2. 大平荘
「大平荘」は舟屋にある食事提供なしの素泊まりの宿。
客室は1階と2階にあり、どちらも窓の外から伊根湾を眺望できる。
客室に入ると窓から海の景色が広がる1階にある「なみおとの間」。
信楽焼の風呂釜に浸かりながら、窓から見える海をゆっくり眺めて寛げる。
2階にある「つきあかりの間」は、1階よりも窓が大きく最大4人まで宿泊可能だ。

3. 舟宿 壱
「舟宿 壱(いち)」は一日一組限定で、一棟貸し切りの宿泊施設。
海に面した舟屋をリノベーションしたこの宿は、海と山との一体感を楽しめて、周りの観光客を気にせずに自宅のようにくつろげる贅沢さが魅力だ。
宿が提供する竿を使って釣りができ、釣った魚は屋外のシンクで捌ける。
また、宿から「うめや本舗」でのにぎり寿司体験の予約も可能だ。
にぎり寿司体験は、宿ではなく町内にある「うめや本舗」で、大将と一緒に丹後の郷土料理であるばら寿司を作って楽しめる。

伊根町観光に関するよくある質問
Q
京都市内から伊根町は日帰りで観光できる?
京都から片道2〜3時間なので、日帰り観光も可能です。
Q
伊根町には地酒はあるの?
向井酒造の「京の春」や「伊根満開」などがあります。
まとめ
この記事では、「伊根町」の象徴である舟屋をはじめ、自然・歴史・暮らしに根ざした魅力的なスポットを紹介してきた。
どの場所からも、海と人が共に生きる町ならではの風景や文化が感じられ、静かな港町の豊かさに触れられるだろう。
四季折々に変化する海辺の景観や、伝説が残る神社、地元の味が楽しめる施設などを巡れば、「伊根町」の奥深さを体感できるはずだ。
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