
道の駅を拠点に京都・三重・奈良の知られざる魅力に出会う3日間の旅へ
地域の特産品やグルメなど、その地域ならではの体験ができる「道の駅」。
この記事では、そんな道の駅を拠点に、京都・三重・奈良をディープに楽しむ旅のプランを紹介する。
茶摘みや製茶工場見学、地酒の飲み比べ、薬草を使用した創作イタリアン、日本最古の道のウォーキングなど、観光地化された場所では味わえない体験を通して、地域の人々や自然に触れ、心と体を癒す時間を過ごせる。
3日間の宿泊先は、いずれも道の駅に近接する「フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅プロジェクト」のホテル。
快適でシンプルな滞在環境を提供するこのホテルは、あえてレストランや大浴場は設けていない。
だからこそ、道の駅や周辺施設を活用する機会が増え、地域の魅力にじっくり触れられる旅となるだろう。
また、紹介する旅のプランの行き先は公共交通機関よりも、さらに自由に旅を楽しめるレンタカーがお勧めだ。
1日目|京都・南山城村で宇治茶の魅力に五感で触れる
京都府で唯一の“村”として知られる「南山城村」。
1日目は、この村にある「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」を拠点に、日本茶を代表するブランド「宇治茶」の名産地ならではのグルメと体験を楽しむ。
京都駅から車で約1時間30分。山と川に恵まれ、斜面に沿って茶畑が広がる自然豊かな村だ。
南山城村ならではの体験ができるプランを紹介していこう。
「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」で“お茶づくし”のランチ&スイーツ
南山城村の観光拠点となるのが「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」。
年間約60万人が訪れ、2024年発売の雑誌『道の駅最強ランキング』で全国第1位に輝いた注目のスポットだ。
まずは施設内にある「村風土食堂つちのうぶ」で腹ごしらえ。
抹茶を練り込んだ茶そばや抹茶天重、旬の食材を使った小鉢、抹茶ドレッシングがかかったサラダがセットになった「お茶づくし御膳」をランチにいただこう。お茶の香りや風味を存分に堪能できる一品だ。
ランチだけでなく、平日なら8:00~9:30、土日祝は7:30~9:30の朝食営業も行っており、2日目の朝食も「村風土食堂つちのうぶ」で味わうのがお勧め。
食後のデザートは、同じく施設内にある茶処「村茶屋」で。
南山城村の特産品「村茶」を使用した多彩なメニューの中でも、暑い時期には抹茶ソフトクリームや冷やしぜんざいなどの季節限定スイーツがお勧めだ。
「村茶」を使ったオリジナル商品や地元で採れた新鮮な野菜などが並ぶ「のもん市場」にも、立ち寄ってみてほしい。
-
「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」の外観
-
「村風土食堂つちのうぶ」のお茶づくし御膳
-
茶処「村茶屋」で購入できる季節限定販売の冷やしぜんざい
-
村茶を使用した様々なオリジナル商品が並ぶ「のもん市場」
“お茶の村”ならではの体験!茶摘み&製茶工場見学
南山城村は、茶葉の栽培に適した気候や地形に恵まれており、古くから宇治茶の銘産地として知られてきた。その歴史は230年以上に及ぶ。
現在では 50 戸の農家が、総面積約 204ha の茶園でお茶を栽培しており、高級ブランド宇治茶を支える産地として、京都府産のお茶の約2~3割を南山城村で生産している。
新茶の季節(4下旬~5月上旬頃)になると、淡い緑色の茶畑に鳥のさえずりだけが響く、静かでリラックスできる環境が広がる。
そんな南山城村では、茶摘み体験ツアーに参加するのがお勧め。
自らの手で茶葉を摘み、その場で摘み立ての生茶葉を味わう贅沢なひとときを体験できる。
宇治茶を製造する「辻本製茶工場」を訪問し、茶葉が製品になるまでの工程も見学してみよう。
また、辻本製茶工場で作られたお茶は、「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」でも購入できる。
-
淡い緑色の茶畑が広がる絶景
-
若々しい新芽を手で摘んでいく
-
摘み立ての生茶葉をその場で味わう
-
製茶工場の見学も楽しめる
「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ」に宿泊
1日目の宿は、道の駅に隣接する「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ」。
ロビーには、茶畑や周辺の自然景観、観光スポットの写真が飾られ、茶臼やティーセット、お茶に関する本なども置かれた、南山城村の魅力を感じられる空間が広がっている。
また、一部の客室からは、茶畑の広がる美しい景色を望める。
訪れる時期によっては、黒いシートで覆われた「かぶせ茶」の栽培風景が広がる景色を楽しめるのも魅力だ。
館内のマーケットプレイスでは、道の駅オリジナルのプリンやパウンドケーキに加え、南山城村のお茶や、周辺エリアのクラフトビールなどを販売。
ホテルにいながら南山城村の魅力を存分に味わえるだろう。
-
「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ」の外観
-
京都の文化を感じられるロビーラウンジ
-
村茶を味わえる商品が並ぶマーケットプレイス
-
快適かつシンプルな客室
2日目|三重・伊賀から奈良・宇陀へ、地域の食材を味わうグルメ体験
伊賀の老舗「大田酒造」で地酒を飲み比べ
南山城村から車で約30分。伊賀の老舗酒造「大田酒造」の直売所「酒蔵りかこ」へ。
三重県産・伊賀産の酒米を主に使い、伊賀の風土に合わせた旨味ある地酒「半蔵」などを醸造している。
なかでも「純米大吟醸磨き 40」は、G7伊勢志摩サミットで各国首脳に乾杯酒として振る舞われた銘酒。
伝統が息づく酒造の直売所では、複数の銘柄を試飲できる。
「純米大吟醸磨き 40」をはじめ、個性豊かな日本酒を飲み比べて、それぞれの味わいの違いを楽しもう。
-
創業1892年の酒造「大田酒造」の直売所
-
試飲で好みの日本酒を見つけよう
古民家宿「うだ薬湯の宿 やたきや」で薬草の魅力に出会う
日本酒の試飲を楽しんだ後は、車で約1時間かけて奈良県宇陀市にある「うだ薬湯の宿 やたきや」へ向かおう。
築300年の古民家をリノベーションした、茅葺き屋根の古民家ホテル&レストランだ。
古くから多くの薬草が自生することで知られる宇陀で、食やアクティビティなどを通じて、大和当帰(やまととうき)をはじめとする薬草の力で心身を癒す「薬草リトリート」を提供。
レストランでは、薬草を取り入れた創作イタリアンランチを味わえる。
メニューは、パスタがメインの「やをらコース」と、肉料理がメインの「たまひコース」の2種類。
どちらも奈良県の無農薬・有機野菜など、素材にこだわった料理で、野菜本来の美味しさを楽しめる。
ランチと一緒に味わいたいのが、大和当帰の葉を使用したクラフトコーラ「帰楽可楽(きらくコーラ)」。
ビタミンEを豊富に含む大和当帰を中心に、身体を冷やしにくい9種類の自然由来のスパイスをブレンドした、スパイシーながらも身体に優しい一杯だ。
なお、レストランは宿泊しなくても利用可能。
また、宿泊者限定で参加できる「観天望気ツアー」も開催している。
宿の周辺にある自然や神社、農園をガイドと巡りながら、薬草や植物にまつわる話を聞けるツアーで、人々が自然と触れ合う中で培ってきた昔ながらの知恵を知り、体感できる。
「うだ薬湯の宿 やたきや」で1泊して、薬草リトリートを体験するのもお勧めだ。
-
「うだ薬湯の宿 やたきや」の外観
-
宿泊者以外も利用可能なレストラン
-
薬草を取り入れた創作イタリアンランチ
-
大和当帰の葉などのスパイスをブレンドしたクラフトコーラ「帰楽可楽」
「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」に宿泊
2日目の宿泊先は、「うだ薬湯の宿 やたきや」から車で約50分。
奈良県天理市にある「道の駅 なら歴史芸術文化村」と隣接した、「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」だ。
館内には、奈良の風景や文化財の写真、伝統工芸品などが飾られ、奈良の伝統や美術文化に囲まれた落ち着いた空間が広がっている。
奈良のお菓子や地ビール、サイダーなどをマーケットプレイスで購入して、自室やロビーラウンジでゆっくり味わうのもお勧め。
ロビーラウンジは24時間利用可能で、フリーカフェや電子レンジ、オーブントースター、製氷機などを完備。周辺で購入したお弁当や軽食を食べるのにもピッタリだ。
3日目の朝食には、朝食ボックスを予約しよう。
朝食ボックスでは、奈良名物の柿の葉寿司や奈良漬、ごま豆腐など、奈良の名物グルメを味わえる。
-
「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」の外観
-
随所に”奈良らしさ“を感じられるロビーラウンジ
-
「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」のツインルーム
-
ご当地サイダーなども揃うマーケットプレイス
-
奈良の名物グルメを堪能できる朝食ボックス
3日目|古道と文化財で奈良の歴史文化に触れる
旅の最終日には、奈良県天理市にある「山の辺の道」と、「道の駅 なら歴史芸術文化村」を楽しむ。
「山の辺の道」は日本最古の道とも言われ、日本の歴史を感じられる神社仏閣や史跡が点在している。
自然に囲まれた道をゆっくりと歩きながら、地域の歴史や人々の暮らしに思い馳せてみよう。
日本最古の道「山の辺の道」で出会う歴史と人の営み
奈良市から桜井市を結ぶ古道「山の辺の道」。
年間を通して最も多くの人が訪れる南ルートの一部、石上神宮から長岳寺までの約6kmを、ガイドと一緒に歩くツアーに参加してみよう。
日本の建国に関わる神々を祀る「石上神宮」や、茅葺き屋根の拝殿が特徴的な「夜都伎神社」など、歴史の深さを感じられるスポットを巡れる。
それだけでなく、道中には数々の古墳(土を盛り上げて作った墳丘を持った墓)も点在。
また、地元の野菜や果物などを販売する小さな売店もあり、地域で暮らす人々との出会いも楽しめる。
「山の辺の道」を歩きたいなら、以下のリンク先からボランティアガイドを申し込むのがお勧めだ。
-
奈良市から桜井市を結ぶ古道「山の辺の道」
-
未だ舗装もされていない古道
-
3つの国宝が納められている石上神宮
-
道中には無人販売所や売店などが点在
-
茅葺き屋根が特徴的な夜都伎神社
文化財修復の現場を見学できる!「道の駅 なら歴史芸術文化村」
ウォーキングの後は、「道の駅 なら歴史芸術文化村」へ。
ショップとレストランを備える「交流にぎわい棟」、滞在アーティストの制作風景などが見られる「芸術文化体験棟」、文化財の修復工房を公開する「文化財修復・展示棟」、奈良の観光情報の発信を行う「情報発信棟」の4つから成る。
それぞれの棟を巡れば、奈良が誇る歴史や芸術、食文化に触れられる。
中でも注目は、日本で初めてとなる4分野の文化財の修復工房の通年公開。
歴史的建造物、考古遺物、絵画・書跡等、仏像等彫刻の修復工房をガラス越しに見られるだけでなく、企画展示の見学や体験プログラムなどへの参加も可能。
奈良の食材を使った料理を楽しめるレストランや、地元の特産品が並ぶショップもあり、旅の締めくくりに最適なスポットだ。
-
「道の駅 なら歴史芸術文化村」の外観
-
文化財の修復工房をガラス越しで眺められる
-
特産品が並ぶショップでお土産選びも楽しめる
まとめ
道の駅を拠点に、京都・三重・奈良を巡るディープな旅のプランを紹介してきた。
その地域ならではの体験を通して、その土地で暮らす人々とも触れ合えるため、より記憶に残る旅になるだろう。
また、旅で巡るエリアはどこも自然に囲まれた静かな環境で、心と身体をリセットしたい大人の旅にもピッタリ。
日本人でも知らない日本の魅力に出会う旅へ、出かけてみよう。