大都市東京でも実は農業が盛ん!知られざる「東京産野菜」の魅力とは?

大都市東京でも実は農業が盛ん!知られざる「東京産野菜」の魅力とは?

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

東京は大都市のイメージが強い。しかし、一歩都心を離れれば住宅地の中に残る畑があり、山があり、島がある。実は多様な自然があり、歴史に根差した伝統がある。あまり知られていないが実は、都市部のすぐそばの畑でも野菜が育てられているのだ。豊かな食の都・東京を楽しみ尽くす手段として、ローカルの野菜や魚、お肉など「東京産食材」にこだわってみるのはいかがだろう。この記事では、味わい深い東京産野菜の特徴や魅力、野菜を見学できるスポットとあわせて、東京産の野菜を実際に買って味わえる場所も取り上げていく。

東京産食材が作られているエリア

高層ビルやにぎやかな街並みが広がる東京では、さまざまな形態の農業が行われている。
2020年時点で農地面積は6,530ヘクタール。約5,000戸(家族)の農家がいまも農業を続けているのだ。農地は「都市地域」「山間地域」「島しょ地域」の3つに分けられる。

東京の様々な地域でいろいろな野菜が作られている
東京の様々な地域でいろいろな野菜が作られている

東京は都市部だけでなく、山間、島しょもある。異なる気候や環境を生かし様々な「東京産野菜」が栽培されている。日本で栽培されている野菜なら、ほぼ何でもある多様さが東京の農業にはある。

意外に知られていない「東京産野菜」の3つの魅力

「東京産野菜」は、採れたての新鮮さとおいしさが自慢だ。ここでは東京ならではの野菜の3つの魅力を紹介しよう。

1. 鮮度が抜群で野菜本来のおいしさを味わえる

「東京産野菜」の魅力のひとつは、採れたての新鮮な野菜をすぐに手に取れることにある。特に、とうもろこしや枝豆などは、収穫後すぐに風味が落ちてしまう。こうした野菜にこそ直売の強みが発揮される。一方で、コマツナなど、市場やスーパーマーケットに出荷される野菜もあり、そこから家庭の食卓や飲食店に届けられている。旬の味わいを新鮮なまま楽しめることは、「東京産野菜」ならではの大きな魅力だ。

立川の小学校では、採れたてのとうもろこしが給食で出てくることも
立川の小学校では、採れたてのとうもろこしが給食で出てくることも

2. おいしさにこだわった栽培

東京は地方に比べて農地が狭く、少量多品種の栽培が主流だ。春夏野菜の後に秋冬野菜を植えるなど、同じ土地で回転よく栽培を行っている。小面積だが、売れ筋の野菜を栽培し、消費地に隣接する産地なので、本当においしい食べ頃に収穫し、すぐに食卓に届けられている。少し栽培しにくくても、本当においしい品種を選んで育てる農家も多い。東京は野菜や花の栽培先進地としての歴史がある。農家たちは栽培が難しい野菜でも、これまでの経験を生かして作りこなしてしまう。その技術の高さがおいしさを支えている。

夏野菜は30種類近くがひとつの畑で育てられていることも!
夏野菜は30種類近くがひとつの畑で育てられていることも!

3. 生産者の顔が見えて安心

「東京産野菜」は流通量がすくないため、一般的なスーパーではあまり販売されておらず、農家での直接販売やJA直売所などで手に入れることができる。直売所では、野菜に生産者の名前や写真が記載されていることが多く、生産者の責任と自信が伝わってくる。彩りやおいしさにこだわった野菜が店先に並ぶ。畑は住宅に囲まれていることも多いため、地域住民からも身近な存在として親しまれている。

直売所「ファーマーズセンター みのーれ立川」では何品種ものおいしい野菜が販売されている
直売所「ファーマーズセンター みのーれ立川」では何品種ものおいしい野菜が販売されている

東京産野菜を味わえる2つのスポット

1. 最適な調理法で「東京産野菜」を味わえるレストラン

「東京産野菜」を食べてみたいと思っても、流通量が少ないため、都心部で手に入れるのは難しい場合が多い。そんな時は、東京産野菜を使った料理を提供しているレストランで、その土地ならではの旬を味わうのもおすすめだ。カフェや和食店、イタリアンレストランなど、さまざまな業態で東京産食材の味わいを楽しむことができる。旅の思い出に、東京の“食の物語”を加えてみよう。

東京産食材のメニューがある使用店の目印として、この木製ボードがある
東京産食材のメニューがある使用店の目印として、この木製ボードがある

2. 朝採れ「東京産野菜」が毎日買える直売所

直売所とは、卸売業者や小売業者を介さずに、生産者が自ら販売する場所。毎日営業しているので、地元住民は気軽に新鮮な野菜を購入できる。当日採れたての野菜が並び、スーパーでは味わえない“農家の顔が見える買い物”ができるのがうれしい。

立川の昭和記念公園の近くにある直売所「ファーマーズセンター みのーれ立川」
立川の昭和記念公園の近くにある直売所「ファーマーズセンター みのーれ立川」

JR「立川駅」から車で約10分の「ファーマーズセンター みのーれ立川」では、立川をはじめとする農作物や加工品を販売。毎日採れたての野菜が並べられており、地元の方に安心・安全な食物を提供している。カフェエリアでは、東京紅茶のソフトクリームが人気だ。直売所によってそれぞれ特色が異なるので、ぜひ観光とともに足を運んでみて欲しい。

「東京産野菜」を世界にもっと知ってもらいたい!という思いから東京都が行っている活動

東京の知られざる豊かさに触れてもらう取り組みとして、東京都は2025年夏に「第1回東京産食材トリビアの旅」と銘打った体験ツアーを初開催。参加者は、観光ガイドや海外からの留学生たちだ。体験の内容や、参加者が感じた「東京産野菜」の魅力を紹介しよう。

6つの国・地域(タイ、中国、台湾、韓国、ベトナム、インド)から総勢15名が参加した「第1回 東京産食材トリビアの旅」
6つの国・地域(タイ、中国、台湾、韓国、ベトナム、インド)から総勢15名が参加した「第1回 東京産食材トリビアの旅」

農園を見学し、夏野菜を収穫

農業体験は全国的にブームだが、東京では教育とセットになっている点が特徴的だ。立川市で10代続く農家「森の食農学校スマイル農園」を営む豊泉裕さんも、そうした活動を長年続けているひとり。現在は消費者向け野菜や学校給食用野菜の生産と並行して、お客さんと一緒に栽培や収穫を楽しむ体験農園や収穫農園に力を注いでいる。体験ツアーではこちらの農園で、ナス、ニンジン、トマトを収穫した。

青々とした葉が茂るニンジン畑
青々とした葉が茂るニンジン畑
農業を始めて29年目の豊泉裕さん
農業を始めて29年目の豊泉裕さん

「ニンジンの収穫をしてみると、見た目が悪いものも多い。それって農家に来て実際に体験してみないとわからないんですよね。まずはそこから知ってもらうことが大事だと思っています」と豊泉さんは語る。
体験農園を始めたきっかけは、地域の人々からの要望だったという。開始から18年、今では子どもからお年寄りまで、多くの人が気軽に農業に触れ、学ぶ場となっている。

体験農園で収穫方法をレクチャーする豊泉さん
体験農園で収穫方法をレクチャーする豊泉さん
どのようなトマトがおいしく、食べごろかわかるようになる
どのようなトマトがおいしく、食べごろかわかるようになる
土のなかから姿を現した立派なニンジンに参加者も思わず笑顔に
土のなかから姿を現した立派なニンジンに参加者も思わず笑顔に

参加した留学生は身近な東京でこんなに畑があり、新鮮な野菜が収穫できることに驚きを隠せない様子だった。

夏野菜を試食

農園で収穫した夏野菜をたっぷり使ったメニューを、農園に隣接する食堂で試食。試食したのは、誰でも気軽に作れて味も親しみやすいものや、野菜がふんだんに手に入る農家さんならではのレシピによるメニュー。

冷や汁や、ニンジンしりしり、新じゃがのポテトフライ、ヤングコーンの炒め物など夏を感じるメニュー
冷や汁や、ニンジンしりしり、新じゃがのポテトフライ、ヤングコーンの炒め物など夏を感じるメニュー
「冷やしきゅうり」は見た目にも涼しく、日本の夏の風物詩
「冷やしきゅうり」は見た目にも涼しく、日本の夏の風物詩
「蒸しナスサラダ」を作る作業を、参加者も体験
「蒸しナスサラダ」を作る作業を、参加者も体験
東京産食材に詳しい料理家 島田恵子氏によるレクチャーが好評
東京産食材に詳しい料理家 島田恵子氏によるレクチャーが好評
日本で人気のお笑い芸人、岩井ジョニ男氏も駆けつけて応援
日本で人気のお笑い芸人、岩井ジョニ男氏も駆けつけて応援

野菜料理はどれも素材の風味や食感が豊かで、これこそが「東京産野菜」の魅力というのが、参加者に共通した感想。ツアーでおいしさを知ってから、東京産の野菜を買って食べるようになったという参加者もいた。

ツアーの最後しめくくりは直売所でお土産探し

地元の野菜や食材を販売している直売所「ファーマーズマーケット みのーれ立川」を見学して、参加者は東京産食材が身近に手に入るスポットがあるということを知った。半日を通して、農家さんから野菜の豆知識をたくさん教えてもらえたので、参加者は直売所での野菜探しにも力が入る。

地域の方の生活に欠かせないスポットになっている直売所
地域の方の生活に欠かせないスポットになっている直売所

東京都では、この「東京産食材トリビアの旅」の第2回を、2025年秋に開催予定。次回は、伝統野菜(コマツナ等)をテーマにする予定だという。

公式FAQ

Q

野菜以外の東京の特産の食材は何ですか?

A

おいしい肉や魚、果物、日本茶など加工品があります。東京の特産物を調べたいときはこちら

Q

「東京産」をおみやげとして手に入れるならどこがおすすめ?

A

東京都庁にあるお土産コーナー「TOKYO GIFTS 62」、新宿駅からほど近い、「JA東京アグリパーク」、東京諸島のおみやげなら、浜松町駅から徒歩10分、竹芝客船ターミナル内の「アンテナショップ東京愛らんど」がおすすめ。

まとめ

東京には都会のすぐそばに、豊かな自然と農の営みが広がっている。新鮮でおいしい野菜、こだわりの栽培、そして生産者の顔が見える安心感。東京産野菜には、旅先でこそ味わいたい魅力が詰まっている。旅行中は、東京産野菜を提供するレストランや直売所にぜひ立ち寄って、東京の“食の物語”に触れてみよう。