【和傘徹底ガイド】1本の和傘に宿る職人の手仕事

【和傘徹底ガイド】1本の和傘に宿る職人の手仕事

更新 :
筆者 :  元村颯香

日本の伝統技法で作られる和傘は、和紙と竹など天然素材を用いた、暮らしに深く根付く工芸品。産地ごとに個性があり、岐阜は繊細で遊び心ある意匠、京都はわび・さびを感じる簡素美、鳥取・富山は雪に耐える堅牢さが魅力。
今回は、古くから日本人がどのように日常で和傘を使ってきたかや、ミニ和傘を作る体験ができる老舗の和傘店をご紹介します!

はじめに

日本で昔から伝えられている「伝統技法」で作る傘「和傘」。何千年も前から現在に至るまで日本では日常的に使われています。特徴的なのは、布ではなく、和紙でできているということ。ほかにも骨組には竹を使用するなど、素材はすべて天然のものです。というのも、和傘は昔から日本人の身の回りにあったもので作られていたからです。
工業製品のように統一されたものではない天然の素材から、巧みに1本の傘を作り上げるのは、とても丁寧な仕事をする日本人でなければできないような伝統工芸品のひとつです。

日本には和傘の生産地が大きく4つあります。岐阜県、京都府、鳥取県富山県です。
岐阜は職人の遊び心満載の和傘を生み出してきました。趣向を凝らしていて、骨が1本1本細くて、傘自体も閉じたときにシュッとしていて細いのが特徴です。
京都は「わび・さび」を大切にする茶道とともに発展してきたという歴史からとてもシンプルなのが特徴です。
鳥取や富山は日本海側に面する豪雪地帯。雨よりも重みのある雪でも耐えられるように、頑丈にできているのが雪国らしい和傘の特徴です。

和傘とは

和傘の歴史

「傘」がいつからあるのか詳しいことはわかっていないのですが、4000年ほど前の古代エジプト、ギリシャ、ペルシャなどの壁画にはすでに「傘」が描かれ、その時代にはすでにあったと考えられています。紀元前1300年頃のエジプトの壁画にはヤシの葉で作られた日傘が描かれていて、その壁画からもわかるように、当時の傘は現在あるようなものではなく、木の棒に布や葉を張った天蓋のようなものでした。権威の象徴でもあり、王様や貴族のような権力のある人だけが使えました。また、傘はもともと「空から降りかかる邪気から人々を守る」といった宗教的な意味合いもあったそうです。

日本でのはじめの傘は文献があまり残っておらず、本当のことはわかりません。ですが、最も古い書物だと「日本書紀」(720年)に552年に百済の聖明王から日本の欽明天皇(古墳時代・509年〜571年)に仏像・仏具や教典などとともに「蓋(きぬがさ)」という当時の傘が贈られたと記されています。ほかにも古墳や調度品に傘が描かれているものもあります。

平安時代の絵巻物にも和傘が登場していますが、いまのようなものと形が違い、開閉はできませんでした。開いたまま使っていたのです。そんな和傘が閉じることができるようになるのは安土桃山時代になります。庶民にも使われるようになったのは江戸時代中期以降のことです。流行り始めた一説には歌舞伎俳優の存在があるそうです。和傘は、歌舞伎や日本舞踊、茶道などにも取り入れられていて、日本の伝統的な文化と切っても切り離せないものですが、歌舞伎俳優が舞台上で和傘を持って見得をきる姿はかっこよく、庶民たちも和傘を使いたい!と思うように。江戸時代の浮世絵にも傘をさしている町人の姿が数多く描かれていて、生活必需品として普及していたことがわかります。日常使いはもちろんのこと、ファッション小物としても進化をとげ、実用性とともに美しさも兼ね備えるようなデザインを凝らした和傘が生まれました。

最盛期には日本全国で年間1千万本以上生産されていましたが、明治時代に洋傘が輸入され、日本で西洋化が進みます。和傘は急速に衰退し、現在では和傘を制作しているのは全国でも20軒あるかどうかわかりません。しかしながら、和傘は現在でも歌舞伎や日本舞踊、茶道、神社仏閣の行事などの道具として大切に使い続けられています。

和傘の種類

番傘(ばんがさ)

骨を太くして、全面に厚い白紙を張って丈夫に作ったものです。直径1m10cm〜で、骨の数は48本が一般的です。「番」には「一般的」という意味があり、雨の日など普段使いのものです。江戸時代には商人も使えるようになって「問屋傘」とも呼ばれました。

番傘
番傘
番傘
番傘

蛇の目傘(じゃのめがさ)

傘の真ん中に◎を入れた模様の傘のことで、雨の日の普段使いのものですが、番傘よりはよそ行きのものです。直径1m10cm〜で、骨の数は44本です。◎の模様が蛇の目のように見えることから“蛇の目”傘と呼ばれるようになりました。傘の内側の小骨には糸で飾りが入っていて(これを「糸かがり」といいます)、細身の傘です。
傘にはもともと魔除けの意味もありましたが、もっと大切な人を守ってくれるものにしたくて、「幸運の呪符」の意味がある「蛇の目」の傘が作られたとも言われています。ちなみに現在では蛇の目模様でなくても、内側に糸かがりがある雨傘は蛇の目傘と呼ばれています。

蛇の目傘
蛇の目傘
蛇の目傘
蛇の目傘
蛇の目傘
蛇の目傘

差し掛け傘

番傘や蛇の目傘よりも大きめの傘で直径1m30cm〜です。貴族や僧侶などに対して、お供の者が「差し掛ける」ために作られた和傘です。近年では神社仏閣の行事や、婚礼の際に新婦に差し掛ける傘として使われています。

差し掛け傘
差し掛け傘
差し掛け傘
差し掛け傘

妻折野点傘(つまおれのだてがさ)

傘の端が湾曲したデザインになっています。内側の小骨にきれいな飾り糸を多用しているのが特徴。現在最も普及している野点傘です。神社仏閣や祭礼、伝統行事だけでなく和風店舗でインテリアとして使用されることも多いです。

妻折野点傘
妻折野点傘
妻折野点傘
妻折野点傘
妻折野点傘
妻折野点傘

本式野点傘(ほんしきのだてがさ)

京都で作られた和傘「京和傘」のひとつです。直径が1m50cm程度〜大きいもので2m70cm程度と、大きめの傘です。茶道家元の求める「わび・さび」を長年追求した末に生まれた趣ある色合いとシンプルで美しいシルエットが特徴です。赤白・緑白の二色張りがあるのも本式野点傘の大きな特徴で、格式高い場面に使われます。

本式野点傘
本式野点傘
本式野点傘
本式野点傘
本式野点傘
本式野点傘

ほかにも晴れた日や踊りで使う「日傘」や、日本舞踊や歌舞伎などで使う「舞踊傘」があります。

和傘と洋傘のちがい

同じ傘といえども、和傘と洋傘で構造や使い方がかなり異なっているというのがおもしろいところです。ちがいをまとめました。

項目 和傘 洋傘
材料 和紙、竹、木など自然素材が主 ビニール、ポリエステル、スチールなど人工素材
骨数 30〜70本と非常に多い
種類によってさまざま
通常8本
開き方 細く割った多くの竹骨で和紙を支えるようにして開く 骨の針金の張力で生地を内側から押し上げて開く
シルエット すっきりと末広がりにまっすぐに広がる 丸みを帯びて深いアーチを描く
生地の畳み方 生地が骨の内側に畳み込まれ、1本の棒のような姿になる 生地を骨の外側に巻き付けるように畳む

この表から、かなりちがいがあることがわかりますね。特に生地の畳み方は顕著ですが、これは生地が和紙か布かのちがいによるものです。和傘は生地が和紙なので、非常に繊細な素材でできています。そのため、畳むときに生地を内側にしないと、破れたり傷つきやすくなったりするからです。
一方西洋の傘はナイロンなどの素材でできているので比較的丈夫。そのため、骨の外側に巻き付けるような方法でも問題ないのです。また和傘の竹骨の数が多い理由は、和紙は伸縮性に乏しく重量があるため、たくさんの竹骨で支える必要があるからです。

和傘の作り方

和傘は和紙、竹、木、亜麻仁油、漆、渋柿、タピオカなど、素材はすべて天然のものです。竹骨、和紙、和傘で、それぞれ専門の職人が携わり、数週間から数か月かけて1本の傘に仕上げられていきます。傘の制作は細かく数えると数十以上の工程があり、非常に複雑で高度な専門性の高い技術が必要になります。

和傘の骨は1本の竹からできています。1本の竹を縦に細かく割って、竹骨にしていますが、割った竹骨は元の竹になるように戻します。これは、竹はまっすぐに見えますが、実は曲がっているので、元の竹の曲がり癖をきれいに揃えるためです。順番が入れ替わると閉じたときに骨に隙間ができてしまうからです。

①したご

材料を組んでいく作業です。ロクロという傘の頭の部分に竹骨を針と糸を使って1本ずつ繋いでいきます。

したご
したご

全部で4ヶ所その作業を行います。ロクロの部分はチシャと呼ばれる通常出回らない木材を使っているそうです。とても粘り強い性質をもつ木材です。このロクロを作っている工房は世界中で岐阜県にたった1軒残るのみだそうです。

②まくわり

馬と呼ばれる作業台に、傘を水平まで開いて固定します。竹骨を等間隔にバランスよく揃えていきます。

まくわり
まくわり

このとき等間隔でないと、傘を開くときに影響が出るそうで、材料が天然の竹のため、材料の癖があります。その癖を読む力が必要で、神経を使う作業で熟練の技が光ります。コツはたまに遠目から見て全体のバランスを取ることなのだそうです。

③軒紙(のきがみ)張り

傘の外周に和紙を張っていきます。まくわりで作った竹骨の間隔をずれないように和紙で固定するための作業です。

軒紙張り
軒紙張り

また、したごの作業で通した糸を守る役割も果たしています。

④中置き紙(なかおきがみ)

軒紙張りが終わったら、次は親骨の中節の部分に帯状に和紙を張っていきます。これが中置き紙です。

中置き紙
中置き紙

中節は親骨と小骨の接続&可動部分。使用時に擦れてしまって本体の胴紙に負担がかかるのを軽減する役割を担っています。万が一、小骨が親骨から外れてしまっても和紙を張っているので、胴紙が破れるのを防ぐこともできます。さらに、傘の内側の装飾の役目も兼ねています。

⑤胴張り(どうばり)

いよいよ和傘本体の和紙を張る作業です。

胴張り
胴張り

タピオカ粉を練ったのりを、筆を使って骨につけていきます。余談ですが、昔はわらび粉を使っていて、おなかがすいたら職人はそれを食べていたという逸話もあります。和紙1枚の大きさは約900mm〜600mm。和傘の直径よりも小さくなるため、3〜4枚程度を張り合わせて1枚に見えるように作っています。型紙を使って裁断してから張っていきます。
もちろん和傘の種類やサイズによって枚数も変わり、一般的なサイズである番傘や蛇の目傘だと4枚ですが、野点傘などの大型の傘の場合は、60〜70枚もの和紙を使って胴張りをしていきます。作業には「又箆(またべら)」という和傘作り専用の道具を使って行います。最も熟練を要する工程と言われている、とても大切な工程です。このあとは、のりを乾燥させます。

⑥姿付け(すがたつけ)

乾燥が終わると、傘をたたんでいく作業に入ります。

姿付け
姿付け

和紙に正しいたたみ癖が付くように、少しずつすぼめながら親骨に沿って折り目を付けつつたたんでいきます。たたんだ傘は紐で強く縛って、形を癖付けます。

⑦カラ巻き

胴の部分はいったん終わりです。次は、頭の部分を作っていきます。実はこの部分、接着はしていません。

カラ巻き
カラ巻き

和紙に着けた水の力のみで行います。驚きですよね。というのも、和紙に強いストレスがかからないように、後述する「頭包」が傘の開閉に連動して、天ロクロ上側にずれる構造にするためなのだそうです。
天ロクロと胴張の間にはあらかじめ和紙を張っていない部分を作っておいて、この部分からカラ巻きにかけて、立ち上げるようにして和紙を張っていきます。これを「みの」と呼んでいて、みのは傘の中心に近い部分を、又箆などを使って落とし込みながら、ひだを作るように張っていきます。
このひだを作ることによって、傘の開閉に和紙がついていくことができるのだそうです。非常に細かい部分ですが、水をうまく使って、和紙の強度と特性を読みながら進めていきます。

⑧頭包(あたまづつみ)

傘頭頂部を包んでいくように和紙を張って、頭部分を仕上げていきます。

頭包
頭包

天ロクロに直接のりが接着してしまわないように十分注意します。ロクロに紙が固定されると、傘の開閉時に非常に破れやすくなってしまいます。とても難易度が高い作業のひとつです。ここまでの制作をだいたい1日から2日で仕上げるのが通常です。

⑨油引き(あぶらびき)

撥水のために油を和紙部分に1回塗って、天日で2週間から1ヶ月ほど干します。

油を塗って天日干し
油を塗って天日干し

こうすることで、和紙に油が染み込み、雨の日でも使えるようになります。干す期間は季節や天気によって変わります。また、油引きで使用する油は、昔は柿渋を使っていましたが、現在は亜麻仁油を使っています。

⑩カッパ付け

これが最後の作業になります。四角いナイロン製の生地を、形を整えながら天ロクロを覆うように取り付けます。

カッパ
カッパ

昔はカッパには油紙が使われていて、消耗部位だったため、町のいたるところでカッパの交換を頼むことができたのだそうです。現在、日吉屋ではカッパは油紙だけではなく、ナイロン素材も使っています。
そして、綿糸でしっかりと固定し、掛け輪を取り付けたら、できあがりです。ちなみに、洋傘ですとたたんだ時に持つのは柄部分ですが、和傘は頭の部分を上にします。これは、和紙でできている頭部分に雨水が溜まらないようにするため。置くときも必ず頭を上にしておきます。
このほかにも、骨上の塗装や名前入れなど、お客様の要望によって、和傘を仕上げていきます。

さあ、これで和傘の完成です!たくさんの工程があって1本の和傘ができあがることがわかりますね。どの工程においても職人の技が光ります。

ミニ和傘作りを体験しよう!

江戸時代後期から京和傘を作り続ける「日吉屋」

創業江戸時代後期、京都の地で150年以上和傘を作り続けている「日吉屋」。
和傘のうち、京都で作られたものを「京和傘」と呼び、京都の優れた伝統工芸品として親しまれてきました。茶道家元御用達である本式野点傘、芸舞妓さんたちが愛用している蛇の目傘などでよく知られ、長きにわたり、愛好されています。そんな京都らしい伝統工芸品「京和傘」を作る職人の技を、いまも守り続けているのは「日吉屋」だけになりました。

日吉屋 外観
日吉屋 外観

つまり、「日吉屋」は京都で現存する唯一の「京和傘」の製造元なのです。そんな「日吉屋」のはじまりは、初代が江戸時代後期に、京都・五条本覚寺の境内に傘店を構えたこと。現在は寺之内通沿いにお店を構えているのですが、この通りは、茶道家元の茶室や茶道具屋が軒を連ねるエリアです。「日吉屋」が作る「京和傘」は、茶の湯はもちろん、歌舞伎や能などの伝統芸能の分野でも華を添える役割を担っていて、日本文化においてなくてはならない存在です。時代の変遷とともに和傘を日常で持つ人は少なくなってしまいましたが、それでも各地に伝わる伝統行事や神社仏閣などの祭礼では和傘を使う機会は現在でも数多くあります。そういった和傘の制作や修繕などを脈々と培われてきた独自の技術で行い、日本文化の保護継承に貢献しています。また、和傘がもつ優れた構造や伝統美をいかして、現代でも使われるような商品開発も行っています。

店舗概要

施設名称
株式会社日吉屋 京都本店
住所
京都府京都市上京区寺之内通堀川東入ル百々町546
電話番号
075-441-6644
FAX
075-441-6645
営業時間
10:00 - 17:00
定休日
土、日、年末年始
※土曜日の来店は事前の予約にて。来店の三日前までに電話にて連絡が必要
アクセス
【電車】JR京都駅からは市バス9番、地下鉄は今出川駅下車後徒歩15分、阪急は四条大宮駅より堀川通に出て市バス9番または12番を利用
【市バス】JR京都駅、二条城方面からは9番、四条河原町方面からは12番のバスで最寄りバス停「堀川寺の内」より徒歩1分
公式サイト
公式サイト

日吉屋が手がけてきた和傘の数々

「日吉屋」は茶道家元の「わび・さび」を追求した野点傘や、普段使いの番傘、蛇の目傘など「京和傘」を長きにわたり作り続け、和傘づくりの伝統を守ってきました。一方でデザイン性のある新しい和傘づくりにも力を入れています。
桜や、いちょうの和傘です。外国人観光客のお土産としても人気だそうです。
こちらは骨をカットしてから和紙を桜やいちょうの形に張っていくそうです。

和傘 - 桜
和傘 - 桜
和傘 - いちょう
和傘 - いちょう

和傘だけでなく、インテリアも手掛けています。傘の構造を利用した照明器具です。
高級ホテルのロビーや飲食店の装飾として使用されていますが、一般の方でも購入することができます。

和傘の構造を利用した照明器具
和傘の構造を利用した照明器具

充実した体験ラインナップ!体験概要

日本では昔は身近にあった和傘をもっと多くの人に知ってもらいたいと、日吉屋では和傘作りの体験教室を行っています。小さいサイズの和傘なので、90分程度で仕上がりますし、持って帰ることができ、大人気の体験教室です。

体験場所は、「日吉屋工房」です。(〒602-0072 京都市上京区寺之内通堀川東入ル百々町546で、1階〜3階いずれかの階で実施となります。エレベーターはありません。)
体験は日本語、もしくは翻訳アプリを使用して案内してくれます。体験する人の半分以上は外国人観光客というほど、海外から人気のこの体験教室。和傘づくりを通して日本の伝統工芸を身近に感じてください。

①ミニ和傘の制作体験(90分)

直径が約30cmのミニ和傘の制作と和傘工房の見学がセットになったコースです。
ミニサイズの和傘の制作の指導をしてくれて、実際に職人の方が和傘を作っている現場を見ることができます。
完成した作品は持って帰ることができます。

開催日時
毎週 月〜金 10時〜11時半 / 14時〜15時半
※7日前までに要予約
体験時間
約90分
費用
8,800円(税込)/ 一人
定員
2名以上での申し込みで、各回最大20名までの参加
※定員になり次第締め切ります
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験の申し込みページを見る

※申し込みフォームから7日前までに事前の申し込みが必要です。

②ミニ和傘のコラージュ体験(60分)

完成された直径約30cmのミニ和傘に、絵付けや貼り絵を行うコースです。
和紙やコンテ等を使って、ミニサイズの和傘に好みの絵を描いたり装飾を貼ったりするものなので、小さな子どもでも楽しんで体験できるコースです。完成したものは持って帰れます。

開催日時
毎週 月〜金 10時〜11時 / 14時〜15時
※7日前までに要予約
体験時間
約60分
費用
4,950円(税込)/ 一人
定員
2名以上での申し込みで、各回最大20名までの参加
※定員になり次第締め切ります
ミニ和傘のコラージュ体験
ミニ和傘のコラージュ体験
ミニ和傘のコラージュ体験
ミニ和傘のコラージュ体験
ミニ和傘のコラージュ体験の申し込みページを見る

※申し込みフォームから7日前までに事前の申し込みが必要です。

③ミニ古都里の制作体験(90分)

こちらは、京和傘の構造をいかした卓上照明「古都里」の制作と和傘工房の見学ができるコースです。
直径約14cmのミニサイズの「古都里」の制作は置き型ライト付きで、完成品はすぐに持って帰ることができます。

開催日時
毎週 月〜金 10時〜11時 / 14時〜15時
※7日前までに要予約
体験時間
約90分
費用
8,800円(税込)/ 一人
定員
2名以上での申し込みで、各回最大20名までの参加
※定員になり次第締め切ります
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ古都里の制作体験の申し込みページを見る

※申し込みフォームから7日前までに事前の申し込みが必要です。

④工房見学(30分)

普段は入ることができない、和傘作りの工房を見学することができます。実際に和傘を作る職人の方の解説付き!間近で作っている様子を見られます。日によって、作業の内容が変わるので、当日どんな工程の作業を行っているかはお楽しみです。

開催日時
毎週 月〜金 10時〜11時半 / 14時〜15時半
※7日前までに要予約
体験時間
約30分
費用
4,400円(税込)/ 1グループ
定員
1グループにつき1〜8名程度まで
※人数に関わらず、1グループあたりの費用
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
ミニ和傘の制作体験
工房見学の申し込みページを見る

※申し込みフォームから7日前までに事前の申し込みが必要です。

ミニ和傘の制作体験コースを体験してみた

和傘作りはどんなものか、実際にミニ和傘の制作体験をしてみました。

ミニ和傘制作体験の部屋
ミニ和傘制作体験の部屋

部屋に入るとまず目に入ってきたのは色とりどりの和紙です。

まずはこの和紙選びから。胴と頭の和紙を決めます。それぞれ20〜30種類あるので迷ってしまい、多くの人が時間をかけて選ぶので気にせずゆっくり選んでくださいと職人の方がおっしゃっていました。
和紙は京友禅の染めと同じ方法で染められた和紙です。ラメや金箔が入っているものもあり、目移りしてしまいます。胴と頭の色や柄の組み合わせでできあがりの雰囲気が変わるので、じっくりと時間をかけて選びました。
人気は桜の柄とのことでしたが、今回は金箔が入っていて桜柄の薄ピンク色の和紙を胴に、全体的にラメが入った紺地の和紙を頭にすることに決めました。できあがりがどうなるか楽しみです。

一番時間がかかった和紙選び
一番時間がかかった和紙選び

続いて竹骨にのりを筆でつけていきます。このとき線を描くようにサッと塗るのではなく、盛るイメージでのりをおいていきましょう。

こののりは日本の伝統的な和室にある障子に使う障子のりと呼ばれるものです。
本物はタピオカ粉ののりを使っているそうで、昔はわらび粉を使っていたことを聞きました。
のりは乾いてしまうと使えなくなるため、使う分だけ練っておくそうです。
竹骨は28本。塗る残しがないように、集中して、細い竹骨に丁寧に素早くのりを塗っていきましょう。

竹骨にのりを筆でつけていく
竹骨にのりを筆でつけていく

すべての竹骨にのりを塗ったら、円状になっている和紙を竹骨に張り付けていきます。
和紙と竹骨がしっかりのり付けされるように、竹骨を和紙に優しく押し付けましょう。
全部ついたら和紙の上から骨を爪でなぞって密着力を高めます。

和紙を竹骨に張り付ける
和紙を竹骨に張り付ける

このあと15分程度乾かします。その間に、フリップを使って、和紙ができるまでの工程を詳しく教えていただきます。たくさんの工程があって、1本の和紙が完成しているのだなあと改めて実感できる瞬間でした。さらに工程の説明を受けたあとは、工房を見学させていただきました!
この日は3人の女性の職人の方が、和傘の修理を行っていました。修理といっても、和紙を張り替えたり、姿づけをしたりと、基礎の骨以外はもう一度作り直す作業に近いことを聞きました。大きな傘を広げて、すべて手作業でしていました。しかも油引きまでの工程をだいたいは1日で終わらせるというから驚きです。

見学が終わったら、再び教室へ。最後に和傘を作るうえでとても大切な「姿づけ」の作業を行います。姿付けは、骨の上に折りあとをつけていき、骨の間の和紙を内側に谷折りになるように折っていく工程です。
頭の部分が下になるように傘を逆さにし、少し閉じます。そして隣り合う竹骨を指で2本くっつけて持ちます。そうすると内側に和紙がくるので、それを谷折りにする、という手順で進めます。

折りあとをつける
折りあとをつける

それを繰り返すと和傘の雰囲気がでてきました。

内側に谷折りするようす
内側に谷折りするようす

最後に頭の部分を作ります。正方形の折り紙を三角に2回折り、長辺の両端を内側に少し折り目を付けます。
裏返して折り目をつけたところを反対側に折り返します。一度開いて折り目がついたところを引き出したらベースは完成。

頭の部分を作るようす
頭の部分を作るようす

ろくろ部分に和紙を被せます。

和紙を被せる
和紙を被せる

そして、紐で和紙を固定するとできあがり!

できあがり
できあがり

本当に簡単で、あっという間に仕上がりました。カップルや友人と一緒に体験しても盛り上がるでしょうし、小さな子どもからお年寄りと一緒に家族で来ても、どなたでも楽しめると思いました。静かな空間で集中して作業をする時間は癒しの時間でした。
「傘を作る」という機会はまたとないものだと思うので、ぜひみなさんに体験してもらいたいと思います。できあがった和傘はミニチュアサイズなので、キャラクターやアイドルのフィギュアやぬいぐるみと一緒に写真を撮るのにもおすすめで、推し活にも絶好のアイテムです!

オンラインショップでも

日吉屋が制作した和傘はオンラインショップでも購入することができます。
ぜひ身近に職人の巧みな技を感じてください。

まとめ

日本人の繊細な技がぎゅっと詰まった、日本が誇る伝統工芸品のひとつが和傘です。
閉じて持っているだけでおしゃれですし、開いたときに咲く美しさは和傘ならでは。日本を訪れた際には着物や浴衣で街を歩く方もいらっしゃるかと思います。ぜひその際は和傘と一緒に出掛けてみてください。
神社仏閣を前に和傘を持ってポーズを決めるととても様になること間違いなしです!

元村颯香

筆者

フリーアナウンサー

元村颯香

伝統文化や芸能、歴史を中心に発信