琉球王国の歴史と文化を感じる世界遺産・首里城の観光ガイド

更新 :
筆者 : GOOD LUCK TRIP

世界文化遺産に登録されている、沖縄のシンボル「首里城」。
沖縄観光なら観光プランに必ず入るほど、人気の観光スポットでもある。
美しい建造物を眺めるだけでも楽しいが、歴史的背景をしっかり理解しておくことで、「首里城」をより楽しめるようになる。
この記事では「首里城」を満喫するために、知っておきたい情報と見どころ、琉球王国の歴史・文化が残る周辺観光スポットをご紹介。
琉球王国の歴史や雰囲気を、思う存分楽しもう。

目次

首里城ってどんなところ?

沖縄県那覇市に位置する「首里城」。
沖縄記念公園の一部が「首里城公園」となっており、「首里城正殿」をはじめとする、歴史的価値の高い建造物が点在する。
世界遺産にも指定された、沖縄を代表する観光スポットだ。

沖縄の歴史・文化を象徴する「首里城」は、琉球王国の政治・外交・文化の中心だった城だ。
琉球王国は1429年から1879年までの450年間存在した王国で、1879年の春に「沖縄県」となるまでは、日本とは異なる国だった。
日本だけでなく、中国や東南アジアと盛んに交易していたこともあり、琉球独自の文化が育まれた。
その独自の文化は中国と日本の築城文化が見事に融合した、朱色の壁や瓦屋根が特徴的な「首里城正殿」に表れている。
「首里城正殿」は何度も消失と再建を繰り返しているが、一部は現存しており「首里城正殿遺構」として世界文化遺産に登録されている。
2019年10月31日の火災によって、「首里城正殿」は再び焼損。その他7棟の建造物も焼損した。
国内外から集まる支援金によって復旧・復興作業が行われ、2026年の復元を目指している。

鮮やかな朱色が特徴の「首里城」
鮮やかな朱色が特徴の「首里城」
火災後の「首里城」では、復旧・復興作業が行われている
火災後の「首里城」では、復旧・復興作業が行われている

首里城へのアクセス

「首里城」は沖縄の中心部、那覇市にあるためアクセス良好。
那覇空港から「ゆいレール(モノレール)」で「首里駅」にて下車。
徒歩約15分で「首里城」の入り口である「守礼門」に到着する。
モノレールでの移動を含めて、約45分で那覇空港からアクセスできる。

首里城の入場料と開園時間

「首里城」の開園時間と入場料は、以下の表を参考にしてほしい。

入場料

「首里城」には有料区域だけでなく、入場料を払わずに見学できる無料区域もある。
入場チケットは「那覇空港」でも購入可能。
「那覇空港」には英語・中国語・韓国語対応のインフォメーションカウンターがあるため、上手に活用しよう。

大人
400円
中人(高校生)
300円
小人(小・中学生))
160円
6歳未満
無料

開園時間

開園時間は時期とエリアによって異なるため、注意してほしい。

4月〜6月/10月〜11月 7月〜9月 12月〜3月
無料区域 8:00~19:30 8:00〜20:30 8:00〜18:30
有料区域 8:30〜19:00 (入場締切 18:30) 8:30〜20:00 (入場締切 19:30 8:30〜18:00 (入場締切 17:30)

火災による焼損から復元を目指す首里城

2019年の火災によって、「首里城正殿」を含む8棟が焼損した。
2026年の復元を目指し、復旧・復興作業が行われており、その現場や過程を一般公開している。
復元に必要な材料の倉庫や補修作業中の「大龍柱」が見学できたり、火災後に残った残存物や工事の進捗が見られる解説パネルがあったりと、様々な形で復旧の様子が見られる。
2023年時点では復元された姿は見れないが、復旧している様子が見られるのは、今しかないため貴重な機会ともいえる。

美しい建造物が無料で見られる!首里城(無料区域)の見どころ5選

ここからは「首里城」の無料区域と有料区域、それぞれの見どころを紹介していこう。
無料区域だけでも見どころは多く、どこから観光するか迷ってしまうかもしれない。
そんな時はこれから紹介する5つの見どころから、巡ってみよう。

1. 観光客を迎える美しい門「守礼門」

「首里城」のシンボルの1つとなっている「守礼門」は、「首里城正殿」へ向かう上で、最初にくぐる門となる。
中国風の牌楼という建築様式で建てられているため、中国文化の影響を感じられるはずだ。
「守礼門」の上部には横長の看板のような「額」があり、「守礼之邦(しゅれいのくに)」と書かれている。
これは「琉球は礼節を重んずる国」ということを意味する。

美しい首里城公園のシンボル「守礼門」
美しい首里城公園のシンボル「守礼門」

2. 国王が安全祈願した礼拝所「園比屋武御嶽石門」

首里城の「守礼門」と「歓会門」の間にある「園比屋武御嶽石門」
出入口として通る門ではなく、国王が各地で巡礼に行く際に安全祈願をした礼拝所だ。
琉球の石造建造物の代表的な門で、奥には「御嶽」と呼ばれる、神様を祀る神聖な森が広がる。
1933年に国宝に指定されるも、沖縄本土で行われた戦争によって一部破壊された。
1957年に復元されて、「国指定重要文化財」に指定。「世界遺産」にも登録された。

歴史的価値が高い礼拝所「園比屋武御嶽石門」
歴史的価値が高い礼拝所「園比屋武御嶽石門」

3. 魔除けのシーサーも見られる「歓会門」

「首里城」は外郭(外側城郭)と内郭(内側城郭)で二重に囲まれているが、外郭の最初の門となるのが「歓会門」だ。
「首里城」に招かれた中国皇帝の使者を「歓迎する」という意味で、この名が付けられた。
「歓会門」の両側には、「シーサー」という一対の石造の獅子像が、魔除けとして置かれている。

今は中国の使者でなく、観光客を歓迎している「歓会門」
今は中国の使者でなく、観光客を歓迎している「歓会門」

4. 琉球王国の文化を感じられる「瑞泉門」

「歓会門」の次にくぐる、第二の門「瑞泉門」。
門の手前にある湧き水「龍樋」にちなんで、「立派なめでたい泉」という意味の「瑞泉」と名付けられた。
石の門の上に櫓が載っている櫓門は日本の城門でも見られるが、櫓の「瑞泉」という横長の額に中国文化の影響が表れており、琉球王国の文化を感じられる。
「歓会門」や「久慶門」ができるまでは、この「瑞泉門」が首里城の正門だった。
門の両脇には「歓会門」と同様に一対のシーサーが門を守っている。

「首里城正殿」に続く2つ目の門「瑞泉門」
「首里城正殿」に続く2つ目の門「瑞泉門」

5. 首里城の歴史も学べる「首里杜館」

「首里杜館」は、「首里城」のインフォメーションセンター。
情報展示と休憩のための施設で、総合案内やレストラン・カフェ・売店などがある。
琉球の歴史と文化を学べる資料展示もあるので、守礼門をくぐる前にぜひ立ち寄ってほしい。
「レストラン首里杜」では、沖縄の郷土料理や琉球王家御用達・王朝味噌を使ったグルメも楽しめる。

外観も沖縄らしいデザインの「首里杜館」
外観も沖縄らしいデザインの「首里杜館」

琉球の歴史と文化を感じられる!首里城(有料区域)の見どころ3選

無料区域だけでも充分楽しめるが、有料区域にも多くの見どころがある。
世界文化遺産に登録された「首里城正殿遺構」をはじめとする、見逃せない観光スポットを3つご紹介。

1. 首里城の歴史を今に残す世界文化遺産「首里城正殿遺構」

「首里城正殿」は首里城で最も重要な宮殿で、儀式用の広い庭もある琉球王国で最大の木造建築だった。
火災や戦禍によって何度も消失や再建を繰り返しており、現在も2019年の火災によって損傷し、2023年時点では「首里城正殿」の美しい姿は見られない。
ただ、世界遺産に登録されている「首里城正殿遺構」は現存しているため、復元工事が終わる2026年には再び見学できる予定だ。
「首里城正殿遺構」とは、復元された「首里城正殿」の近くで発掘された、古い時代の「首里城正殿」の一部。
「首里城正殿遺構」から、何度も正殿が建て替えられたことがわかっている。
国指定史跡にも指定されている、歴史的価値が高い遺構だ。

何度も復元されてきた「首里城」
何度も復元されてきた「首里城」

2. 首里城の正殿に入る最後の門「奉神門」

首里城正殿のある「御庭」へ入る最後の門「奉神門」。
3つの門のうち中央は、国王など身分の高い人だけが通れる門である。
それ以外の役人は両側の門から入城した。
1754年に中国の制度にならって改修。明治末期ごろに撤去されたが、1992年に外観が復元された。
現在は有料区域の改札所となっている。
開館5分前に行われる「御開門(うけーじょー)」の儀式も見逃せない。
琉球王朝時代の役人の衣装をまとった係員が、ドラを叩き「ウケージョー」と発声したタイミングで、「奉神門」が開門する。
琉球の時代に迷い込んだかのような感覚が楽しめるので、ぜひ参加してみてほしい。

正殿・御庭へ入る最後の門
正殿・御庭へ入る最後の門

3. 那覇市内を一望できる「東のアザナ」

「アザナ」とは、遠くを見渡すために設けられた物見台のこと。
「漏刻門」や「西のアザナ」とともに、時刻を城内に知らせる役割を担った場所だ。
標高140mの位置にある「東のアザナ」からは、城外の町や城内の正殿裏などを見渡せる。
天候が良ければ知念半島、久高島まで見渡せる。
「首里城」に吹く心地良い風を感じながら、首里城周辺と那覇市街地をゆっくり眺めてみよう。

東のアザナからの眺め
東のアザナからの眺め

首里城周辺の観光スポット3選

首里城を満喫したら、周辺にある琉球王国の文化や歴史を残すスポットも楽しもう。
王族の陵墓や別邸など首里城以外にも見どころは多い。
「首里城」と合わせて訪れたい観光スポットを3つ紹介しよう。

1. 玉陵

1501年、琉球王国最盛期と名高い尚真王(しょうしんおう)の時代に建てられた陵墓。
首里城をモデルにしたという巨大な石造りで、遺骨が埋葬されている墓室が東西3つに分かれているのが特徴。
玉陵(たまうどぅん)に眠る王族の名が刻まれた玉陵碑をはじめ、1501年創建当初の遺構がそのまま残っている。

勇壮な石造りが圧巻の、琉球王が眠る世界遺産
勇壮な石造りが圧巻の、琉球王が眠る世界遺産

2. 首里金城町石畳道

首里金城町石畳道」は琉球王国時代の16世紀に整備された、首里城と各地方とを結ぶために整備された道のひとつである真珠道の一部。
首里城から500mほど離れた閑静な住宅街にある首里金城町の坂道。
幅平均約4mの道に約20-30㎝の琉球石灰岩が敷き詰められた石畳の道が約300mに渡って続いている。

16世紀に整備された、首里城へと続く石畳の道
16世紀に整備された、首里城へと続く石畳の道

3. 識名園

琉球王国第二尚氏王統、第15代尚温王代の1799年に完成した、琉球王家最大の別邸。王族の保養をはじめ、中国皇帝の使者である冊封使の接待などに利用された。
1941年、国の名勝に指定されたが、第二次世界大戦末期の沖縄戦で壊滅的に被災。
戦後の復興を経て1976年に国の名勝に再指定され、2000年には国の特別名勝の指定を受けた。
また同年、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産としてユネスコ世界文化遺産に登録されている。

琉球王国繁栄の面影を残す、王家最大の別邸
琉球王国繁栄の面影を残す、王家最大の別邸

首里城に関するよくある質問

Q

首里城は火災が起きて復旧中って本当?

A

「首里城正殿」で火災が発生し、正殿を含む8棟が焼損しました。2023年現在は、復旧・復興作業が行われています。

Q

首里城が復元されるのはいつ?

A

2026年の復元を目指しています。

Q

首里城へのアクセスは?

A

那覇空港からゆいレールと徒歩で、那覇空港から約45分でアクセスできます。

まとめ

沖縄の歴史・文化を象徴する美しい城「首里城」の、見どころと周辺スポットを紹介してきた。
この記事を参考に見どころを巡れば、「首里城」をより一層満喫できるだろう。
2023年時点では損傷した「首里城本殿」など見学できない施設もあるが、復旧・復興作業をしている様子は今しか見られない。
日没とともにライトアップされる「夜の首里城」もまた、格別の美しさを楽しめる。
沖縄の魅力的な観光スポットをもっと知りたい方は、観光スポットからグルメ、宿泊施設を厳選して紹介している、こちらの記事もぜひ読んでほしい。