車がなくても観光できる?旅行前に読むべき沖縄交通ガイド
沖縄旅行を計画中の方は「レンタカーがないと楽しめないのか」、「離島にはどうやって行くのか」など、交通事情について気になっているかもしれない。
レンタカーがあった方が自由度の高い旅行になりやすいが、必ずしも必要とは限らない。
観光プランや公共交通機関の利用を工夫すれば十分に満喫できる。
この記事では、沖縄観光の主要交通手段の詳細をはじめ、レンタカー使用の判断に役立つ情報を紹介する。
車を使わなくてもアクセス可能なエリア・お得な乗車券も案内していくので、ぜひ最後まで読んでほしい。
目次
沖縄観光の主な交通手段
沖縄は那覇市内を除いて公共交通手段は充実しているとは言えない。
車社会が根付いており、鉄道が通っていないことがその大きな要因だ。
レンタカーを借りた方が効率的に移動できるが、公共交通機関をうまく利用すれば車を使わなくても観光を楽しめる。
これから紹介する公共交通機関がカバーするエリアと、それぞれのメリット・デメリットを把握して、観光プランを立ててほしい。
那覇空港ターミナル直結の「ゆいレール」
「ゆいレール」は沖縄県内で唯一のモノレールで、那覇空港駅~てだこ浦西駅の全19駅を結ぶ17kmの路線。
那覇空港ターミナルから直結しているため、空港に到着後すぐに移動できる。
沿線には「国際通り(県庁前駅)」・「首里城(首里駅)」をはじめ、人気観光スポットが点在し、渋滞の心配をせずに効率よく巡れる。
レンタカーやタクシーとは異なり時間通りに行動しやすく、事前に立てたスケジュールに合わせた旅行を送れるだろう。
また、高い位置を走行する「ゆいレール」は見晴らしが良く、大きな窓から見渡す沖縄の街並みは絶景そのものだ。
シーサーやアートガラスといった伝統品が駅内に飾られ、車内メロディーに民謡が流れるなど、沖縄文化を肌で感じられる。
一方、2,3車両とコンパクトなので、朝夕のラッシュアワー時・大きな荷物を持っている場合は窮屈になる点がデメリット。
プランとシチュエーションによって使い分けられる4種類のバス
沖縄は鉄道が通っていない代わりに、様々な種類のバスが走っているのが特徴。
これから主な4つのバスについて紹介していくので、観光プランやシチュエーションに合わせて使い分けてほしい。
北部や南部にもアクセスできる「路線バス」
「路線バス」は、沖縄本島の南部から北部までほぼ全領域をカバーしているバス。
主要スポットに加えて、集落地にも停車するため、様々なエリア・場所にアクセスできる。
時間こそかかるが、雑誌やインターネットには載っていない地域の魅力に出会え、思わぬ発見があるのが路線バス旅行の醍醐味だ。
場所や滞在時間に縛られずに、自分好みのオリジナルなローカル旅行を楽しみたい方にお勧め。
また自由度が非常に高いので、行き先・予定の変更など柔軟に過ごせる。
一方で、渋滞でバスが時刻表通り来ない、タイミングを調整しないと乗り継ぎが難しい、スポットによってはバスで辿り着けない点がデメリット。
目的地が明確に決まっているならば、他のバスやレンタカーを利用した方が良い。
なお、沖縄のバスは前方乗車運賃前払い、前方乗車運賃後払い、後方乗車運賃後払いの大きく3パターンに分かれる。
路線バスの簡単な乗り方
- 1. 乗車
-
・前払いの場合:運賃箱に運賃を入れるor 該当部分にICカードをタッチ
・後払いの場合:整理券を取る or 該当部分にICカードをタッチ - 2. 降りたい場所が近づいたら降車ボタンを押す
- 前払い・後払いの場合も共通
- 3. 降車
-
・前払いの場合:そのまま降りる
・後払いの場合:運賃の支払い or 該当部分にICカードをタッチ
※運賃は前方のディスプレイに表示、ICカードは自動精算
目的地が決まっている方にお勧めの「シャトルバス」
「シャトルバス」は、那覇空港から主要観光スポットまで直接アクセスできるバス。
免許を持っていない方や運転が不安な方で、目的地が決まっている時に最適な交通手段だ。
トランクに大きな荷物を預けられるため、ゆいレールと違いくつろぎながら移動できるのもメリット。
本数が多く、料金も比較的リーズナブルなので費用を抑えたい場合にもお勧め。
しかし、複数のホテルを経由することから通常よりも時間がかかる可能性があり、車内にトイレがない点がマイナス要素に挙げられる。
また、事前予約必須・運行エリアが限定的というのも人によっては不便に感じるだろう。
主なシャトルバスは下記にまとめた。
種別 | 区間 | 途中の観光スポット |
---|---|---|
沖縄エアポートシャトル | 那覇空港~恩納・名護リゾートエリア~沖縄美ら海水族館※1日22便、停留所6~1 | 沖縄美ら海水族館/サンマリーナビーチ |
カリー観光シャトルバス | 那覇空港~ダブルツリーbyヒルトン沖縄北谷※1日2便、停留所11~15 | アメリカンビレッジ/とまりん |
初めての沖縄観光にお勧めの「定期観光バス」
「定期観光バス」は、各バス会社が観光客に向けて提案するツアーバス。
目当ての観光地や自分では探せないような隠れスポットなど、好みにあったプランを見つけて申し込みを行う形である。
当日はバスに乗って思うままに観光を楽しめる。
自分で細かい旅行計画をせずに厳選された沖縄の名所を効率良く巡れ、バスガイドから貴重な話を聞けるのもメリットだ。
リーズナブルな料金設定も魅力的で、タクシー・レンタカーを使用した時と比べるとコストパフォーマンスに優れる。
1日・半日、コミコミパック(昼食・施設・お土産)など、ツアーのバリエーションも豊富なので、自身の条件と照らし合わせて探せる。
各社のパッケージ内容、料金の比較を行い、トータルコストで選ぶのがお勧め。
ただしスケジュールが固定されているため、旅の自由度がとても低い。
気になる場所に途中で立ち寄る、もっといたい(早く次に行きたい)といった、旅行でありがちなシチュエーション時は我慢が必要だ。
空港とバスターミナルからホテルへの移動なら「空港リムジンバス」
「空港リムジンバス」は、那覇空港・那覇バスターミナルと主要のリゾートホテルを結んでいるバス。
事前予約が必要だが、空港では手続きに時間がかからずスムーズに移動でき、ホテルのエントランス前で降りられる。
まずはホテルに直行したい方、ホテル周辺で観光が完結する方、(荷物が多い・小さい子供がいるなどで)移動を最小限に抑えたい方にお勧め。
その反面、他と比べて料金がやや割高、飛行機の到着時間次第では空港で待ち時間が発生してしまうのがデメリット。
空港リムジンバスはルートによって、いくつかのエリアに分かれているので、主な4つのエリアの経由ホテルと料金は下記の表にまとめて紹介しよう。
エリア | 主な経由ホテル | 料金(中学生未満は半額) |
---|---|---|
A | 沖縄プリンスホテルオーシャンビューぎのわん/ラ・ジエントホテル沖縄北谷/ヒルトン沖縄北谷リゾート | 600円~810円 |
B | ルネッサンスリゾートオキナワ/グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート/星のや沖縄 | 1,530円 |
C | ホテルモントレ沖縄スパ&リゾート/シェラトン沖縄サンマリーナリゾート/ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート | 1,530〜1,730円 |
D | ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄/オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ ・ザ・リッツカールトン沖縄/かねひで喜瀬ビーチパレス | 1,730〜2,240円 |
※1. いずれも那覇空港国内線ターミナル12番乗り場から発車
※2. 2024年9月時点の情報
他の交通手段と合わせて利用したい「タクシー」
レンタカーを利用せずに、沖縄を観光するならタクシーも主要交通手段となる。
指定した場所に直接辿り着け、猛暑や雨の日でも快適に移動できるのが魅力だ。
人との接触も最小限なので、プライベートな時間を有効に活用したい人にお勧め。
ただし費用がかさみやすく、時間帯によっては渋滞に捕まるリスクが伴う。
一口にタクシーと言っても、様々な種類があるので以下にそれぞれの特徴をまとめた。
- 一般的なタクシー
-
初乗り運賃600円と他県と比べると安く、気軽に使いやすい。
ちょっとした移動や疲れた時などにも便利。
都市部では配車アプリを使えば、簡単に手配もできる。 - シャトルタクシー
-
空港からホテルに直行する予約制のタクシー。
時間を無駄にせずに、スムーズかつゆったりと移動ができる。 - 観光タクシー
-
目的の観光地を巡ってくれる時間定額制のタクシー。
荷物を置いたまま複数のスポットを効率的に回れる。
希望すればドライバーから観光案内も受けられる。
離島へのアクセスに利用する「フェリー・高速船」
沖縄には離島が多いため、離島を観光する場合はフェリーと高速船を利用しなければならない。
本島から離島にアクセスする際の港は下記の表を参考にしてほしい。
ちなみに、宮古島や石垣島などの人気エリアには飛行機経由(宮古空港・新石垣空港)となる。
- 運天港
- 伊平屋(いへや)島、伊是名(いぜな)島
- 渡久地(とぐち)港
- 水納(みんな)島
- 本部(もとぶ)港
- 伊江(いえ)島
- 平敷屋(へしきや)港
- 津堅(つけん)島
- 安座間(あざま)港
- 久高(くだか)島
- 泊(とまり)港
- 渡嘉敷(とかしき)島、座間味(ざまみ)島、阿嘉(あか)島、久米(くめ)島、渡名喜(となき)島、粟国(あぐに)島、南大東島、北大東島
自由気ままなドライブ旅行を満喫できる「レンタカー」
沖縄の観光を最大限に満喫するならば、レンタカーが最もお勧め。
一番のメリットは、自由なスケジュールで行きたいスポットに効率よく巡れること。
時間に縛られないため、気分に合わせてプランも柔軟に変更できる。
何より移動が快適で荷物や時刻表を気にしなくても良い。
さらに、青い海や豊かな自然といった景色を楽しめるのは沖縄ドライブならでは魅力だ。
人気観光地となっている離島なら、離島内にもレンタカー会社の営業所があるのでレンタカーを借りられる。
しかし、慣れない土地での運転は想像以上に難しくストレスを感じやすい。
沖縄の交通ルールは特殊で、気をつけないと事故・違反につながる。
また主に那覇市街地の朝夕は慢性的に渋滞によって、計画したスケジュールがずれる可能性が高い。
沖縄でドライブ時の注意点を中心に必要な情報をまとめた、こちらの記事も参考にレンタカーの使用を検討してほしい。
車がなくても沖縄を観光できる?
エリアやスポットは限定されるものの、レンタカーを借りなくても沖縄は観光できる。
レンタカーにも費用がかかる・渋滞が多いといった不安点があり、状況次第では借りない方が観光しやすいこともある。
利用を推奨するケースとしないケースを以下の表にまとめたので、観光プランとも照らし合わせながら参考にしてほしい。
- 車がなくても観光しやすいエリア、ケース
-
・那覇市内エリアを中心に観光する場合
・目的の観光スポットがホテル周辺にある場合
・観光ツアーに参加する場合
・アルコールや地酒を楽しみたい方 - 車がないと観光が難しいエリア、ケース
-
・中部、北部エリアのリゾートエリア(名護市、恩納村など)方面や離島を観光する場合
・アクティビティなど荷物が多くなるスポットに行く場合
・自由度の高い旅行にしたい方
・様々な観光スポットを巡りたい方
那覇空港から那覇市国際通りまでのアクセス
那覇空港から沖縄旅行の拠点となる「那覇市国際通り」までのアクセスを紹介する。
様々な移動方法があるので、主に使われている3つの経路を表にまとめた。
目的や予算に応じて最適なものを選び、スムーズに旅行を始めてほしい。
ゆいレールを使ったアクセス
- 経路
-
1.「那覇空港」から「那覇空港駅」まで徒歩(5~6分)で移動
2.「那覇空港駅」からゆいレール・てだこ浦西行に乗車し、「県庁前駅」で下車
3.「県庁前駅」から徒歩数分で「那覇市国際通り」に到着 - 運賃(片道)
- 270円
- 所要時間
- 約20分
路線バスを使ったアクセス
- 経路
-
1.「那覇空港」から「那覇バスターミナル」まで徒歩(3~5分)で移動
2.「那覇バスターミナル」1番乗り場から東京バス・ウミカジライナー国際通り入口行に乗車し、「国際通り入り口」で降車、到着
※他路線でもアクセスできるが運賃が上がる - 運賃(片道)
- 240円
- 所要時間
- 約25分
タクシーを使ったアクセス
- 経路
-
1.「那覇空港」からロビーを出てすぐのタクシー乗り場に向かう
2.「那覇市国際通り」で降りる - 運賃(片道)
- 約1,500円
- 所要時間
- 約15分
沖縄本島から離島へのアクセス
沖縄本島だけでなく、離島への観光も検討中の方は下記の表を参考にしてほしい。
いずれもまずは飛行機で空港までアクセスし、空港から路線バス・タクシー・レンタカーを使ってホテルや観光スポットに向かう形だ。
それぞれの離島には簡単に行けるので、予算・スケジュールに余裕があれば、沖縄を丸ごと楽しむプランを組んでも良いだろう。
石垣島と宮古島へは7時~19時まで1時間に1~2本のペースで運行便があるため、スケジュールの調整も効きやすい。
行き先 | 経路 | 所要時間 |
---|---|---|
石垣島 | 「那覇空港」からJAL・ANA・LCC便のいずれかに搭乗し、「新石垣空港」で降機 | 約1時間 |
宮古島 | 「那覇空港」からJAL・ANA・LCC便のいずれかに搭乗し、「宮古空港」で降機 | 約50分 |
久米島 | 「那覇空港」からJAL便に搭乗し、「久米島空港」で降機 | 約35分 |
※久米島のみ泊港からフェリーでもアクセス可(ただし1日2便、約3時間30分かかる)
公共交通機関を利用するなら交通カード「OKICA」の利用がお勧め
沖縄で利用されている交通系ICカードは「OKICA」である。
首都圏で流通する「Suica」・「PASMO」なども、ゆいレールやコンビニであれば使え、券売機でチャージもできる。
ただし、タクシーは一部会社に限られ、バスでは基本的に「OKICA」のみの対応なので注意が必要だ。
そのため、バス・タクシーがメインの移動手段になる場合は下記を参考に「OKICA」の購入を検討してほしい。
- 販売価格
-
1,000円 / 2,000円 / 3,000円 / 4,000円 / 5,000円 / 10,000円
※デポジット500円を含む(購入金額から500円引いた額が初回利用可能) - 購入場所
- 券売機、バス・モノレール窓口
公共交通機関で沖縄を巡るなら利用すべきお得な乗車券と割引チケット
最後に公共交通機関を使った沖縄観光を予定中の方に、お勧めの乗車券と割引チケットを紹介する。
いずれも充実した旅行のサポートしてくれるアイテムだ。
観光プランによっては交通費がお得になる可能性があるので、内容を参考の上で購入を検討しよう。
沖縄路線バス周遊パス
「沖縄路線バス周遊パス」は、沖縄本島内の指定されたバス路線を期間内無制限で利用できるパス。
1枚あれば那覇市内だけでなく、南部や北部エリアの観光スポットにも行けるため、旅行者の快適な移動を手助けする。
また、ゆいレールを含んだパスもあり、目的に応じて使い分けられる点もメリット。
詳細は以下の表にまとめた。
- 対象
-
琉球バス・沖縄バス・那覇バス・東陽バスの全路線
※111番、117番、空港リムジンバス、定期観光バスは対象外 - 購入場所
- 那覇バスターミナル1F、那覇市観光案内所、定期観光乗り場、OTOPaアプリなど
- 料金
-
【沖縄路線バス】
1日パス:大人2,500円 / 小児1,250円
3日パス:大人5,000円 / 小児2,500円
【沖縄路線バス+ゆいレール】
1日パス:大人3,000円 / 小児1,500円
3日パス:大人5,500円 / 小児2,750円
Okinawa FunPASS
「Okinawa FunPASS」は、沖縄の観光地、食事、ショッピングを楽しむための便利な電子チケット。
チケットを利用すれば、「沖縄美ら海水族館」・「古宇利オーシャンタワー」などの人気スポットの入場券をはじめ、複数の飲食店・施設で割引を受けられる。
DTSレンタカー・ドン・キホーテなど一部の店舗では、QRコードの提示による特典・優待サービスが付与されるのもポイント。
任意のスポットや食事を自由に選択する形で、チケットは大きく6つに分かれており、旅行計画に応じて活用できる。
有効期限は使用開始後5日間と長めの設定もうれしい。
バスやゆいレールなどのチケットと割引チケットがセットになった、交通オプションについては現在調整中、簡単な概要は以下の通り。
詳しくは公式サイトを参照してほしい。
- 購入場所
-
指定の代理店経由
※購入後OKINAWA FunPASSアプリでアクティベートが必要 - 料金
-
8 in 1セットチケット:大人8,146円 / 子供4,704円
7 in 1セットチケット:大人6,784円 / 子供3,392円
6 in 1セットチケット:大人5,992円 / 子供3,219円 など
沖縄の交通に関するよくある質問
Q
公共交通手段だけで沖縄を観光するならどのエリアがお勧め?
那覇空港から近く、人気観光スポットが多い「南部エリア」がお勧めです。
Q
公共交通手段だけでアクセスできないエリアは?
リゾートエリア(中部・北部)や離島の一部は車がないとアクセスが難しいです。
Q
沖縄はレンタカーがないと観光できない?
エリア・スポットを限定すれば観光できますが、最大限に楽しむためにはレンタカーを借りた方が良いでしょう。
まとめ
沖縄における公共交通機関の詳細、観光でのレンタカーの必要可否を中心に、沖縄旅行をより快適かつ楽しむために必要な情報を紹介してきた。
一見するとレンタカーを借りなければ満喫できないように思えるが、実は不便な部分もあり、目的地次第では、ゆいレールやバスを組み合わせた方が良い場合もある。
レンタカーと公共交通機関のメリット・デメリットをそれぞれ比較すれば、自身に合った手段が自然と見えてくるはずだ。
沖縄の中でも特に人気な観光スポット・お勧めの飲食店を紹介している、こちらの記事も参考に素敵な旅行プランを作ってほしい。