
標高2,156mの絶景へ!「新穂高ロープウェイ」で巡る奥飛騨1日モデルコース
日本の屋根とも呼ばれる北アルプスの雄大な眺めを楽しめる「新穂高(しんほたか)ロープウェイ」。
日本唯一の2階建てロープウェイに乗れば、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に二つ星として掲載された360度の大パノラマを気軽に体感できる。
この記事では、「新穂高ロープウェイ」の魅力を中心に、風情あふれる飛騨高山の古い町並、奥飛騨温泉郷、白川郷といった周辺のお勧め観光スポットを紹介していく。
また、「新穂高ロープウェイ」とその周辺を楽しめるお得なきっぷ情報も記載しているので、最後まで読んでほしい。
標高2,156mの世界へと運んでくれる「新穂高ロープウェイ」
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷の最奥に位置する「新穂高ロープウェイ」は2つのロープウェイで構成されている。
ひとつ目は山麓(さんろく)にある「新穂高温泉」駅と中腹にある「鍋平高原」駅を結ぶ第1ロープウェイ(全長573m・高低差188m)。
2つ目は中腹の「しらかば平」駅と山頂の「西穂高口」駅を結ぶ第2ロープウェイ(全長2,598m・高低差848m)だ。
第1ロープウェイのゴンドラ定員は45名、第2ロープウェイの2階建てゴンドラ定員は105名。
2つのロープウェイを乗り継いで、全長3,171m・約25分の空の旅を楽しめる。
ゴンドラからは西穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などの北アルプスの山々が織りなす景色も魅力だ。
特に高低差848mを一気に上がる第2ロープウェイの7分間は、ダイナミックな景色の移り変わりに圧倒される。
鉄塔を通過するときの浮遊感や客車とすれ違う瞬間には、乗客から歓声が上がることも。
山頂・中間エリアでの過ごし方にもよるが、全体の滞在時間は2〜3時間が目安となっている。

「新穂高ロープウェイ」の営業時間と料金
通年営業している「新穂高ロープウェイ」。
営業時間はグリーン(4月1日〜11月30日)、サマー(8月)、紅葉(10月の土日祝)、ウインター(12月1日〜3月31日)の期間によって異なる。
| シーズン/駅 | 「新穂高温泉」駅(上り) | 「しらかば平」駅(上り) | 「西穂高口」駅(下り) | 「鍋平高原」駅(下り) |
|---|---|---|---|---|
| グリーン | 始発8:30/終発16:00 | 始発8:45/終発16:15 | 始発8:45/終発16:45 | 始発8:30/終発17:00 |
| サマー・紅葉 | 始発8:00/終発16:00 | 始発8:15/終発16:15 | 始発8:15/終発16:45 | 始発8:00/終発17:00 |
| ウィンター | 始発9:00/終発15:30 | 始発9:15/終発15:45 | 始発9:15/終発16:15 | 始発9:00/終発16:30 |
第1・第2ロープウェイ連絡の往復運賃は大人3,800円、小人1,900円。
片道運賃が大人2,400円、小人1,200円で、事前にWEB乗車券を購入することも可能だ。

「新穂高ロープウェイ」へのアクセス方法
岐阜県の北東部、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷新穂高温泉に位置する「新穂高ロープウェイ」。
富山県、長野県との県境にも近く、飛騨高山、白川郷、松本といった観光地と合わせて訪れる旅行者も多い。
各地からのアクセスは以下の通りだ。
- 名古屋から
- JR「名古屋」駅からJR「高山」駅までJR特急ひだで約2時間20分。下車後、路線バスに乗り換え約1時間40分で到着。
- 大阪から
- JR「新大阪」駅から東海道新幹線でJR「名古屋」駅へ。JR特急ひだに乗り換えJR「高山」駅まで約3時間20分。下車後、路線バス乗り換え約1時間40分。
- 東京から
- 「新宿」駅から「平湯温泉」バスターミナルまで高速バスで約5時間10分。「平湯温泉」バスターミナルから「新穂高温泉」駅までは路線バスで約30分。
- 松本から
- 「松本」駅から「平湯温泉」バスターミナルまで高速バスで約2時間10分。「平湯温泉」バスターミナルから「新穂高温泉」駅までは路線バスで約30分。
- 白川郷から
- 「白川郷」バス停から「高山」駅まで濃飛バス 白川・金沢線で約50分。「高山」駅から「新穂高」駅まで路線バスで約1時間40分。

「新穂高ロープウェイ」で楽しむ四季の景色
「新穂高ロープウェイ」からは、日本の屋根とも呼ばれる北アルプスの眺めを、新緑や紅葉、雪景色など、四季を通して楽しむことができる。
ここでは、四季別に「新穂高ロープウェイ」で見られる景色を見ていこう。
春|残雪と新緑のコントラストが見られる
春は山頂の残雪と新緑のコントラストが美しい。
春風に乗ってウグイスのさえずりが聞こえてくることも。

夏|青い空と濃い緑の山の木々に囲まれる
夏には山の木々が新緑を過ぎ、濃い緑に変わる。
真夏でも山頂エリアは20度を超えないため、涼しくて過ごしやすい。

秋|三段紅葉に染まる彩り豊かさを楽しめる
秋には赤・黄・橙の紅葉が山を彩る。
初雪の白、紅葉の赤色、針葉樹の緑色の3色が織りなす「三段紅葉」は、秋と冬の景色が一度に楽しめる絶景だ。
水蒸気が氷となって樹木に付着する「霧氷(むひょう)」が見られることもある。
-
年により前後するが、10月中旬から下旬が紅葉の見頃
-
紅葉が残る樹木が「霧氷」で覆われた様子
冬|雪化粧した神秘的な山々の壮観さと出会える
冬には山々が雪化粧した神秘的な景色が見られる。
一面に広がる白銀の世界は壮観だ。
1月中旬から3月中旬には、「西穂高口」駅に隣接する頂の森に雪の回廊が登場する。

奥飛騨の拠点「新穂高ロープウェイ」で巡る秋の1日モデルコース
北アルプスの絶景を手軽に楽しめる「新穂高ロープウェイ」。
ここでは麓から山頂エリアを目指し、空中散歩をしながら秋の紅葉に染まる山々を一望するモデルコースを紹介。
山頂周辺の展望台や遊歩道で自然を満喫し、中間エリアに点在する足湯やカフェなどのスポットを巡るプランとなっている。
「新穂高ロープウェイ」を利用して、奥飛騨の雄大な景色と秋の彩りを楽しもう。
「新穂高温泉」駅から山頂の「西穂高口」駅を目指す!
まずは麓にある「新穂高温泉」駅から第1ロープウェイに乗り込む。
「しらかば平」駅で第2ロープウェイへと乗り継ぎ、山頂の「西穂高口」駅へ。
混み合わずスムーズに行けば、山頂までロープウェイの乗車時間はなんと約25分。
約25分間の空中散歩では、眼下に広がる移り行く景色が見どころ。
特に秋は見事で、三色紅葉で染まった姿から霧氷で覆われる山々の変化を楽しめる。



【山頂エリア】標高2,156mの屋上展望台「AlpScape」からの絶景
「新穂高ロープウェイ」の山頂「西穂高口」駅(標高2,156m)へ。
「西穂高口」駅の屋上にあるのは、2025年7月にリニューアルされた展望台「AlpScape(アルプスケープ)」だ。
ウッドデッキが新設され、より高い視点から北アルプスの雄大な眺望を楽しめるようになった。
ここからの眺望は「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に二ツ星で掲載されている。
西穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などの標高3,000m級の山々を 360度の大パノラマで見られるのは、ここまで上がってきた人だけ。
写真や動画では伝わりきれない、息をのむ絶景を体験できる。



【山頂エリア】大自然と調和した空間を体感できる「頂の森」
「西穂高口」駅に隣接する「頂(いただき)の森」。
世界屈指の山岳景観を誇る北アルプスのありのままの自然に、五感でふれることをコンセプトにした自然体験型スペースだ。
槍・穂高連峰を間近で感じられるブーメランのように張り出したデッキ「槍の回廊」。
そして、原生林の静けさに包まれる散策路「オオシラビソの道」や壮大な西穂高連峰を眺めるデッキ「西穂の踊り場」など、大自然と調和した空間が広がる。
標高2000m超の「槍の回廊」から眺める北アルプスの山々の美しさは一見の価値ありだ。



冬の「頂の森」では雪の回廊が見られる!
1月中旬から3月中旬には、降り積もった雪を積み重ねてできる、高さ2〜3m、全長50mにわたる雪の回廊が登場。
冬ならではの「新穂高ロープウェイ」の冬の名物となっている。

【山頂エリア】新穂高の大自然を“五感”で味わえるCAFÉ「GOKAN」
2025年に「西穂高口」駅2階にオープンした「CAFÉ GOKAN」。
山頂エリアで伐採された木材や県産材を利活用した家具を配した「CAFÉ GOKAN(カフェゴカン)」だ。
スギ、モミ、ウダイカンバ、ダケカンバ、カラマツ、オオシラビソといった木材に囲まれたリラックスできる雰囲気のなか、温かいフードメニューや、デザート、ドリンクを楽しめる。
地元産食材や大人から子どもまで人気の食材を使ったイチオシ商品のホットサンド。
作りたてをアツアツで提供してくれるので寒い季節にはとても嬉しい。
頂の森へテイクアウトして、手軽にピクニック気分を味わえる。



【山頂エリア】「西穂高口」駅限定グッズが買えるおみやげショップ「MEGUMI」
「西穂高口」駅2階にある「MEGUMI」。
ここでしか手に入らない限定グッズを多数取り揃えたおみやげショップだ。
特におみやげとしてお勧めなのが、mont-bellとのコラボ商品のTシャツやクリアボトル。
「頂」のロゴがあしらわれた「新穂高ロープウェイ」オリジナルデザインとなっている。
また、「頂の森」に生えていた希少価値の高いオオシラビソの枝葉から抽出した「エッセンシャルオイル」や「アロマスプレー」もお勧めだ。
柑橘系を思わせる甘くてスパイシーな香りが心地よく、自分へのご褒美みやげにもいい。
そのほか、実際にゴンドラを引っ張っていたワイヤーを使用したオリジナル「絆さるぼぼ」も人気。
「切れない」「落ちない」と縁起が良いため、受験生やカップルなどが購入していくそうだ。



第2ロープウェイで【山頂エリア】から【中間エリア】へ移動
山頂エリアでの散策を終えたら、中間エリアへと向かう第2ロープウェイを下る。
山頂から中間エリアまで約7分。
中間エリアもベーカリーショップやビューラウンジ、足湯、おみやげショップが揃う。
第2ロープウェイを降り、焼き立てパンの香りに誘われるように、まずは「アルプスのパン屋さん」へ向かう。

【中間エリア】香ばしい焼き立てパンを買える「アルプスのパン屋さん」
「アルプスのパン屋さん」は、「しらかば平」駅2階にあるベーカリーショップ。
パンの種類が豊富で、一番人気の「クロワッサン」はプレーン、チョコ、あんこ、バニラに加えて期間限定味も登場する。
飛騨牛入りのカレーを包んだ飛騨牛焼きカレーパン、郷土料理の朴葉味噌をイメージした朴葉味噌パンなど、飛騨高山らしさを感じられるパンもお勧めだ。
2階建てゴンドラの焼印がついた「ゴンドラ食パン」や「アルプスのプリン」はおみやげにも人気。


【中間エリア】雄大な景色を眺めながら休憩できる「ビューラウンジ」
「アルプスのパン屋さん」で購入したパンやコーヒーやカフェラテなどのドリンクは、隣接する「ビューラウンジ」でゆっくりいただくこともできる。
窓の向こうに広がる雄大な景色を眺めながら頬張る焼き立てパンのおいしさは格別だ。
カウンター席とテーブル席をあわせて90席ほどあり、カウンター席には電源も用意されている。


【中間エリア】誰でも自由に利用できる新穂高温泉の「足湯」
「しらかば平」駅の目の前には「足湯」があり、ゴンドラを眺めながら利用できる(無料)。
新穂高温泉を引いているため、「足湯」の周辺には硫黄の香りが漂う。
山の温泉地らしさを感じることができ、歩き疲れたときにお勧めだ。
タオルなどの貸し出しなどはないため、足を拭くためのタオルや手拭いがあるといい。


【中間エリア】種類豊富なアイテムがそろうおみやげショップ「TSUMUGI STORE」
2025年に「しらかば平」駅1階にリニューアルオープンした「TSUMUGI STORE」。
「新穂高ロープウェイ」オリジナルの日本酒や地元の特産品、限定の塩チョコレートパイ、クラフト商品などを揃えるおみやげショップだ。
ウッディーで落ち着いた雰囲気のなか、買い物を楽しめる
「木のお店デザインモリス」のヒノキを使ったマグネットや、ピアス・イヤリングはここでしか買えない限定品。山の思い出と森の香りを身近に置いておけそうだ。
地元食材を使用したこだわりの「TSUMUGIジェラート」もぜひ味わってみよう。



冬季限定のお勧めアクティビティ!「スノーシューツアー」
スノーシューツアーは、スノーシュー(西洋かんじき)を履いて白銀の世界を歩く冬季限定のアクティビティ。
普段は草木が生い茂り、立ち入ることができない鍋平高原の森を、ベテランガイドの案内のもと散策できる特別なツアーだ。
スノーシューを履くことで浮力が増し、足が雪に埋まることなく、ふかふかの新雪の上を歩けるから、雪山初心者も安心だ。
幻想的な白銀の世界は、雪が音を吸収するため静寂に包まれ、シラカバの枝のしなる音と自分たちの足音しか聞こえない。
鍋平高原を独り占めしているかのような感覚を味わえる。
ツアー参加者だけの特別な空間で忘れられない思い出を作れるだろう。

奥飛騨・新穂高の旅の拠点にするなら「高山」が便利!
「高山」は交通の要所で宿泊施設や飲食店も充実しており、観光拠点として便利なエリア。
そのため、奥飛騨・新穂高への旅に出かけるなら、「高山」を拠点にするのがお勧めだ。
「高山」の古い町並や朝市、伝統工芸を楽しんだ後は、奥飛騨へ足を延ばそう。
「高山」と奥飛騨・新穂高を1泊2日で組み合わせれば、日本の風情と大自然を一度に体験できる。
「新穂高ロープウェイ」周辺をお得に!「奥飛騨まるごとバリューきっぷ 2日間」
「新穂高ロープウェイ」周辺をお得に楽しく巡るなら、「奥飛騨まるごとバリューきっぷ 2日間」を活用しよう。
「高山濃飛バスセンター」バス停から「新穂高ロープウェイ」区間のバスが2日間乗り放題の乗車券と、「新穂高ロープウェイ」の乗車券がセットになったお得な乗車券だ。
きっぷを提示することで、「飛騨大鍾乳洞」や「ひらゆの森」などの入園&入浴料金が割引になる特典も。
「奥飛騨まるごとバリューきっぷ 2日間」を使って奥飛騨を遊び尽くそう。
奥飛騨・新穂高と合わせて巡りたい!人気観光スポット3選
奥飛騨・新穂高とともに合わせて巡ることでより一層、日本の風情やほかでは見られない自然の偉大さを感じられるスポットがある。
ここでは厳選した3つの人気観光スポットを紹介していく。
1. 奥飛騨温泉郷
平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉という5つの温泉地からなる「奥飛騨温泉郷」。
北アルプスの懐にあり、大自然の恵みを受けた露天風呂は、湯量豊富な天然温泉で、季節ごとの山々が織りなす美しい景色を楽しむことができる。
北アルプスの登山口として親しまれ、雄大な景色が間近に迫る。

2. 飛騨大鍾乳洞&大橋コレクション館
飛騨高山と奥飛騨温泉郷の中間に位置しており、全長約800mに及ぶ国内屈指の鍾乳洞。
日本で一番標高の高い場所にある観光鍾乳洞でもある。
洞窟内はライトアップされていて、幻想的な世界を楽しめる。
併設されている「大橋コレクション館」では、飛騨大鍾乳洞の発見者である「故・大橋 外吉」氏が集めた世界の美術品、装飾品など約1000点を展示している。

3. 白川郷
日本の原風景が今なお残る美しい地域「白川郷」。
合掌造りの建物が最も多く残る地域で、大小あわせて現在100棟余りある(2016年)。
合掌集落の規模としては全国で最大で、国の伝統的建造物群保存地区に選定されている。
1995年には「人類の歴史上重要な時代を例証するある形式の建造物、建築物群技術の集積、または、景観の顕著な例」として世界文化遺産に登録された。
この地域には今でも人が住んでおり、実生活の場として使われているところに価値がある。
それが他の地域の合掌民家集落と違うところだ。

「新穂高ロープウェイ」に関するよくある質問
Q
運休することはありますか?
安全の確保のため、強風の場合には、天候にかかわらずロープウェイの運行を見合わせる場合があります。運行状況はこちらで確認してください。
Q
麓と山頂付近はどのくらいの気温差がありますか?
100mの標高差で0.6℃気温が変わると言われており、「西穂高口」駅と「新穂高温泉」駅とでは気温が6〜10℃ほど違います。
Q
Wi-Fi環境は整っていますか?
「新穂高温泉」駅、「鍋平高原」駅、「しらかば平」駅、「西穂高口」駅では、無料Wi-Fiを導入しています。
まとめ
「新穂高ロープウェイ」の見どころや周辺の人気観光スポットを紹介してきた。
飛騨高山と言えば風情あふれる飛騨高山の古い町並が有名。
それだけではなく、高山市中心部から奥飛騨まで足を延ばせば、四季折々の大自然や個性豊かな温泉を堪能できるのが魅力だ。
特に「新穂高ロープウェイ」では、2階建てゴンドラで空中散歩を楽しむだけでなく、屋上展望台「AlpScape」や「頂の森」から北アルプスの絶景を眺め、食事や買い物も楽しめる。
標高3,000m級の山々に囲まれながら、夏は緑、秋は紅葉と、四季折々の表情を見せてくれる新穂高。
世界水準の山岳リゾートとしてますます注目されていくに違いない。