Roots of Japan 〜永源寺・政所茶から日本の原風景に触れる〜

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

紅葉の名所としても知られ、国内外から多くの参拝者が訪れる滋賀県「大本山 永源寺」。こちらでは、呼吸と姿勢を整え、静かに自分と向き合う「坐禅」、食を通じて仏の教えが学べる「精進料理」を味わう体験など、古刹ならではのコンテンツが充実しています。またお寺の近くにある「奥永源寺」という集落にも足を伸ばして、完全有機・無農薬の「政所茶」の栽培の様子を見学しましょう。多彩な体験を通じて日本の原風景を辿り、SDGsが根付いた土地の暮らしにも触れられるツアーは地域資源を生かした魅力がたくさん。

目次

永源寺へのアクセス

  • 関西国際空港から=JR関西空港線特急、JR東海道線新快速、近江鉄道八日市線を乗り継いで約4時間
  • 八日市駅から=近江鉄道バス・御園線で約35分

四季折々の景色。紅葉時期は特別公開&ライトアップも

春の桜を皮切りに、初夏は新緑、秋の紅葉、冬の雪化粧と、どのシーズンに訪れても豊かな景観で魅了する「大本山 永源寺」。なかでも、11月上旬から下旬にかけて見頃を迎える紅葉がおすすめです。ヤマモミジ・カエデ・イロハモミジなど、およそ3,000本の木々が山腹&境内各所を秋色に彩り、参拝者らの目を楽しませます。
参道、山門付近はまるで紅葉のトンネルのような美しさを誇り、幽渓を望む端正な庭園、歴史ある多宝塔や御影堂とともに紡ぐ風雅なコントラストも素晴らしいの一言です。

空を見上げれば一面、秋色に覆われる山門前の紅葉のトンネル。毎年11月からは山門特別拝観も実施する
空を見上げれば一面、秋色に覆われる山門前の紅葉のトンネル。毎年11月からは山門特別拝観も実施する
どこにカメラを向けても絵になる庭園と紅葉のコラボレーション
どこにカメラを向けても絵になる庭園と紅葉のコラボレーション

毎年11月から約1ヶ月は山門特別拝観と夜間ライトアップを実施。普段は非公開の文化財をガイドさんのナビゲートのもとで巡拝が可能。この時期だけの特別な夜間の紅葉狩りを満喫しましょう。灯りに照らされた境内は、昼間とはひと味違う神秘的かつ幻想的な雰囲気に包まれています。

期間中は曜日限定でアーティストによるミニライブが開催されるほか、物販や展示といったイベントも楽しみ。なお日が沈んだ時間帯は相当冷え込むので、暖かな服装で訪れるのがベターです。

山門前の紅葉のトンネルもライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な空間に
山門前の紅葉のトンネルもライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な空間に
初夏になると見ることができる、生命力あふれる青々とした青もみじも美しい
初夏になると見ることができる、生命力あふれる青々とした青もみじも美しい

仏の教えを学べる各種修行体験で心穏やかに

「永源寺」では古刹にふさわしいさまざまな体験をすることができます。
禅宗の僧侶らが修行の一環で行う「坐禅」の体験は、僧侶から説明と作法を教わり、精神を統一させるところからスタート。静寂に包まれた環境で、無我の境地に触れつつ自分と向き合い、心を澄ませる貴重なひとときを過ごすことができます。

仏教の開祖・釈迦の修行から始まった坐禅。事前に丁寧な説明があるので、初心者でも安心して体験に参加できる
仏教の開祖・釈迦の修行から始まった坐禅。事前に丁寧な説明があるので、初心者でも安心して体験に参加できる

仏教の修行に欠かせない「精進料理」を味わう体験も用意。肉・魚介類は不使用で野菜・海藻・果実等を取り入れたメニューの数々は、どれも自然の恵みを感じる素朴な美味しさばかり。味わうことに感謝しながら、殺生や煩悩への刺激を避けるという仏の教えを学びましょう。

仏教と密接につながっている精進料理。体験では、滋賀県出身の料理人が現代風にアレンジしたメニューを提供
仏教と密接につながっている精進料理。体験では、滋賀県出身の料理人が現代風にアレンジしたメニューを提供

ほかにも近江三大茶のひとつに挙げられる「政所茶」や、江戸時代中期(1710-1790頃)以降に見出された日本の伝統文化「煎茶道」の特徴を知る体験も評判です。

ローカルな文化コンテンツが揃う谷あいの集落へ

日本の原風景に出会えるのは「大本山 永源寺」だけではありません。寺から少し足を伸ばして、「奥永源寺」と呼ばれるエリアへ向かいます。山脈の谷あいにあるこちらの集落には、悠久の時をこえて受け継がれてきた独自の文化が残されています。

森林に囲まれた谷あいの「奥永源寺」エリア。のどかで静かな日本の原風景に清涼な茶畑の緑色が映える
森林に囲まれた谷あいの「奥永源寺」エリア。のどかで静かな日本の原風景に清涼な茶畑の緑色が映える

特に、古くから美しい水が湧出する利点を生かした「政所茶」の栽培の様子は必見。完全有機・無農薬を真摯に守り、寒暖差のある気候のもとで作られる茶は、風味に富むうえ、甘さを感じる味わいが格別で各時代の権力者たちをも魅了し続けてきました。現在もなお集落の各所に茶畑が形成されていて、周囲ののどかな風景を引き立てる清涼で青々しい色あいが心に染み渡ります。

日本で唯一、この集落でしか栽培されていないことから幻の銘茶とも呼ばれる「政所茶」の試飲も楽しみ
日本で唯一、この集落でしか栽培されていないことから幻の銘茶とも呼ばれる「政所茶」の試飲も楽しみ

現地では茶畑の散策、試飲だけでなく、時期によっては茶摘み体験への参加も可能。SDGsに配慮した山の香りあふれる"幻の銘茶"の魅力にぜひ触れてみてください。さらに藁葺屋根の保存についての取り組みをはじめ、「奥永源寺」でしか体験できないローカルな文化コンテンツもバラエティ豊かに揃っています。