
NO HAMBURG, NO LIFE!ハンバーグ徹底ガイドと推しのお店10選
家庭料理の定番として、外食の人気メニューとして、子どもから大人まで幅広い世代から愛されるハンバーグ。今や日本を代表する国民食の一つといっても過言ではないだろう。近年では第4次ブームが到来中で、ハンバーグの世界が熱く盛り上がっている。今回は、日本ハンバーグ協会の理事長で、ハンバーグ専門家/ハンバーグコミュニケーターのバーグマン田形さんが、さまざまな角度からハンバーグの魅力を徹底ガイド。NO HAMBURG, NO LIFE!
ハンバーグを通じてコミュニケーションの輪を広げる
ハンバーグ専門家/ハンバーグコミュニケーターのバーグマン田形です。
静岡県藤枝市を拠点にデザイン関係の仕事をする傍ら、日本ハンバーグ協会の理事長として活動しています。日本ハンバーグ協会とは、「ハンバーグ文化の発展と消費拡大を図る」をモットーに掲げる一般社団法人です。世の中にハンバーグの魅力の語り部がいないと感じたので、私個人がどんどん突っ走って、ハンバーグファンを増やす活動をしている感じですね(笑)。食べ歩いてハンバーグの美味しさを伝えるだけではなく、文化や歴史の流れ、ブームの背景なども伝えながら、ハンバーグを交えた地域活性の活動もしています。
ハンバーグの魅力をいろいろな角度から発信する中で、メーカーさんやファミレス界、お店をはじめ、いろいろな方々とのつながりができました。それによって得たさまざまな情報などを分かりやすく発信し、ハンバーグを通じたコミュニケーションの輪を広げていきたい。ハンバーグコミュニケーターという肩書には、そんな思いを込めています。
総務省から発表された2025年度のハンバーグ購入額ランキングでは、前年1位の静岡市が4位、前年2位の浜松市が3位と、残念な結果になってしまいました・・・・・。地元の静岡を再び2トップに押し上げるためにも、日本のハンバーグ界を盛り上げるためにも、もっともっと頑張ります。
皆さん、ハンバーグを食べましょう!

少年時代に目覚めたハンバーグ愛
私がハンバーグの魅力にハマるようになったきっかけは、子どもの頃に出会ったチルド商品のマルシンハンバーグでした。家のハンバーグとは明らかに違う味で、弁当に入っているとテンションが上がりましたね。そして、10歳くらいの頃にはお店のハンバーグに衝撃を受けます。
私の生まれは静岡県の榛原町(現・牧之原市)という街で、そこから車で30分くらいの焼津市という港町に大きい和食レストランがあったんですね。そこで食べたハンバーグがめちゃくちゃ美味しかった! 肉々しくて、ふっくらしていて、たっぷりソースがかかっていて。家ともマルシンとも違うハンバーグのインパクトが忘れられなくて、自分の中でご馳走のトップに上がっていった感じです。
そこから、外食のハンバーグに興味をもつようになりました。これまでに4,000食くらいは食べたでしょうか。年齢とともに食べる頻度は減りつつあり、協会が提唱する「1日1バーグ」とまではいきませんが、今も年間に200食は食べています。

独自に発展した日本のハンバーグ文化
そもそも、ハンバーグのルーツは、モンゴル系の遊牧民タタール人が長旅の際に硬い馬肉を鞍の下に敷いて柔らかくした、タルタルステーキという生肉料理だとされています。それがヨーロッパに伝わって、ドイツのハンブルグで焼いて食べられるようになり、「ハンブルグ風ステーキ」としてアメリカにも広まりました。そして、日本に入ってきた時に「ハンブルグ」が訛って「ハンバーグ」となったわけです。
ハンブルグで食べられていたのは、「フリカデレ」と呼ばれる牛肉のミートボールのような料理で、おばんざいや惣菜感覚のものでした。それが日本に来ると、牛肉コストの部分もあったり、養豚が盛んな部分もあったり、ご飯と合わせる食文化もあったりしたので、豚肉を混ぜた合挽きのふっくらジューシーなハンバーグが生まれていったのです。
また、グリル野菜、ポテト、サラダなどの副菜も一緒に食べる料理としての文化が広まっていきます。これは、世界でも日本だけのスタイルです。実際、欧米の方が日本でハンバーグを食べると、初めてで感動するという話をよく聞いたりもします。日本のハンバーグは、オムライスやナポリタンなどと同じような、ガラパゴス的に進化した独自のものだと思いますね。

ソースの多彩さも日本ならでは
ソースの多彩さも、日本のハンバーグを特徴づけています。そもそもハンバーグソースのパブリックなイメージは、フランス料理のデミグラスソースですよね。「ドゥミ・グレイス=半分に煮詰める」が訛ってデミグラス。ただフランス料理界では、時間をかけて煮込むデミグラスはほぼ絶滅しています。
一方、日本では。蒲焼や焼鳥のタレのように、漉して漉して、継ぎ足し継ぎ足しで旨味を増すような文化があるからか、とてもハマったんですね。それが、ガラパゴス的に進化していく洋食の中で、ハンバーグという料理がどんどん日本流のご馳走になっていったんだと思います。これだけデミグラスソースを食べる国も、日本だけでしょう(笑)。
さらに、デミグラスにとどまらず、トマト、チーズ、和風等々、さまざまなソースでハンバーグを味わうのも日本流。照り焼きソースも、日本独自ですよね。

インサイドジューシー、アウトサイドクリスピー
もう一つ、焼き加減もハンバーグの重要なポイントです。
日本ハンバーグ協会では、IJOC(Inside Juicy, Outside Crispy)というフレーズを発信しています。中は柔らかジューシーで、外はカリッと香ばしい、理想的なハンバーグの状態です。ハンバーグは、中に閉じ込められた肉汁が美味しさのポイントとして語られがちなんですよね。ただし、肉汁を閉じ込めるには、外側がカリッと香ばしく焼かれているのが重要。単に柔らかいだけでなく、噛みごたえや食感のランダムさもハンバーグの面白さだと思うんです。ステーキは一枚肉なので、一口食べてダメなら全てダメで取り返しがつかない気がしますが、ハンバーグは技術や工夫でカバーできる部分もありますから。
焼き加減でうま味をどれだけ閉じ込められているか、IJOC(Inside Juicy, Outside Crispy)に注目しながら味わってみてください。

自由度が高く奥深い庶民のご馳走。出会いの場もさまざま
今更ですが、実はハンバーグに明確な定義がありません。大体は、挽き肉をこねて焼き上げますが、挽き肉だけでなく、豆腐やおから、植物由来のものや魚もあったり、焼かずに煮込むものや蒸すものもあったり。そういう意味では、シュウマイや餃子、つくねなどもハンバーグの仲間だともいえるでしょう。取り立てて何かの型にはめて括ったり分類したりすると、面白みがなくなってしまう・・・・・。要は、ハンバーグって自由度が高くて奥深い、庶民のご馳走だと思うんです。
また、専門店でなくても楽しめる、食べる側の自由度の高さもハンバーグならでは。レストランや洋食店はもちろん、カフェでも、イタリアンでも、定食屋でも、美味しいハンバーグに出会えます。
ちなみに、最近私が推しているのが、居酒屋のハンバーグ。地元の静岡には、牛100%の本格的なハンバーグを出す居酒屋が多いんですよ。そこで、居酒屋のハンバーグを「酒場ーグ」と名付けて、ビールやハイボールに合わせて楽しむ文化を発信しています。もっともっと広めていかなければ(笑)。

第4次ハンバーグブームが到来中!
そして、2020年代の初め頃から、第4次ハンバーグブームが到来中です。
ハンバーグブームは、1970年代初頭にファミレスが台頭した第1次ブーム、1980年代初頭に家庭料理・食卓の定番になり「国民食化」した第2次ブーム、そして2000年代中期の素材・専門店・独自進化した第3次ブームへと年代ごとに発展し、今回の主役は、「進化系」ハンバーグ。肉はもちろん米にもこだわり、ハンバーグとご飯の相性を徹底的に追求した、ハンバーグ定食の進化版という感じでしょうか。鉄板や七輪とともに提供され、お客さん自身で焼き上げていくスタイルも特徴的で、東京都内を中心にどんどん拡大中です。
また、ハンバーグの肉といえば牛100%や牛豚の合い挽きがポピュラーだった中、羊を加えた牛豚羊の合い挽き、マグロやタイなどの魚を使ったハンバーグも登場しています。
さらに、ワサビや塩、柚子胡椒、鬼おろし、辛味ダレなど、ソースではなく薬味やタレで味わうスタイルもトレンドです。こうした第4次系の流れのハンバーグは、プレーン状態で食べて、何が合うのか探ってみるのも楽しみの一つ。エンタメ要素としていくつもの薬味やタレが用意されているので、味変しながら食べる流れができてきているのが今のブームですね。
これらに共通しているのは、和の要素が強い、日本人が好きなハンバーグであること。もはや洋食ではなく、和食の域です。海外からの観光客の方にも、和食としてのハンバーグをぜひ味わっていただきたいと思います。

好みでも気分でも基準を持って楽しもう!全国各地の推しバーグ10選
自由度が高くて奥深いハンバーグは、ジャンルやカテゴリで分類しにくい料理です。ラーメンやカレーなどと違って、情報が数値やスペックで明確にデータ化されていません。また、「情報を食べている」と言われるようなラーメンとは真逆で、情報量が少ないこともハンバーグの世界にありがち。ほとんどのお店は、合い挽き肉の配合比率も、つなぎぎに何を使っているかも言いませんよね。焼き加減も同様です。だからこそ、情報が少ないことを逆に楽しみましょう。そのためには、ハンバーグという料理を食べる時の、選択や判断の基準を持つことです。好みでも気分でも何でもいいので、まず一つベンチマークを持ってみてください。それと比べて今回はどうなのかをちょっと深掘りすると、ハンバーグを食べる楽しみの幅がグンと広がるはずです。肉肉しいハンバーグが食べたい気分なのに、ふっくらジューシーなハンバーグが出てきたら残念じゃないですか(笑)。
ということで、全国各地に数あるハンバーグの中から、ぜひ食べていただきたい推しバーグをご紹介していきましょう。
1.【北海道】洋食コノヨシ 北18条本店(北海道札幌市)
ご馳走感をそそられる美しい盛り付けも魅力
北海道で長年にわたって愛される洋食の名店です。札幌市内に複数の店舗を展開されていますが、やはり本店は別格。牛肉と豚肉のほか地元食材へのこだわりもひとしおで、上質なハンバーグを提供されています。
美味しさはもちろん、盛り付けがとても美しく、ご馳走感があって食欲がそそられるんですよ。札幌駅から地下鉄で2駅目の北18条駅から近く、観光客の方も分かりやすい立地だと思います。

2.【北海道】手作りハンバーグ工房Toshi(北海道札幌市)
フレンチ出身シェフによる極上ハンバーグ
北海道でもう1軒おすすめしたいのが、ハンバーグ協会主催のグランプリで金賞を獲得された「Toshi」さんです。フレンチの世界で腕を磨いたオーナーシェフの真野稔也さんが、席に運ばれる時間まで計算し尽くして仕上げた極上のハンバーグを味わわせてくれます。
推しのメニューは、お店の1番人気でもある「たっぷり山わさびハンバーグ」。たっぷり盛られたおろしたての北海道産山わさびが、ジューシーで柔らかなハンバーグの旨みを引き立ててくれるんです。

3.【東北】HACHI 名取本店(宮城県名取市)
ナポリタンとハンバーグのゴールデンコンビ
東北からは、宮城県で店舗展開されているナポリタンの名店、「HACHI」さんをおススメします。
押しも押されもせぬ看板メニューは、ナポリタンのグランプリで日本一に輝いたハンバーグナポリタンです。王道のナポリタンにハンバーグがドーンと乗ったビジュアルは、見ているだけで幸せな気持ちに(笑)。ナポリタンに負けずハンバーグも抜群で、黄金比率の牛豚合い挽きと、仙台牛100%の2種類から選べます。

4.【関東】UCHOUTEN(東京都豊島区)
激戦区の池袋でトップに君臨する名店
推したいお店が多い関東の中でも、エリア的に池袋が激戦区で面白いですね。
「池袋ハンバーグ四天王」というワードも生まれていて、そのトップが「UCHOUTEN」さん。数々のグランプリや賞を獲っていて、自分の中でもベストな店だと思っています。IJOCに沿った焼き方で肉汁をめちゃくちゃ蓄えていたり、デミグラスも牛テールを使っていたり。ご主人曰く「日本一原価が高い」とのこと。とにかくハンバーグとソースのマッチングが素晴らしく、抜群に美味しいです。

5.【関東】札幌牛亭 西池袋店(東京都豊島区)
牛100%なのにとろけるような柔らかさ
関東でのもう1軒は、同じく池袋の四天王から「札幌牛亭」さんをおススメします。昨年には池袋で2店舗展開を始めたくらい人気のお店です。
店名通り本店は札幌なんですが、こっちの方が美味しくて(笑)。使っている素材は同じみたいなんですが、作り方、特に焼き方が違うのかなと思っています。牛100%なのに柔らかくて、とろけるハンバーグの走りみたいな存在ですね。やみつき系のスパイシーソースがかかっていたり、ほかで見たことがないスタイルが特徴です。

6.【中部】そよかぜ(静岡県沼津市)
ステーキのような肉肉しいハンバーグ
私の地元が静岡なので、中部は力が入りますね。まずは港町沼津の「そよかぜ」さんを推します。
静岡には県内で35店舗を展開する「炭焼きレストランさわやか」さんという名店があるんですが、ポスト「さわやか」といわれるのが港町沼津の、「そよかぜ」さんです。
牛100%でつなぎなしの「さわやか」スタイルなんですが、薄切り肉か何かをいろいろ混ぜているんですよ。ステーキに近いのにステーキとは違う、ハンバーグステーキという感じで、とにかく食感が肉々しいというか。まさに、海外の方に食べてもらいたいハンバーグです。

7.【中部】花より、ハンバーグ。ASTY静岡店(静岡県静岡市)
箸でちぎって好みの焼き加減に育てる、進化系
中部でもう1軒は、横浜がルーツの「花より、ハンバーグ。」というお店です。横浜には、1960年頃から続く「ハングリータイガー」というチェーン店があって、牛100%つなぎなしハンバーグの元祖と呼ばれています。
そんな横浜でヒットしたのがこの「花より、ハンバーグ。」さんです。静岡の肉会社が作ったレストランで、ポスト「さわやか」を掲げてきたんですね。ブームの話でも触れた自分で焼いて仕上げるスタイルをさらに進化させていて、軽く炙ってあるハンバーグを自分で箸でちぎって好みの焼き加減に育てて食べるんです。
ここもやっぱりソースではなく薬味で味わうスタイルで、静岡名産のわさびを売りにするなど地域性も出しています。

8.【関西】洋食の店 もなみ(大阪府大阪市)
平たい大判ハンバーグに神戸牛の旨みが凝縮
関西も悩むんですが、やはり「洋食の店 もなみ」さんは外せないでしょう。古きよき大阪の風情が残る空堀商店街の一角にあり、常に行列が絶えない人気洋食店です。
行列が嫌いな大阪の人をも並ばせる名物は、皿いっぱいにドンと広がる平たい大判ハンバーグ。挽き肉には神戸牛を贅沢に使い、外はこんがり香ばしく、中はふんわり柔らかく焼き上げられています。ソースは、フルーティーで甘めな醬油ベースのあっさり和風系。これがまた、国産牛の旨みを引き立ててくれるんです。

9.【中国・四国】ウト・ウーク(徳島県阿南市)
地元食材を活かしたハンバーグが10種類以上
中国・四国からは、徳島県の「ウト・ウーク」さんを推します。
ずいぶん前の話ですが、「居酒屋甲子園」という外食業界の大会で、賞を獲ったお店です。居酒屋ではなくイタリアンなのに(笑)。情熱系のお店というか、いろいろ地域のために取り組んでおられます。
ここは、10種類以上のハンバーグがあって、徳島の地元食材を使っていることなどアピールがすごく上手。こういった点も含め、地域でハンバーグ人気を根付かせてくれている、頼もしいお店です。

10.【九州・沖縄】ハンバーグハウス 牛車(福岡県久留米市)
ハンバーグ界では希少な、ご当地ソースが絶品
そして、最後の九州・沖縄は、福岡県久留米市の「ハンバーグハウス 牛車」さん。和牛も使った柔らかいハンバーグを、ここが発祥とされる「ジャポネソース」というソースで味わいます。
「ジャポネソースとは、九州の甘い醤油に生姜や玉ねぎ、ニンニクなどの香味野菜と、オイル的なもので作るご当地ソース。ハンバーグ界でご当地ソースというのはあまりなくて、デミやトマトやチーズなどが一般的な中で、九州の人に愛されるご当地ソースを使っていることは価値があると思います。ハンバーグには珍しい、地域性を感じさせてくれる名店です。

まとめ
素晴らしきハンバーグの世界。定番から進化系まで味わい尽くすべし!
ひと口にハンバーグといっても、お店ごとに味もスタイルも全く異なり、知れば知るほど魅力の沼にハマっていく、素晴らしきハンバーグの世界。
昔ながらの洋食系から、もはや和食ともいえる進化系まで、多彩なハンバーグが全国各地で待っている。ハンバーグを食べずして、日本の食は語れない!
