味わい深い東京のエダマメ!足立区で野菜のおいしさに驚く旅

味わい深い東京のエダマメ!足立区で野菜のおいしさに驚く旅

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筆者 :  GOOD LUCK TRIP

東京産食材の魅力を国内外へ発信する体験型学習「東京産食材トリビアの旅」。
第3回の舞台は、東京23区の東部に位置し、野菜の生産・出荷が盛んな足立区だ。
今回は、都内在住の留学生や観光ガイドらが参加。東京生まれで野菜のおいしさをよく知る俳優の渡辺裕太さんの案内で、初夏が旬のエダマメのおいしさの秘密を探った。

おいしい野菜のふるさと。足立区の都市農業、その3つの魅力

東京23区の中でも有数の農業地域として知られる足立区。
住宅街のすぐそばに畑や直売所が点在し、今も新鮮な野菜づくりが続いている。
足立区では江戸時代(1603〜1868年)から、江戸市中を支える近郊農業が営まれてきた。その歴史を受け継ぎながら、農家たちは時代のニーズに合わせて育てる作物を変え、都市化の波の中でも農業を守り続けている。
エダマメやコマツナをはじめとする東京産の野菜は、地域の食卓を支えるだけでなく、収穫体験や食育を通じて東京の食文化を知るきっかけにもなっている。
体験ツアーの前に、足立区の都市農業が持つ3つの魅力を紹介しよう。

1. 江戸から続く農業 今も東京の食を支える

荒川や隅田川などの豊かな水辺と、日光街道をはじめとする交通の利便性に恵まれた足立区。
江戸時代には、江戸近郊の農業地帯として発展し、米や新鮮な野菜、レンコンやセリ、ネギなどを江戸の町へ供給してきた。
その流通を支えたのが、千住宿に設けられた青物市場「やっちゃ場」だ。
近隣で収穫された野菜はここへ集められ、水運や街道を利用して江戸市中へ運ばれた。
足立区は江戸の食を支える産地として重要な役割を担っていたのである。
都市化が進んだ現在も、生産者は時代のニーズに合わせて栽培品目を変えながら農業を継続。
現在もエダマメやコマツナ、ブロッコリーなどに加え、伝統的な日本のハーブである紫芽(赤シソの若芽)やツルナ、芽蕪やワケネギなど日本料理に彩りと風味を添える「つまもの」の生産が受け継がれている。
これらは今でも豊洲市場など東京の食を支える卸売市場へ出荷され、高い評価を得ている。足立区は今も昔も東京の食文化を支えている場所だ。

足立区の農業を支えてきた水辺の風景
足立区の農業を支えてきた水辺の風景
足立区特産の小さな野菜類「つまもの」
©(公財)東京都農林水産振興財団 足立区特産の小さな野菜類「つまもの」

2. 東京の食卓を支える身近な野菜

昔は田園地帯だった足立区。今では田んぼは姿を消し、住宅地と畑が隣り合う都市ならではの風景が広がる。
生産地と消費地が近いため、朝に収穫した野菜がその日のうちに市場に出荷され、直売所や庭先販売、スーパーへ並ぶことも珍しくない。
エダマメやコマツナなどの東京野菜は、地元の食卓だけでなく子供たちが食べる学校給食にも使用され、地域の食を支えている。
農家が直接販売する機会も多く、消費者の距離が近いことも都市農業ならではの魅力。
気さくな会話が交わされる人情あふれる下町では、新鮮な旬の野菜を味わえる環境が受け継がれている。

住宅街の中にも農地が広がっている
住宅街の中にも農地が広がっている
旬の夏野菜はとびきりのおいしさ
旬の夏野菜はとびきりのおいしさ
収穫したエダマメは丁寧に荷造り。これもおいしさの秘訣
収穫したエダマメは丁寧に荷造り。これもおいしさの秘訣

3. 「知る・収穫する・味わう」が一度にできる

足立区では、農業を身近に体験し、東京の農業や食文化について学べる機会も充実している。
その代表的なスポットが「足立区都市農業公園」だ。入園無料で、春には桜の名所としても多くの人が訪れる。川沿いの地形を活かした園内の畑や田んぼでは、農業体験や自然観察などのプログラムを実施(一部有料)。園内で収穫された野菜は食堂で味わえるほか、購入することもできる。また、園内には古民家が保存され、昔の農具なども展示されている。野菜を眺めるだけでなく、実際の東京農業の歴史や昔の暮らしについて学べるのも、この公園の魅力だ。
足立区には、採れたての野菜を直売する農園も多い。地元で育った新鮮な野菜を身近に購入できるだけでなく、旬の野菜の収穫体験ができる農園もある。
実際に畑に入り、自分の手で野菜を収穫する。農家から話を聞き、採れた野菜を調理して味わう。そんな一連の体験を通じて、東京の農業をより身近に感じ、日本の食文化への理解を深めることができる。

都市農業公園内の古民家周辺には田園風景が広がる
都市農業公園内の古民家周辺には田園風景が広がる
横山農園のエダマメ
横山農園のエダマメ

「東京産食材トリビアの旅」でエダマメのトリビアを学ぶ

2026年6月20日(土)、「東京産食材トリビアの旅」(東京のエダマメ)が開催された。
都内で活動する観光ガイドやボランティア、留学生など11名が参加し、足立区の農園や都市農業公園を訪問した。
ナビゲーターを務めたのは、野菜ソムリエの資格を持つ俳優・タレントの渡辺裕太さん。
あいにくの雨だったが、楽しく東京の農業を学んだ。

STEP1 歴史を知る|足立区都市農業公園で東京の農業の歩みを学ぶ

最初に訪れたのは、足立区都市農業公園。
江戸から続く地域農業の歴史や都市農業について学べる公園で、園内には田んぼや畑、古民家などが整備されている。
畑では季節ごとに約30種類、年間では約60種類もの野菜が育てられており、この日はトマトやナス、キュウリ、ズッキーニなど夏野菜が元気に育つ様子を見学した。
園内のマルシェには、その日に収穫した新鮮な野菜が並び、都市農業ならではの「採れたてのおいしさ」を身近に感じられる。
農業の歴史と現在の野菜づくりを学び、東京の都市農業を身近に感じる時間となった。

環境に優しい方式で育てられた野菜
環境に優しい方式で育てられた野菜
園内で採れた野菜を販売するマルシェ
園内で採れた野菜を販売するマルシェ

STEP2 収穫する|横山農園で旬のエダマメを収穫

次にやってきたのは、300年に渡りこの地で農業を営む「横山農園」だ。
日本料理に彩りを添える足立区の伝統野菜「つまもの」やワケネギ、エダマメ、とうもろこし、ブロッコリーなど季節の野菜を育てている。横山農園の野菜は主に市場出荷されているが、地域の共同直売所「あだち菜の郷」や自宅庭先での販売も行われる。朝採れのみずみずしい野菜を求めて、地元の人々が足を運ぶ人気の農園である。

野菜ソムリエの渡辺裕太さんも参加
野菜ソムリエの渡辺裕太さんも参加
江戸時代から続く農家の13代目の横山さん
江戸時代から続く農家の13代目の横山さん

案内されたのはエダマメのビニールハウス。
「このエダマメは色が綺麗で寒い時期でもよく育ち、甘く美味しい品種です」と横山さん。
ここでは葉っぱまでイキイキとしたエダマメを、根っこごと引き抜いて収穫する。
参加者たちはそれぞれ力を入れて収穫、初めての体験に大いに盛り上がりを見せた。

実際にエダマメを収穫
実際にエダマメを収穫
初めての収穫体験に笑顔
初めての収穫体験に笑顔

英語でもそのまま「Edamame」と呼ばれ、海外でも健康食として人気のエダマメ。
知っているようで意外にも知らない人も多いのが、エダマメは大豆が成熟する前に収穫した若い豆だということ。
成長すれば畑の肉とも言われる大豆は、ビタミンCやたんぱく質などを豊富に含む栄養抜群のスーパーフード。
エダマメは日本人が大好きな野菜。エダマメにビールは日本では人気の組み合わせで居酒屋の定番メニューだ。エダマメに含まれるアミノ酸の一種「メチオニン」はアルコールの分解を促す成分といわれており、お酒のおつまみとしてもぴったりなのだ。

綺麗な緑色が特徴のエダマメの「陽恵」
綺麗な緑色が特徴のエダマメの「陽恵」

「エダマメは湯を沸かしてからの収穫せよ」なんて格言もあるほど、繊細で鮮度が落ちやすいもの。とれたてのエダマメは甘さが格別でとにかくおいしい。
おいしく食べるコツを横山さんに聞いてみると、「収穫したらすぐに葉っぱを落としてすぐに冷蔵庫へ。これで長持ちします」とのこと。
葉っぱがついたままだと乾燥しやすく、エダマメの水分が奪われてしまう。すぐに葉を落とせばエダマメの旨みや甘みを保つことができると言う。

ひとり2株を収穫して大満足
ひとり2株を収穫して大満足

STEP3 知る|いちかわファームで東京の野菜づくりの技を知る

いちかわファームでコマツナの栽培見学
いちかわファームでコマツナの栽培見学

3ヵ所目は、 コマツナを栽培する「いちかわファーム」へ。
「東京生まれの野菜であるコマツナは学校給食にも使用され、足立区の食を支えています」と話すのは代表の市川さん。
ビニールハウスの中にはコマツナが隙間なく栽培されている。同じ場所で年5回次々に収穫されるコマツナ。この風景は市川さんの高い技術の証明でもある。学校に出荷されるコマツナは虫食いなどが許されない。うっかりすると虫食いだらけになるリスクがあるが、観察眼とこまめな手仕事で美しく栽培されるコマツナ。江戸の職人にも通じる細やかな技術が息づいている。

たくさんの東京野菜を育てるいちかわファームの市川さん
たくさんの東京野菜を育てるいちかわファームの市川さん
「春のセンバツ」という品種の小松菜
「春のセンバツ」という品種の小松菜

STEP4 味わう|旬のエダマメと東京の野菜のおいしさを実感

「東京産食材トリビアの旅」最後は、花畑地域学習センターへ。
ここでは、待ちに待った試食タイムだ!料理を教えてくれるのは、料理家の島田恵子先生。
テーブルにずらりと並ぶのは、ゆでたてのエダマメをはじめとした足立の野菜。それを使用した野菜料理と、炊き立てのご飯でつくる「おむすび」。今回は生産が少なく入手困難な東京産のお米を贅沢に使用。
エダマメやコマツナ、とうもろこしなど好きなものを選択して、自分でおむすびをつくるワークショップを行った。参加者からは、「おむすびが三角なのはなぜ?」などの質問も飛び交い、東京野菜を通じて楽しい国際交流の時間となった。ちなみに三角形は山を象っており、日本人になじみ深い山の神様をイメージしているとの説があるそうです。

東京産食材に精通している島田恵子先生
東京産食材に精通している島田恵子先生
鮮度抜群の東京野菜
鮮度抜群の東京野菜
島田先生がおいしいエダマメの茹で方をレクチャー
島田先生がおいしいエダマメの茹で方をレクチャー

先ほど横山農園で収穫したばかりのエダマメを茹でて試食。
「茹でる前にエダマメの産毛を塩揉みして取ることで食感がよくなります」と話す島田先生。とれたて、茹でたてのエダマメは甘く驚きのおいしさ。エダマメを食べる手が止まらない!
その後、島田先生のレクチャーに続いて、参加者全員でおむすび作りをスタート。

野菜は全て東京産を使用、卵も東京産
野菜は全て東京産を使用、卵も東京産
ぎゅっと握らず、優しく包むように握るのがおいしさのポイント
ぎゅっと握らず、優しく包むように握るのがおいしさのポイント
好きな具材を入れて好みのおむすびを握る
好きな具材を入れて好みのおむすびを握る
初めてのおむすび作り
初めてのおむすび作り

ナビゲーターの渡辺裕太さんも笑顔で参加。「母の影響で野菜が好きで、タレント活動のかたわら野菜ソムリエの資格をとりました。豆知識を知っているとさらにおいしい」と紹介。渡辺さんは自分で野菜も育てているそうで「自分で育てると収穫の喜びもひとしお。東京野菜の魅力を伝える橋渡しがしたい」と語っていた。

島田先生のおむすびを頬張る渡辺さん
島田先生のおむすびを頬張る渡辺さん

留学生参加者が見つけた東京の野菜の魅力

参加者自身で作る東京野菜を使ったおむすび体験。
初めて見る食材もあり、テーブル上の食材に興味津々。実際に自分で作ってみた感想を伺った。
日本の食文化に興味があり、お寿司握りの経験もある中国出身のレイさんは、「初めてのおむすび作りでとても楽しい」と話す。
フィリピン出身のGIOさんは、いろんな日本の農業体験をしたくて参加。
「おむすびがこんなに味わい深いとは。」と驚きを見せた。

チキンと卵のおにぎりを作ったレイさん
チキンと卵のおにぎりを作ったレイさん
自分で握った小さいおむすびに笑うGIOさん
自分で握った小さいおむすびに笑うGIOさん
パプアニューギニア出身のBeeさんはタマゴのおむすびが好み
パプアニューギニア出身のBeeさんはタマゴのおむすびが好み
モンゴル出身のsugiさんはトマトとツナのおむすび
モンゴル出身のsugiさんはトマトとツナのおむすび

参加者たちはレストランでは体験できない、日本の家庭で食べられる味に関心を持っていたようだ。島田先生が各テーブルを周り、参加者は東京野菜の食べ方や調理方法などについて、熱心に質問する姿がみられた。
収穫したエダマメは各自お土産として持ち帰り、ワークショップは終了した。

参加者からは「次回も参加したい」との声が寄せられた
参加者からは「次回も参加したい」との声が寄せられた

まとめ

江戸時代から続く農業の歴史を受け継ぎながら、今も野菜づくりが盛んな足立区。今回の旅では、畑を訪れ、農家の話を聞き、採れたてのエダマメを味わうことで、東京の都市農業を身近に感じることができた。
最後には、主催者からエダマメにまつわる興味深いエピソードも紹介された。日本国内の大豆産地には畑作地帯が多い一方、エダマメは水田地帯の産地が多いという。かつて米が年貢として納められていた時代、田んぼの畔で育てたエダマメは農家の手元に残る貴重な作物であり、その収穫は大きな楽しみのひとつだったそうだ。食べごろを逃したエダマメは大豆として収穫し、煮豆や豆腐として食べたり、味噌、醤油などに加工して余すことなく食べきっていた。
米とエダマメには、そんな歴史的なつながりもある。今回味わったエダマメのおむすびにも、東京の農業が歩んできた歴史や、作り手の思いが息づいている。
「東京産食材トリビアの旅」は、歴史を知り、自ら収穫し、味わうことで、江戸から続く東京の農業や食文化への理解を深められる体験となった。食材そのもののおいしさはもちろん、その背景にある土地の歴史や生産者の思いを知ることで、東京産食材の魅力をより深く感じられるだろう。