【伊勢神宮の観光ガイド】日本の文化と信仰を感じる神秘的な体験を
日本の神社の中でも、屈指の人気と格式を誇る「伊勢神宮」。
数多くの参拝客で賑わう「伊勢神宮」は日本人だけでなく、外国人観光客からも訪れたい場所として高く評価されている。
この記事では、そんな「伊勢神宮」の見どころや基本的な知識などを紹介する。
参拝前に知っておきたい作法とマナーも紹介するので、「伊勢神宮」観光の前に参考にしてほしい。
伊勢神宮ってどんなところ?
三重県伊勢市にある「伊勢神宮」は通称であり、正式には「神宮」と呼ぶ。
「お伊勢さん」や「大神宮さん」の愛称でも親しまれている。
日本に約8万ある神社の本宗(総本家)であり、数ある神社の中でも別格。
昔から「一生に一度はお伊勢参りを」と言われるほど、日本人にとっては大切な神社だ。
「伊勢神宮」の祭神は皇室の祖神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)と豊受大御神(とようけのおおみかみ)で、それぞれ「皇大神宮」と「豊受大神宮」に祀られている。
開運や厄除けなどにご利益があるほか、農業や漁業など産業振興のご利益もある。
「伊勢神宮」はひとつの神社ではなく、「内宮」や「外宮」など125の宮社の集合体であることも覚えておこう。
20年に1度、「社殿」や神宝などを新調して天照大御神を新宮へ遷す「式年遷宮」が「伊勢神宮」最大のお祭りとして知られている。
日本古来の建築様式で建てられた美しい建築物の数々や、境内に広がる美しい自然が大きな魅力であり、年間で1,500回行われる神事や行事の数々も見どころのひとつだ。
伊勢神宮の成り立ち
「伊勢神宮」が創建されたのは約2,000年前のこと。
元々、天照大御神は天皇の住まいである宮中に祀られていた。
天皇の近くに鎮座されていたわけだが、第10代の崇神天皇(すじんてんのう)が宮中外に祀ることを決めたことに端を発する。
これによって現在の「奈良」に移った天照大御神だが、第11代の垂仁天皇(すいにんてんのう)の第4皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)はさらに相応しい場所を求めた。
こうして各地を巡る中で「伊勢」に辿り着き、天照大御神のお告げを受けて「五十鈴川」(いすずがわ)の川上に宮を創建したのが「伊勢神宮」の始まりとされている。
伊勢神宮へのアクセス
伊勢観光の移動拠点として重要な「伊勢市駅」を起点とする、「伊勢神宮」へのアクセスを紹介する。
「伊勢神宮」の敷地は広く、敷地内にある「外宮」と「内宮」でも距離が離れており、最寄りの駅が異なる。
「外宮」へのアクセスは、「伊勢市駅」から徒歩5分。
「内宮」には「伊勢市駅前」からバスに乗車し、「内宮前」で下車。
「内宮前」から歩いて15分ほどで、到着する。
どちらに向かえば良いか迷うかもしれないが、「外宮」から参拝することがルールであるため、「外宮」に向かうことをお勧めする。
伊勢神宮の参拝時間と料金
「伊勢神宮」の参拝自体には、料金がかからない。
参拝時間は時期によって異なるため、下記の表を確認してほしい。
- 1月〜4月・9月
- 5:00〜18:00
- 5月〜8月
- 5:00〜19:00
- 10月〜12月
- 5:00〜17:00
伊勢神宮のお勧め観光シーズンは?
どの季節に「伊勢神宮」を訪れても、四季折々の美しい景観が見られるが、お勧めの観光シーズンは春と秋だ。
観光する時期を調整できるなら、春か秋に「伊勢神宮」を訪れてほしい。
春の伊勢神宮の魅力
春の観光がお勧めなのは「伊勢神宮」が桜の名所だからだ。
「伊勢神宮」の「内宮」には、600本ほどの桜が植えられている。
見頃を迎えた境内の桜は、豊かな自然に鮮やかな色彩を飾り、見る人の心を癒す。
「伊勢神宮」の近くを流れる「五十鈴川」沿いの桜並木も、人気の花見スポットだ。
桜の見頃になると、「五十鈴川桜まつり」が開催される。
「五十鈴川桜まつり」の期間は川沿いの桜がライトアップされ、幻想的な世界が目の前に広がる。
「伊勢神宮」の桜の見頃は、3月下旬から4月上旬。可能であれば、この時期を狙って「伊勢神宮」を訪れてほしい。
秋の伊勢神宮の魅力
「伊勢神宮」では紅葉も見られるため、秋の観光もお勧めだ。
見頃を迎えた境内の木々は燃えるような紅やオレンジに染まり、そのグラデーションは吸い込まれるような美しさがある。
「内宮御手洗い場」には、川沿いの紅葉が五十鈴川の水面に写る、美しい光景が広がっている。
11月下旬から12月上旬が紅葉の見頃なので、紅葉が見たい方はこの時期に「伊勢神宮」を訪れてほしい。
知ると参拝がもっと楽しくなる!伊勢神宮の構成と回り方
「伊勢神宮」は125の宮社の集合体であり、それぞれの神社には格がある。
最も高い格を持つのが「内宮」、その次が「外宮」だ。
天照大御神を祀っている内宮が最も尊いものであり、「伊勢神宮」の中心。
そのため外宮と内宮は同列ではなく、内宮という名前に対して外宮の名が付けられたとする説もある。
このことから、内宮よりも先に外宮から参拝する習わしがある。
その下に別宮・摂社・末社・・と続くが、ここでは「内宮」と「外宮」まで覚えておけば問題ない。
もうひとつだけ覚えておきたいことは、内宮と外宮にはそれぞれ「正宮」と「別宮」があるということだ。
正宮が本社で、別宮は正宮に次ぐ格式を持つ神社のこと。「内宮」には10社、「外宮」には4社の「別宮」がある。
「伊勢神宮」でお参りする場合は
- 外宮の正宮
- 外宮の別宮
- 内宮の正宮
- 内宮の別宮
の順で行うのが習わしだ。「内宮」よりも位が低い「外宮」から参拝しよう。
伊勢神宮で参拝するなら絶対に外せないスポット5選
「伊勢神宮」には歴史的な建築物がたくさんあり、日本の文化や信仰を全身で感じられる。
魅力的な見どころが多い「伊勢神宮」では、どこに訪れるべきか迷ってしまうことも少なくない。
そこで「伊勢神宮」を参拝するなら、絶対に外せないスポットを厳選して紹介しよう。
1. 日本人の総氏神と神器を祀る「皇大神宮(内宮・正宮)」
約2,000年前に鎮座したとされる「皇大神宮(内宮・正宮)」には、天照大御神を祭神として祀っており、開運や厄除けに強いご利益がある。
天照大御神は皇室の祖神でありながら、日本人の総氏神(日本全国を守る神様)である点も特徴のひとつだ。
三種の神器である八咫鏡(やたのかがみ)をご神体としている。
三種の神器は日本神話に登場する3種類の宝物で、八咫鏡に加えて八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)がある。
天叢雲剣は草薙剣(くさなぎのつるぎ)とも言われ、こちらの名前の方が知られているケースも多い。
派手な装飾こそ無いが、だからこそ荘厳な雰囲気が伝わってくる。
心が落ち着くような空気感がありながらも、どこか身が引き締まる気持ちにさせてくれるところが「皇大神宮(内宮・正宮)」の魅力だ。
2. 生活と産業を司どる神様を祀る「豊受大神宮(外宮・正宮)」
豊受大御神を祭神として祀る「豊受大神宮(外宮・正宮)」には、産業振興のご利益がある。
豊受大御神は天照大御神の食事を司る御食津神(みけつかみ)であり、天照大御神の神託によって、約1,500年前に鎮座したのが「豊受大神宮(外宮・正宮)」だ。
「皇大神宮(内宮・正宮)」と「豊受大神宮(外宮・正宮)」は同じ建築様式ではあるものの、千木と鰹木の本数や形に細かな違いがある。千木や鰹木は神社建築の屋根に取り付ける部材のこと。
厳かな佇まいながら、気品を感じられる点が魅力の建築物だ。
3. 叶えたい願いがある方こそ訪れるべき「荒祭宮」
「荒祭宮(あらまつりのみや)」は内宮に10か所ある別宮のうち、第一に位置する第一別宮である。
第一別宮は正宮に準ずるお宮として、お祭りの際により丁重に扱われる。
天照大御神の荒御魂(あらみたま)を祭神として祀り、願いを叶えるためのパワーを授かると言われている。洗練された落ち着きのある外観が特徴だ。
4. 旅の安全を祈るのにピッタリな「風日祈宮」
「風日祈宮(かざひのみのみや)」も「荒祭宮」と同じく、内宮の別宮だ。
祭神には伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の子供である、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)を祀っている。
この2柱は風雨を司る神として知られ、風雨にまつわる厄災を避け、交通安全のご利益があるとされる。
年月の経過を感じる見た目ながら、独特の雰囲気を感じられる建物だ。
5. 美しい森林に清流が流れる「神宮の森」
「神宮の森」は「五十鈴川」の上流に位置する約5,500haほどの広さで、「神域」と「宮域林」(きゅういきりん)の2つのエリアに分かれる。
「神域」では自然の保護に務め、「宮域林」では自然保護と共に遷宮などの造営用に木々を育成。
「伊勢神宮」における大切な行事を継続させるための、重要な役割を担っている。
数々の動植物が生息する豊かな自然が育まれており、樹齢数百年にもなる巨木や清流として名高い「五十鈴川」が魅力だ。
桜で色づく春や爽やかな木漏れ日が差す夏、紅葉に染まる秋と冬の雪景色など、四季折々の美麗な景観が楽しめる。
知っておくべき伊勢神宮の参拝作法とマナー
「伊勢神宮」は日本人にとって大切な神社だからこそ、失礼のないように作法やルール・マナーを学んだ上で参拝してほしい。
ここからは参拝する上で知っておくべき、最低限の作法とマナーを紹介していく。
手水の作法
「伊勢神宮」に限らず、神社の入り口付近には手や口を清めるための水が流れている「手水舎」がある。
「手水舎」では、下記の流れで手と口を清めよう。
まず右手で柄杓(ひしゃく)を持って水を汲み、左手を清めたら、同様に逆の手で行う。
その後は再び右手で持ち、左手で水を受けて口をすすぐ。
改めて左手を清め、残った水で柄杓の柄を洗い清める。
参拝の作法
神前で姿勢を正し、90度の角度で2回お辞儀する。
胸の高さで合わせた両手の右指先を少し下にずらす。
2回拍手して、1回深いお辞儀する。
これが神様にお祈りをする前に行う、「二拝二拍手一拝」という作法だ。
守るべきルールとマナー
伊勢神宮を参拝する際は、下記のルールとマナーを守るよう、気をつけてほしい。
- 外宮を歩く際は左側通行、内宮では右側通行で歩く。
- 神域内は禁煙であり、喫煙は喫煙所で。
- 神域内での飲食は出来ない。水分補給は休憩所で行うこと。
伊勢の名物が勢揃い!おかげ横丁で定番の飲食店5選
「伊勢神宮」の内宮、鳥居前には「おはらい町」と呼ばれる門前町のような通りがあり、毎年たくさんの参拝客でにぎわう。
おはらい町の中ほどには、「おかげ横丁」と呼ばれるエリアがあり、江戸から明治にかけての伊勢の建築物が移築・再現されている。
「おかげ横丁」では「伊勢」ならではの赤福や伊勢うどんなどの名物グルメが食べられるほか、食べ歩きも可能だ。
店舗とグルメの数がとにかく多いので、何を食べるか迷ってしまうかもしれない。
そんな時はこれから紹介する、伊勢の名物グルメが味わえる飲食店に足を運んでみてほしい。
1. 豚捨 本店
創業から110余年続く和牛専門の老舗。
伊勢近郊の専属契約農家で丹精込めて飼育された未経産黒毛和牛のみを販売。
こだわり抜いた安全な自家配合飼料で、とことん肉の質にこだわって育てるため、サシが見事で味わい豊かな肉が出来上がると評判。
豚捨の名物として広く知られるコロッケは、おかげ横丁店でテイクアウト販売を開始してからまたたく間に人気に。
2. ふくすけ
お伊勢参りに欠かせない味として昔から愛されてきた名物・伊勢うどんを提供する。
伊勢うどんの特徴といえば、太くて柔らかい麺と濃いタレ。
「ふくすけ」の伊勢うどんもその伝統に忠実に、柔らかくもっちりとした食感の太麺を使用。
濃褐色のタレは、コクのあるたまり醤油と天然だしが風味豊かな自家製だ。
3. 赤福本店
江戸時代初期の宝永4年(1707)創業の老舗。
伊勢神宮のおひざ元で、伊勢参りに訪れた人びとを長年もてなしてきた名物が「赤福餅」だ。
モチモチのお餅の上にこしあんがのった餅菓子の1種で、形状が特徴的。
あんにつけた3つの筋は伊勢神宮の神域を流れる五十鈴川の清らかな流れを、白いお餅は川底の小石を表しているという。
4. 横丁焼の店
明治時代から伊勢エリアで親しまれている郷土菓子「ぱんじゅう」。
香ばしい生地にこしあんがたっぷり入った素朴な味は、地元民のおやつとしてはもちろん、伊勢神宮を参拝する際のお供としても人気を集めている。
こちらの「横丁ぱんじゅう(こしあん)」は、青のりの香りが効いたしっとりと口溶けの良い生地が特徴。ぎっしりつまった上品な甘さのあんと、青のりの香りが相性抜群。
5. おかげ横丁 若松屋
明治38年(1905)の創業より、伊勢神宮のおひざ元で練り物のおいしさを伝え続ける名店。
上質な魚を新鮮なうちにすり身にし、合成保存料を使用せず魚本来の旨みを引き出す伝統的な製法で上質なかまぼこ作りを続けている。
伊勢神宮と関係の深い三重の神社3選
「伊勢神宮」と関係の深い神社が、三重には点在している。
せっかくなら「伊勢神宮」と合わせて、関係の深い神社も巡ってみよう。
1. 猿田彦神社
物事がはじまる時に出現し、すべてをよい方向に導いてくれるという神様、猿田彦大神を祀っている。
古事記や日本書紀にも「国初のみぎり天孫をこの国土に啓行(みちひらき)になられた」と伝えられており、絵馬にも願いをよい方向に導く猿田彦神社独自の「みちびきの舞」が描かれている。
伊勢神宮との関係も深く、猿田彦大神の裔である大田命が、伊勢神宮内宮の地として、五十鈴川の川上を勧めた。
2. 多度大社
古来、神体山として信仰を集めてきた多度山の麓に鎮座。
5世紀後半、雄略天皇の御代に社殿が創建された。
本宮に伊勢神宮の御祭神である天照大御神の第3皇子、天津彦根命を祀り、別宮に孫神にあたる天目一箇命を祀る。
この為、伊勢神宮との関係が深く、「お伊勢参らば お多度もかけよ、お多度かけねば片参り」と謡われ、伊勢参宮の際には多度大社にも参拝する習慣がある。
3. 神明神社(石神さん)
参道を抜けた奥、閑静な森の中にたたずむ「神明神社」は、相差の氏神様で、天照御大神を祀っている。
神明神社の支社にあたるのが、女性の願いならひとつは叶えてくれるという石神社で、通称「石神さん」。
ここに祀られている玉依姫命は、海の守護神である大海神を父にもち、神武天皇の母でもあった。
縁結びや安産など女性関連のご利益も多いとされ、海女さんが多いこの地では、古くから女性たちがお参りしてきたという。
伊勢神宮に関するよくある質問
Q
伊勢神宮に祀られている神様は?
主祭神は天照大御神と豊受大御神です。
Q
伊勢神宮のご利益は?
強い開運や厄除けのほか、漁業や農業などの産業振興です。
Q
伊勢神宮の回り方を教えて
外宮の正宮、外宮の別宮、内宮の正宮、内宮の別宮の順番で回りましょう。
まとめ
日本人にとって大切な、格式高い神社である「伊勢神宮」。
この記事では「伊勢神宮」の見どころや参拝の仕方に加えて、参拝前に知っておきたいマナーや作法についても紹介してきた。
日本人に大切な場所であるからこそ、日本の文化と信仰を強く感じられるはずだ。
だからこそ、マナーや作法にも気をつけてほしい。
マナーや作法を覚えるのが難しいという方は、この記事をブックマークに入れて、いざという時に見返せるようにしておこう。
「伊勢神宮」以外にも、三重には魅力的なスポットが多い。
三重の定番観光スポットをまとめて紹介している、こちらの記事も参考に三重を満喫しよう。