【出雲大社の観光ガイド】日本神話の時代から残る歴史文化を体感しよう

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本屈指のパワースポットとして、日本国内のみならず海外からも多くの参拝客が訪れる「出雲大社」。
日本で最も有名、と言っても差し支えないほど有名な神社だ。
この記事では、そんな「出雲大社」の見どころやお勧めの観光シーズン、参拝する前に知っておきたい作法などを詳しく解説していく。
周辺の観光スポットも併せて紹介していくので、「出雲大社」や「島根県」を観光する際のガイドブックとして参考にしてほしい。

目次

出雲大社ってどんなところ?

島根県出雲市にある「出雲大社」は、三重県の「伊勢神宮」と並んで、日本における最も重要な神社のひとつだ。
日本最古の歴史書である「古事記」に記載されていることからも、「出雲大社」の歴史の深さがわかる。
「出雲大社」の祭神は「大国主大神」(おおくにぬしのおおかみ)で、「だいこくさま」の呼び名でも慕われている。
五穀豊穣など様々なご利益があるが、最も代表的なものは良縁祈願だ。
あらゆる人々との良縁を結んでくれるとあって、「出雲大社」は日本でも有数のパワースポットとして人気がある。
「出雲大社」はご利益だけでなく、見どころも多い。
日本最古の神社建築様式である大社造(たいしゃづくり)で築かれた「御本殿」は、国宝に指定されている。
「神楽殿」にある重さ5.2tの「大しめ縄」も人気の見どころだ。
旧暦の10月は全国各地の神様が出雲の地に集まることから、「神無月」(かんなづき)と呼ばれていた。
ところが、神様が集まる出雲では「神在月」(かみありづき)と呼ばれていたことも知っておきたい。

出雲大社の成り立ち

「出雲大社」は「大国主大神」が国譲りをした際に、建築された宮殿が始まりとされている。
国譲りとは、「大国主大神」が治めていた国土を天照大御神(あまてらすおおみかみ)に奉還したとする日本神話のエピソード。
「大国主大神」が旅の途中で傷ついた兎を助けたとする「因幡の白兎」(いなばのしろうさぎ)の逸話も知っておくと、「出雲大社」の観光はさらに楽しくなるはずだ。
境内に66羽ものウサギの石像が設置されているのは、「因幡の白兎」の逸話が背景にあることだけでも覚えておこう。

日本で有数のパワースポット「出雲大社」には見どころが盛りだくさん
日本で有数のパワースポット「出雲大社」には見どころが盛りだくさん

出雲大社へのアクセス

「出雲縁結び空港」を起点とした、「出雲大社」へのアクセスをご紹介。
「出雲縁結び空港」は「島根」への玄関口であり、観光する際の要所となる。
「出雲縁結び空港」から電車でもアクセスできるが、空港からバスを利用するのが最も楽で迷わない。

経路
「出雲縁結び空港」から出雲一畑交通の直通バスに乗車し、「出雲大社」で下車
所要時間
約40分

出雲大社の入場料と参拝可能時間

「出雲大社」の入場料と参拝可能時間は、以下の表を参考にしてほしい。
十九社から北側は、16:30以降の参拝はできなくなるため、注意しよう。

参拝可能時間
6:00〜19:00
※宝物殿は16:30まで
入場料
無料

出雲大社のお勧め観光シーズンは?

お勧めの観光シーズンは、日本全国から「出雲大社」に神様が集まってくるとされる11月だ。
「出雲大社」では、11月に「神在祭」(かみありさい)が開催される。
「神在祭」では、神を迎えるための「神迎神事」(かみむかえしんじ)から始まり、様々な神事・祭事が執り行われる。
その後、神々を見送るための「神等去出祭」(からさでさい)をもって「神在祭」は終了となる。
神事・祭事を通して日本古来の文化に触れられる時間は貴重であり、魅力的だ。

神様が全国から集まる11月に出雲大社へ参拝して、日本古来の文化に触れてみよう
神様が全国から集まる11月に出雲大社へ参拝して、日本古来の文化に触れてみよう

日本古来の文化・歴史を体感できる!出雲大社の見どころ6選

「出雲大社」は日本古来の文化や歴史に加え、貴重な建築物としての見どころも豊富に存在する。
それらを包括しながら楽しめる点も「出雲大社」の大きな魅力のひとつだ。
ここからは「出雲大社」の数多くある見どころの中でも、特に外せない見どころを厳選して紹介していく。

1. 長さ13mもある大しめ縄が大迫力!「神楽殿」

「神楽殿」は本来、「出雲大社」の宮司(神社の責任者)を務める一族が利用する大広間だ。
明治時代には神殿として使われるようになり、現在では結婚式などの祭事を執り行う場としても使われている。
規模を拡張して建て替えられた経緯があり、正面にそびえる「大しめ縄」や神社建築には珍しいステンドグラスが装飾に採用されている点が特徴的だ。
視覚的にわかりやすく楽しめる点は「神楽殿」の大きな魅力と言える。

重さは5.2tにもおよぶ「大しめ縄」を近くで見てみよう
重さは5.2tにもおよぶ「大しめ縄」を近くで見てみよう

2. 大きさと建築様式に注目すべき「拝殿」

「拝殿」では参拝者の御祈祷のほか、様々な奉納行事が行われる。
言わば、祈りを捧げるための場所だ。
1519年に造営された「拝殿」は1953年に多くの部分が焼失しており、1959年に再建されている。
大社造と切妻造(きりづまづくり)を融合した様式が用いられ、戦後の木造建築としては屈指の規模を誇るものとなった。
そんな技術の粋を感じられる建築が「拝殿」の魅力だ。

神様に祈りを捧げる大切な場所「拝殿」
神様に祈りを捧げる大切な場所「拝殿」

3. 清めのご利益がある砂が手に入る?「素鵞社」

「摂末社」(せつまつしゃ)とは、神社本社とは別の小規模な神社のこと。
祭神と縁の深い神々を祀る「摂社」と、それに次ぐ「末社」を合わせた呼び名だ。
そのひとつが「素鵞社」(そがのやしろ)で、「御本殿」の裏側に位置する。
ここには八岐の大蛇(やまたのおろち)退治で有名な、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が祀られている。
そんな「素鵞社」の見どころは軒下の砂で、「稲佐の浜」の砂と交換して持ち帰ることも可能だ。
なお、奉納した砂より少ない量を持ち帰るのがマナーなので注意しよう。
この砂には清めの効果があるとされ、厄除けなどに利用できる。

素朴な佇まいから神聖な雰囲気を感じられる
素朴な佇まいから神聖な雰囲気を感じられる
先に「稲佐の浜」の砂を集めてから訪れよう
先に「稲佐の浜」の砂を集めてから訪れよう

4. 本殿に行く前に訪れるべき「祓社」

「摂末社」のひとつである「祓社」(はらえのやしろ)は、人が持つ罪や穢れを全て払う場所であり、参拝者の身を清める役割を持っている。
そのため、「御本殿」の参拝前にお参りすることがマナーとなっている。
「祓社」の祭神は「祓戸四柱の神」(はらえどよはしらのかみ)という、4柱の神様。小さなお社だが、強いパワーを感じられるはずだ。
見落とされがちではあるが、「出雲大社」を参拝する際には忘れずに訪れてほしい。

これまでの罪や穢れを全て払うためにも、必ず訪れてほしい
これまでの罪や穢れを全て払うためにも、必ず訪れてほしい

5. 最大規模の神社建築に圧倒される「本殿」

「大国主大神」を祀っている「御本殿」には、代表的な良縁祈願のほかに、五穀豊穣などのご利益もある。
「御本殿」は日本最古の神社建築様式である大社造で築かれており、最大規模の神社建築として国宝に指定されている。
現在まで何度か遷宮が行われ、これと同時に修理もされてきた。
大きく荘厳な出で立ちからは歴史の息吹が感じられ、見るものを引き込むような魅力がある。
かつての「御本殿」の高さは48mもあったとされる。
15建てのビルに相当する高さの木造建築が、今より1,000年以上前に建てられているというのは驚きだ。
その証拠とされているのが2000年から2001年にかけて発掘された杉の大木で、古代では3本の大木を鉄の輪で束ねて1本の柱としていたとされている。

 今は24mの高さとなっているが、それでも迫力ある大きさに驚くはずだ
今は24mの高さとなっているが、それでも迫力ある大きさに驚くはずだ

6. 歴史の深さが視覚的に伝わる「銅鳥居」

銅製の鳥居としては、日本最古の鳥居である点が大きな特徴だ。
鳥居は神社へと通じる門やシンボル、不浄なものが入ることを防ぐ結界など複数の役割を持つ。
「出雲大社」には他にも異なる材質の鳥居が3つあり、見比べてみるのもおもしろい。
「銅鳥居」の魅力は青銅製ならではと言える色味の風合いにある。
歴史の深さを視覚的に感じられる瞬間だ。

くぐるだけでなく、じっくり観察してみよう
くぐるだけでなく、じっくり観察してみよう

出雲大社へ訪れる前に知っておくべき参拝作法

「出雲大社」は、一般的な神社とお参りの作法が違うので要注意だ。
一般的な神社は「二礼二拍手一礼」でお参りするが、「出雲大社」では「二礼四拍手一礼」でお参りする。
「御本殿」や「拝殿」だけに限らず、どの境内のお社でも同じ作法でお参りしよう。

拍手の回数が異なるため、注意しよう。
拍手の回数が異なるため、注意しよう。

出雲大社周辺のお勧めグルメ2選

「出雲大社」周辺には、出雲ならではのグルメやお土産を購入できるお店が集まる「神門通り」や「ご縁横丁」などのスポットがある。
そこで食べられる名物グルメの「出雲そば」や「うず煮」は絶品。
「出雲大社」を参拝するなら、名物グルメもぜひ味わってほしい。
ここからは「出雲大社」周辺で、食べるべきグルメを紹介していく。

1. そば処 田中屋 本店

出雲大社の正門前に店を構える、出雲そば専門店。
出雲そばは、岩手県の「わんこそば」、長野県の「戸隠そば」と並び、日本三大そばの一つに数えられる出雲名物だ。
玄そばをそのまま挽き込む「挽きぐるみ」と呼ばれる製法で作るため、色が濃く、豊かな風味が特徴。

日本三大そばの一つに数えられる、出雲そばの専門店
日本三大そばの一つに数えられる、出雲そばの専門店

2. 坂根屋大社店 出雲ぜんざい餅

出雲大社正門前にあり、ご当地グルメが集結する「ご縁横丁」にあるお茶屋さん。
1872年創業の老舗和菓子店「宿禰餅(すくねもち)本舗 坂根屋」が手がけており、出雲ぜんざいが名物。
小豆を砂糖で甘く煮て餅を浮かべる、日本を代表する和スイーツ・ぜんざいは、出雲が発祥とされている。

出雲発祥と伝わるぜんざいの専門店
出雲発祥と伝わるぜんざいの専門店

併せて訪れるべき出雲大社の周辺観光スポット3選

ここでは「出雲大社」と併せて観光してほしいスポットを紹介する。
どれも「出雲大社」とは縁が深いスポットなので、一緒に観光することでより一層楽しめるはずだ。

1. 神門通り

国登録有形文化財でもある宇迦橋の大鳥居から、勢溜の大鳥居まで続く約700mの表参道。「神門通り」と呼ばれ、出雲大社参拝前後に訪れる人で賑わいをみせる。
出雲大社正門から宇迦橋の大鳥居を望む、この場所ならではの美しい景色もみどころのひとつだ。
古いものと新しいものが共存する神門通りには、60もの店が立ち並び、のんびりと散策するだけでも楽しい。
こちらを訪れたらぜひ食べておきたいのが出雲名物の「出雲そば」。
名店が多く揃うので、食べ比べするのもおすすめだ。ほかにも地元発祥と言われる甘味「ぜんざい」の専門店や、出雲土産がずらりと並ぶ土産物店など多彩に揃う。

出雲そばや土産物店などが軒を連ねる、出雲大社の表参道
出雲そばや土産物店などが軒を連ねる、出雲大社の表参道

2. 稲佐の浜

出雲大社から西に徒歩15分ほどの場所にある、約2kmの砂浜海岸。
白砂青松の美しい景観から、日本の渚100選に選定されている。
古事記に記された「国譲り神話」の舞台であり、年に一度、全国の八百万の神々をお迎えする場所とされ、旧暦10月10日の夜には神迎えの神事が執り行われる。
浜の近くに「上宮(かみのみや)」という出雲大社の摂社があり、ここでは男女の縁結びをはじめ、多くの縁を結ぶ会議「神議り(かみはかり)」が行われるとされる。

全国の神様が一堂に会する
全国の神様が一堂に会する

3. 島根県立古代出雲歴史博物館

出雲大社や数多くの神話が残る古代出雲に関する貴重な資料が、多数展示される博物館。
中央ロビー展示では、2000年に出雲大社境内で発見された、巨大な柱「宇豆柱」を展示。テーマ別展示室は3つに分かれており、「出雲大社と神々の国のまつり」には、平安時代には巨大な高層神殿だったという出雲大社の10分の1模型が展示されている。
「青銅器と金色の太刀」では、国宝の銅剣358本と銅鐸39個がズラリと並ぶ圧巻の景色を見られる。

古代出雲の神話や謎に迫る博物館
古代出雲の神話や謎に迫る博物館

出雲大社に関するよくある質問

Q

出雲大社に祀られている神様は?

A

境内のお社では多くの神様を祀っているが、主祭神は大国主大神です。

Q

出雲大社のご利益は?

A

五穀豊穣や商売繁盛など様々あるが、最も代表的なのは良縁祈願です。

まとめ

この記事では「出雲大社」の魅力や見どころだけでなく、歴史や基本情報も紹介してきた。
歴史や背景などを事前に予習することで、「出雲大社」の観光はさらに楽しくなるはずだ。
日常では決して味わえない日本古来の歴史を体験できる「出雲大社」には、日本が好きなら、ぜひ一度訪れてほしい。
また、島根を観光するなら、以下の記事も参考にしてほしい。