混雑を避けるために知っておきたい日本の祝日と長期休暇

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本を観光で訪れるならば、快適に過ごし最大限に満喫したいと、ほとんどの人が思うはずだ。
しかし、日本旅行のハイシーズン・オフシーズンを詳しく知っている人は多くないだろう。
この記事では、観光スポットが混雑しやすい日本の祝日や、長期休暇シーズンを紹介していく。
また、旅行者が少ないお勧めの時期もご紹介。
日本を観光するタイミングを迷っている人、費用・混雑をなるべくおさえてプランを立てたい人に役立つ内容になっているので、ぜひ最後まで読んでほしい。

目次

年間で16日間ある日本の祝日

日本では祝日法によって、年間16日(2024年5月現在)の「国民の祝日(以下祝日と記載)」が定められている。
祝日は国民が共に祝い、感謝し記念する日と定義されており、平常から離れた一日を過ごせるようにという趣旨のもと休日になる。
具体的な日にちは、以下の表を参考にしてほしい。

元日
1月1日
成人の日
1月の第2月曜日
建国記念の日
2月11日
天皇誕生日
2月23日
※天皇が変われば、日付も変わる
春分の日
3月20日
※春分日(天文観測で春分が起こる日、通例3月20日か3月21日)
昭和の日
4月29日
憲法記念日
5月3日
みどりの日
5月4日
こどもの日
5月5日
海の日
7月の第3月曜日
山の日
8月11日
敬老の日
9月の第3月曜日
秋分の日
9月22日
※秋分日(天文観測で秋分が起こる日、通例9月22日か9月23日)
スポーツの日
10月の第2月曜日
文化の日
11月3日
勤労感謝の日
11月23日

祝日は以下の3種類に分かれている。

  • 西暦に関わらず日付が固定されている
  • 連休になるように毎年月曜日に定められている
  • 月日は定めず天文観測によって選定される

祝日が日曜日に該当する場合は、最も近い平日(通常月曜日)に振替休日が設けられる。
2024年のカレンダーを見ると、「2月12日・5月6日・8月12日・9月23日・11月4日」が振替休日になっているだろう。
祝日が土曜日の場合は振り替えされないため、実質的な年間祝日の数は毎年増減するのも特徴だ。
それぞれの祝日がなぜ休日になったのか、どのような意味が込められているのかを合わせて紹介していこう。

日本の祝日を把握して混雑を避けて旅行しよう
日本の祝日を把握して混雑を避けて旅行しよう

新たな年の始まりを祝う「元旦(1月1日)」

「元日(がんじつ)」は、新たな年の始まりを国民が祝い、感謝する日だ。
かつては「四方節(しほうせつ)」と呼ばれ、古くから様々な形でお祝いの行事・儀式が行われてきた歴史を持つ特別な日である。
祝日法の制定にあたっても世論から99.9%という高い支持を受け、制定当初(1948年)に定められた。
1年の始まりを意味する言葉には「元旦(がんたん)」もあるが、こちらは1月1日の午前中を指す。

元旦には初詣で神社やお寺が賑わう
元旦には初詣で神社やお寺が賑わう

大人になる若者を祝う「成人の日(1月の第2月曜日)」

「成人の日」の趣旨は、“おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます”である。
制定の背景には、戦後の日本が直面した厳しい状況の中、関係者が次の時代を担う子供・若者に対しての大きな期待の現れがあった。
また若者に社会人としての自立を促し、国家社会・世界人類のために責任を尽くす自覚を持ってほしいという願いも込められている。
制定時は1月15日とされていたが、祝日法改正によって2000年から1月の第2月曜日に変更された。

各地で成人となる若者を祝う成人式が開催される日でもある
各地で成人となる若者を祝う成人式が開催される日でもある

日本の成り立ちを振り返る「建国記念の日(2月11日)」

「建国記念の日」は日本国の建国をしのび、国を愛する心を育み・養う目的で制定された。
2月11日は、日本書紀古事記(日本最古の歴史書)で初代天皇とされている神武天皇(じんむてんのう)の即位日「紀元節」に由来している。
戦後GHQの意向で一度は廃止されるも、国会での審議を経て再び祝日に定められた経緯を持つ。
国民一人ひとりが日本の成り立ちを振り返るとともに、先人への感謝および国の発展を期待するという願いも込められている。
アメリカの「独立記念日」や中国の「国慶節」などと同じく、日本人にとって重要な日だ。

日本国の建国をしのび、国を愛する心を育み・養う建国記念日
日本国の建国をしのび、国を愛する心を育み・養う建国記念日

天皇の誕生日を祝う「天皇誕生日(2月23日)」

「天皇誕生日」の趣旨は、”天皇の誕生日を祝う“であり、天皇が変わると祝日も変更される。
775年に光仁天皇(こうにんてんのう)の誕生日を祝ったところまで遡るほど、その歴史は古い。
1948年までは「天長節」と呼ばれる祝日で、「天長地久(天地が永久であるように、物事は(天皇の治世)永遠に続く)」という言葉に由来している。
祝日法制定時もそのまま祝日に定められ、当初は昭和天皇(しょうわてんのう)の誕生日である4月29日だった。
ちなみに現2月23日は、第126代・徳仁天皇(なるひとてんのう)の誕生日だ。

天皇が変わると祝日も変更となる天皇誕生日
天皇が変わると祝日も変更となる天皇誕生日

季節の変わり目となる「春分の日(3月20日)」

「春分の日」の趣旨は、”自然をたたえ、生物をいつくしむ”である。
具体的な月日が定められていない祝日のひとつで、天文学上の春分日(通例3月20日か3月21日)が対象となる。
制定当時は昼と夜の長さがほぼ等しくなる日(現在もそう言われるが若干ずれている)であり、古来より季節の変わり目として大切にされてきた。
また「春の彼岸」の中日にもあたるため、自然の恵みへの敬意とともに先祖への供養・感謝の思いも込められて、祝日になった背景がある。

自然をたたえ、生物をいつくしむ春分の日
自然をたたえ、生物をいつくしむ春分の日

昭和時代を振り返り未来への指針を考える「昭和の日(4月29日)」

「昭和の日」の趣旨は、”激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす”である。
約62年に渡って続いた昭和時代(1926年〜1989年)は、戦争と復興を筆頭に未曽有の激動を経験し、苦難を乗り越えてきた。
現在の日本の礎を築いた重要な時期で、平和と繁栄を築いた国民の努力・成果を称え祝日となった。
また昭和を顧みて歴史的教訓を忘れずに、未来への指針を学び取ってほしいという意義も込められている。
1988年までは「天皇誕生日」だったが、昭和天皇の崩御後「みどりの日」と名前を変え、2007年に新たに制定された。

激動の時代であった昭和時代を振り返り、未来に思いをいたす「昭和の日」
激動の時代であった昭和時代を振り返り、未来に思いをいたす「昭和の日」

日本国憲法の価値を再確認し、施行を祝う「憲法記念日(5月3日)」

「憲法記念日」の趣旨は、”日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する”である。
第二次世界大戦の教訓を反映した日本国憲法は、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を基本原則に制定された。
これらの内容・価値を再確認し、国民による反省と祝賀の機会を促す祝日。
取り上げるのに疑う余地がないとされ、祝日法制定当初から定められている。
ただし日付に関しては、様々な議論を踏まえて決定した背景がある。

祝日法制定当初から定められている「憲法記念日」
祝日法制定当初から定められている「憲法記念日」

自然の恩恵に感謝する「みどりの日(5月4日)」

「みどりの日」の趣旨は、”自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ”である。
昭和天皇の崩御による天皇誕生日の変更に伴い、1989年から4月29日は「みどりの日」として新たに祝日となった。
自然を愛し、植物に造詣が深かった昭和天皇への敬愛と、身近な自然・森林への感謝を結びつけたのが名前の由来だ。
また、天皇誕生日の移動(ゴールデンウィーク短縮)による国民生活への影響を懸念したため、改めて祝日とした背景がある。
2007年に「昭和の日」が制定されると、同年から5月4日に変更された。

身近な自然・森林へ感謝する祝日「みどりの日」
身近な自然・森林へ感謝する祝日「みどりの日」

日本ならではの祝日「こどもの日(5月5日)」

「こどもの日」の趣旨は、”こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する” である。
成人の日と同様に、次世代を牽引する人々への大きな期待の現れも含まれる。
日本ならではの祝日で、世界に例がないのも特徴だ。
また日本では、女の子の成長を祝う「ひな祭り(3月3日)」と男の子の成長を祝う「端午の節句(5月5日)」が、子供に関する風習として知られている。
2つを合わせて5月3日にする案も出されたが憲法記念日と重なるため、季節の良い5月5日に決まった背景を持つ。

子供の幸福をはかり、母に感謝する「こどもの日」
子供の幸福をはかり、母に感謝する「こどもの日」

海の恩恵に感謝する祝日「海の日(7月の第3月曜日)」

「海の日」の趣旨は、”海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う”である。
日本は四方を海に囲まれており、古くから文化交流・交通手段など、生活の多くの面で依存してきた。
今日の日本は海と親しみながら築き上げたといっても過言ではなく、世界の中でも海の恩恵を受けている国のひとつだ。
そんな海と国民との関係を再認識・感謝し、海を大切にする心を育む目的で祝日に制定された。
制定当初は「海の記念日」として長らく浸透した7月20日だったが、祝日法改正に伴い2003年から7月の第3月曜日に変更されている。

海洋国日本の繁栄を願う「海の日」
海洋国日本の繁栄を願う「海の日」

山の恩恵に感謝する祝日「山の日(8月11日)

「山の日」の趣旨は、”山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する”である。
日本の国土は約7割が山地で占めており、日本人は山から多くの恩恵を受け日々生活している。
自然の根源である山と向き合い、共存共生を図ることは非常に有意義であるため、山に親しみ・考える日という目的で制定された。
また1995年に「海の日」が祝日になった段階で、山岳関係者・地方自治体から山に関する祝日を求める声が多く挙がった。
これらを背景に議論が進められ、議会で可決、成立に至った経緯もある。
現在ある16の祝日の中で最も新しく、2014年に制定、2016年から施行開始となった。

山から多くの恩恵を受ける日本ならではの祝日「山の日」
山から多くの恩恵を受ける日本ならではの祝日「山の日」

社会に貢献してきた老人に敬意を示す「敬老の日(9月の第3月曜日)」

「敬老の日」の趣旨は、”多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う”である。
長期に渡り社会に貢献してきた高齢者に感謝を示し、老後の精神的な安定へ願いを込めて制定された。
戦後の困難な時期に子供を戦争に送り出した、親たちへの感謝と敬意を表すために、1947年に兵庫県で主催された「敬老会」に起源を持つ。
当初は9月15日に「としよりの日」という名で始まり、各地で行事が行われるなど全国に取り組みが広まると、1966年から正式に祝日となった。
そのため、2002年までは9月15日だったが、祝日法改正に伴い2003年から9月の第3月曜日に変更されている。

老人を敬愛し、長寿を祝う「敬老の日」
老人を敬愛し、長寿を祝う「敬老の日」

祖先と亡くなった人々を偲ぶ「秋分の日(9月22日)」

「秋分の日」の趣旨は、”祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ”である。
具体的な月日が定められておらず、天文学上の秋分日(通例9月22日か9月23日)が対象となるのが特徴だ。
この日は太陽が赤道上に位置し、昼と夜の長さがほぼ等しくなる季節上の区切りの意味を持ち、上述した「春分の日」に対応するものとして制定された。
また、自然の移り変わりを感じ、収穫を感謝する日でもある。

収穫を感謝する祝日でもある「秋分の日」
収穫を感謝する祝日でもある「秋分の日」

東京オリンピック開催の記念に制定された「スポーツの日(10月の第2月曜日)」

「スポーツの日」の趣旨は、”スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う”である。
1964年に東京オリンピックの開催を記念して制定された。
当初は「体育の日」と呼ばれ、1966年から1999年までは東京オリンピックの開会式が行われた10月10日に定められていた。
祝日法改正に伴い2000年から10月の第2月曜日に変更され、2020年に現在の名称に改められる。
この変更には、国民がスポーツの精神性を通じて健康な心身を培い、住みやすい社会を形成してほしいという願いが込められている。
また、日本初の英語由来のカタカナによる祝日というのも特徴のひとつ。

他者を尊重する精神を培い、健康で活力ある社会の実現を願う「スポーツの日」
他者を尊重する精神を培い、健康で活力ある社会の実現を願う「スポーツの日」

文化に触れることを勧める祝日「文化の日(11月3日)」

「文化の日」の趣旨は、”自由と平和を愛し、文化をすすめる”である。
もともと11月3日は明治天皇(めいじてんのう)の誕生日であり、「明治節」として祝日とされていた。
またこの日付は、1946年に日本国憲法が公布された日で、日本は憲法において戦争放棄を宣言している。
国際的にも重要な”文化的”な意義を持ち、平和を図り”文化”を進める意味から「文化の日」と名付けられた。

自由と平和を愛し、文化をすすめる「文化の日」
自由と平和を愛し、文化をすすめる「文化の日」

あらゆる労働に感謝する祝日「勤労感謝の日(11月23日)」

「勤労感謝の日」の趣旨は、”勤労をたっとび(称える)、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう”である。
祝日法の制定前は「新嘗祭(にいなめさい)」という祝日で、その年に無事に収穫できた作物を神に捧げ感謝し、翌年の豊作を願う行事だった。
いにしえからの風習を生かしつつ、豊作だけでなくあらゆる労働に感謝する日として、祝日法制定時に名前を変えて新たに設けられた。
現代では、全ての職種に従事する人々への感謝と尊敬の気持ちを表す日に位置づけられている。

新嘗祭という行事を前身に持つ「勤労感謝の日」
新嘗祭という行事を前身に持つ「勤労感謝の日」

都道府県ごとに名称も日にちも異なる「県民の日」

国民の祝日とは別に、東京都・大阪府北海道鹿児島県など、都道府県ごとに記念日として定めた日もある。
その都道府県が成立した日を記念日とすることが多いが、必ずしもその限りではない。
そのため、日にちはそれぞれ異なり、記念日のない都道府県も多い。
名称も都道府県ごとに異なるが、総じて「県民の日」と呼ばれている。
都道府県によっては、県民の日は学校が休みとなるため、平日よりも観光スポットや飲食店などが混み合う。
都道府県ごとの県民の日は、以下の表を参照してほしい。

都道府県 名称 日にち
北海道 北海道みんなの日 7月17日
秋田県 県の記念日 8月29日
福島県 福島県民の日 8月21日
茨城県 県民の日 11月13日
栃木県 県民の日 6月15日
群馬県 群馬県民の日 10月28日
埼玉県 県民の日 11月14日
千葉県 県民の日 6月15日
東京都 都民の日 10月1日
山梨県 県民の日 11月20日
静岡県 県民の日 8月21日
愛知県 あいち県民の日 11月27日
富山県 県民ふるさとの日 5月9日
福井県 ふるさとの日 2月7日
和歌山県 ふるさと誕生日 11月22日
三重県 県民の日 4月18日
鳥取県 とっとり県民の日 9月12日
愛媛県 県政発足記念日 2月20日
鹿児島県 県民の日 7月14日

旅行のハイシーズンとなる日本の長期休暇

ここからは観光名所やショッピングモールが、混雑する長期休暇のシーズンを紹介していく。
祝日とは関係なく大型連休になる期間・人もおり、各人気スポットはお客さんで賑わいをみせる。
時期ならではのイベント開催や、限定品の販売で盛り上がるため、該当時期に日本へ旅行する場合は人の多さ・施設の満員を覚悟しよう。
また交通機関が込みやすく、新幹線・飛行機・ホテルなどの価格も最大値に設定されている点にも注意してほしい。
お目当てのイベントなどがなく、スケジュールの調整が可能であれば、長期休暇シーズンは避けるのがお勧めだ。

学生の春の長期休暇「春休み」

“春休み”は原則学生のみに与えられる休暇で、地域・区分(公立・私立)・学校単位で日数はそれぞれ異なる。
一般的に、小学校・中学校・高校は3月25日〜4月5日(約10日)、大学は2月下旬〜4月上旬(約2ヶ月)の期間が休みになっている場合が多い。
日本では、1年を4月1日〜翌3月31日で区切っているため、新年度に備えた準備期間として春休みを設けている。
そのため、春休み期間中の観光スポットは多くの学生で賑わう。

学生で観光スポットが混み合う春休み期間
学生で観光スポットが混み合う春休み期間

春の大型連休「ゴールデンウィーク」

“ゴールデンウィーク(通称:GW)”は、4月末から5月の1周目にかけて休日が続く期間(間にある平日も含む)を指し、春の大型連休とも呼ぶ。
上記で説明した祝日の内、「昭和の日」・「憲法記念日」・「みどりの日」・「こどもの日」の4つが含まれており、この期間だけで年間祝日の1/4を占める。
また土日・振替休日に加え、間の平日に有休休暇を取ると(メーデーとする企業もある)、最大で10連休になる年(人)も存在する。
名前の由来は諸説あるが、放送業界の専門用語「ゴールデンタイム」が有力だ。
さらに映画配給会社が集客目的で「黄金週間(素晴らしい1週間)」と名付け、インパクトを強めるために「ゴールデンウィーク」に変え、徐々に国民からも認知された。

ゴールデンウィークになると各地の高速道路で渋滞が発生する
ゴールデンウィークになると各地の高速道路で渋滞が発生する

学生の夏の長期休暇「夏休み」

“夏休み”は学生と社会人で、対象の期間が異なる。
一般的に学生は、小学校・中学校・高校は7月下旬〜8月末(約40日)、大学は7月末〜9月上旬(約50日)に休みが与えられる。
ただし、春休みと同様に地域・学校単位で具体的な日数は違う。
日本の夏は厳しい暑さで知られるが、冷房がない学校も多く、この期間の授業は困難というのが長期休暇となる背景のひとつ。
また休暇期間に心身を休め、自主的な生活の形成、普段の学校では経験できない活動への挑戦も期待している。
一方で社会人は、7月〜9月の中で任意の3〜5日間もしくは、後述のお盆休みが与えられる。※企業・職種によってはない場合や別の期間に移すケースもある。

レジャースポットが学生で混み合う夏休み
レジャースポットが学生で混み合う夏休み

日本の伝統文化に即する「お盆休み」

お盆とは、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれる仏教用語で、祖先の霊を供養する日本の伝統的な文化である。
迎え火や送り火、精霊馬といった風習や、お供え物・お墓参りを通じて先祖への感謝など様々な行事が行われる。
地域によって時期は異なるが、主に8月13日〜8月16日を指し、この期間に取る休みを”お盆休み”と呼ぶ。
学生は夏休み期間に該当するが、企業はお盆に休みを与える義務がないため、社会人は必ずしも休みとは限らない。
ただし、夏季休暇(特別休暇)に設定している場合や、帰省のために休暇を取る人も多いのも特徴である。

お盆休み期間やその前後に開催されるお祭りも多い
お盆休み期間やその前後に開催されるお祭りも多い

秋の大型連休「シルバーウィーク」

“シルバーウィーク(通称:SW)”は、9月の「敬老の日」・「秋分の日」に土日を組み合わせた秋の大型連休(5日以上)を指す。
5月のゴールデンウィークに伴って生まれた名称だが、毎年固定の期間を示す言葉ではない。
例えば、2024年は9月14日〜16日、9月21日〜23日の2回の3連休に分かれるため、厳密に言えばシルバーウィークには該当しない。
秋分日と祝日法の関係から、基本的に「秋分の日」が水曜日の年に生まれる構造になっており、2009年に初めて発生した。

シルバーウィークも公共交通機関や観光スポットはかなり混雑する
シルバーウィークも公共交通機関や観光スポットはかなり混雑する

学生も社会人も長期休暇に入る「年末年始」

“年末年始”は、1年の終わりから翌年のはじめの期間を意味する。
明確な定義はなく、具体的な期間は状況や使い方によって異なるのが特徴だ。
一般的に、「年末(年の暮れ)」は12月25日〜12月31日、「年始(新年)」は1月1日〜1月7日を指す。
この時期、学生は冬休み、社会人は年末年始休暇が与えられる。
行政機関・銀行・一部を除く民間企業(主に12月29日〜1月3日)も休業になる場合が多く、交通機関や観光スポットが最も混雑する時期のひとつ。
日本では、年末年始(特に大晦日・正月)は家族や親せきと過ごす貴重な時間だとされており、学生には休みが設けられている。
また企業も福利厚生の一環として、従業員の満足度向上を目的に年末年始休暇を設定している。

家族で集まる期間でもある年末年始
家族で集まる期間でもある年末年始

祝日・長期休暇以外で混雑するお花見・紅葉シーズン

ここまで説明した祝日・長期休暇の時期以外にも、混み合うシーズンが存在する。
美しい四季と季節の移ろいが魅力の日本では、花木々が見頃を迎えると鑑賞を楽しむ文化がある。
特に人気なのは、桜を楽しむ”お花見”、紅葉を満喫する”観楓(かんぷう)”の時期だ。
これらを目的に旅行を考えているならば、それなりの混雑を覚悟してほしい。
2つのシーズンについて、詳しく紹介していこう。

美しい桜を楽しめるお花見シーズン

お花見シーズンはエリアごとに期間が異なるため、以下の表にまとめた。
沖縄を始めとする南部地域が最も早く、1月下旬から開花し始め、北上するにつれて時期が遅くなる。
年ごとに見頃が変わるので、鑑賞する予定がある場合は、満開のタイミングを逃さないよう天気予報などをチェックするのがお勧め。
お花見は日本の春の象徴的な風物詩であり、参道にならぶ屋台や夜桜を楽しむライトアップ、桜祭りなど、様々な楽しみ方ができる。
特に桜が美しい絶景スポットはひと目見ようと、多くの人が集まるため、必然的に混雑してしまう。

エリア別の桜の見頃

北海道
5月上旬〜5月中旬
東北地方(青森県・秋田県・岩手県・宮城県・山形県・福島県)
4月中旬〜5月上旬
関東地方(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
3月下旬~4月上旬
中部地方(山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県)
3月下旬~4月上旬
北陸地方(新潟県・富山県・石川県・福井県)
4月上旬〜4月中旬
関西地方(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県・三重県)
3月下旬〜4月上旬
中国地方(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)
3月下旬〜4月上旬
四国地方(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)
3月下旬~4月上旬
九州地方(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)
3月下旬~4月上旬
沖縄
1月下旬〜2月上旬

各地で木々が色づく紅葉シーズン

紅葉シーズンもエリアごとに期間が異なるため、こちらも表にまとめた。
お花見シーズンと反対に北海道から見頃を迎え、9月中旬〜12月上旬の時期に楽しめる。
気温の変動によって前後する可能性もあるので、訪れる前には必ず最新の情報をチェックしよう。
秋の風物詩である紅葉は、日本の四季の移ろいを示す美しい自然現象だ。
様々な種類のもみじが色づく様子は多くの観光客を惹きつけ、結果的に各地で混雑が発生する。

エリア別の紅葉の見頃時期

北海道
9月中旬~10月下旬
東北地方(青森県・秋田県・岩手県・宮城県・山形県・福島県)
9月下旬〜11月中旬
関東地方(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
10月上旬~12月上旬
中部地方(山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県)
9月下旬〜12月上旬
北陸地方(新潟県・富山県・石川県・福井県)
10月中旬〜12月上旬
関西地方(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県・三重県)
10月中旬〜12月上旬
中国地方(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)
10月中旬〜11月下旬
四国地方(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)
10月上旬〜11月下旬
九州地方(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)
10月下旬〜12月上旬

日本旅行のオフシーズンはいつ?

最後に観光スポットやショッピングモールが、比較的空いているオフシーズンを紹介しよう。
簡単にいえば、ここまで説明してきた以外の時期になる。
それだとわかりづらいので、下記の表を参考にしてほしい。
以下のシーズンは航空券や旅行パッケージも安くなっているため、費用を抑えた旅行にもお勧めだ。

日本旅行の主なオフシーズン

お正月明け~2月上旬
クリスマスから年末年始にかけて旅行を楽しむ人が多い。
お正月明けは仕事や学校が始まり、日本全体が忙しくなるため、旅行はオフシーズンに入る。
4月上旬~ゴールデンウィーク前
4月に新学期・新年度が始まる日本では、新生活に集中したいと考える人が多く旅行はあまりしない。
ただし過ごしやすい季節であり、お花見スポット付近は混み合うので注意が必要。
5月中旬~6月下旬
旅行・観光のピークであるゴールデンウィークが終わり、雨が降りやすい梅雨(つゆ)に突入するため、旅行者が減る。
現在のところ6月は祝日がなく、3連休以上にならない点もオフシーズンの理由。
11月下旬~12月上旬
一部地域では紅葉シーズンだが、それ以外の目的で旅行する人は少ない。
1年の最終月で、社会人・学生は仕事・学業に集中するため、オフシーズンになりやすい。(クリスマスが近づくほど価格が上がり徐々に混み合う)

日本の祝日・長期休暇に関するよくある質問

Q

日本の祝日は年間で何日あるの?

A

年間で16日の祝日が設けられています。(2024年5月現在)

Q

日本の学生の長期休暇はいつ?

A

春休みは、小中高校が3月下旬〜4月上旬(約10日)、大学が2月下旬〜4月上旬(約2ヶ月)です。それぞれ夏休みは7月下旬〜9月上旬(約40〜50日)、冬休みは12月下旬〜1月上旬(約15日)です。

まとめ

日本の祝日や長期休暇シーズンを中心に、観光名所や人気スポットが混みやすい期間を説明してきた。
ハイシーズンは各施設が混み合うだけでなく、交通機関や道路もたくさんの人で埋め尽くされる。
ホテルや各種サービスも高値に設定されているため、可能であればオフシーズンに旅行を楽しむのがお勧めだ。
こちらの記事では、定番グルメ・観光地など日本の魅力を網羅的にまとめている。
観光プランの作成や初めて日本旅行をする人向けに役立つ情報が、満載なので合わせて参考にしよう。