広島の歴史と文化を伝える名城・広島城の観光ガイド

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本100名城のひとつであり、今ではガイドブックでもお馴染みとなっている「広島城」。
歴史的建造物としての見どころはもちろん、五階五層の天守閣では広島と広島城の歴史と文化を学べる展示も行われている。
「広島城」をより楽しむために、この記事で紹介する広島の基本情報と見どころをぜひ参考にしてほしい。

目次

広島城ってどんなところ?

厳島神社」や「原爆ドーム」など、世界遺産に登録された建造物のある、中国・四国地方でも人気の観光地「広島県」。
都市環境を整備した広島市や自然あふれるエリアが広がり、話題となるスポットも多い。
そんな人気の観光地である広島県広島市に位置する「広島城」は、西部を流れる太田川のデルタに築かれた名城だ。「日本100名城」の1つにも選ばれている。

築城は16世紀末。
豊臣秀吉(とよとみひでよし)の傘下へ入った、戦国時代の武将・毛利輝元(もうりもとなり)は大阪城に感銘し、中国地帯一帯の広い領地を治めるために、山奥の居城から水陸の便が良い平野へ移そうと思い立つ。
1588年に築城を開始し、1599年に完成。
外掘・中堀・内堀の3重で囲まれた中心に本丸があり、上段は城主の居住エリア、下段は馬場と土蔵となっていた。
日本最多の88基の櫓と三階三層の小天守が二基もある、大規模な名城だった。
1600年には関ヶ原の戦いに貢献した福島正則(ふくしままさのり)へ与えられ、江戸時代に入ると城主は浅野長晟(あさのながあきら)へ。
その後、第2次世界大戦の戦火に巻き込まれて崩落・倒壊。
天守閣・表御門・平櫓・多聞櫓・太鼓櫓は復元され、築城した当時の面影を今でも感じられる。
大本営跡や中御門跡など、壁に木の板を張り付けた風情ある天守閣と共にぜひ見てほしい。

風情ある天守閣は必見
風情ある天守閣は必見

広島城へのアクセス

広島観光の移動拠点となる、JR広島駅から広島城へのアクセスを紹介しよう。
電車・バスはもちろん、時間はかかるが徒歩だけでもアクセス可能だ。

電車
市内電車から1・2・6番で広島電鉄に乗車。
「紙屋町東駅」・「紙屋町西駅」にて下車をし、地下通路を通って徒歩15分。
バス
広島駅南口の7・8・9番のバス乗り場から「合同庁舎前」経由のバスへ乗車。
「 合同庁舎前」にて下車をし、徒歩8分(「八丁堀」経由は「合同庁舎前」停車なし)。
徒歩
25分

広島城の入場料と開館時間

「広島城」の入場料と開館時間は、以下の情報を参考にしてほしい。
イベントが開催されている時期は、開館時間が延長される場合もある。

天守閣の入場料と開館時間

「天守閣」の観覧料と開館時間は下記の通り。
休館日は12月29日〜31日で、臨時休館があるため、訪れる前に公式サイトをチェックしよう。
時期によって開館時間が異なることも、注意してほしい。

観覧料
・大人:370円
・65歳以上:180円
・高校生:180円
・中学生以下:無料
開館時間
・3月〜11月 9:00〜18:00(入館は17:30まで)
・12月〜2月 9:00〜17:00(入館は16:30まで)

二の丸の入場料と開館時間

「二の丸」は観覧無料。
休館日は12月29日〜1月2日と、「天守閣」とは異なるため注意してほしい。

観覧料
無料
開館時間
・4月〜9月 9:00〜17:30(入館は17:00まで)
・10月〜3月 9:00〜16:30(入館は16:00まで)

広島城のお勧め観光シーズンは?

「広島城」を訪れるなら、3月下旬〜4月上旬の桜を眺められる春がお勧め。
「お花見スポット」としても知られる美しい姿を堪能できる。
イベントによりライトアップされるので、夜桜と「広島城」の共演を楽しもう。
夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色も美しく、SNS映えする写真撮影も可能だ。

夜桜と「広島城」の共演を楽しもう
夜桜と「広島城」の共演を楽しもう

ここだけは押さえておきたい!広島城の見どころ5選

「広島城」には、押さえておきたい5つのポイントがある。
それが「天守閣」「表御門」「二の丸」「被爆木」「石垣」だ。
見どころいっぱいだからこそ、この5つを見落とさないよう心がけてほしい。

1. 外から見ても内部を見学しても楽しめる「天守閣」

現在の「天守閣」は、五階五層。
天守のみの高さは26.6m。
天守台と屋根上の鯱瓦も合わせると、約40mの高さを誇る。
外装は、壁の下側を黒い板で覆う下見板張。
鯱瓦は、福山城にある筋金御門の櫓を参考にしている。
江戸時代までは三階三層の小天守が二基あり、大天守と渡櫓で連結した複連結式だった。
戦災で倒壊したあと、1951年の広島国体に合わせて仮設天守を設営。
1953年国の史跡指定に登録され、広島復興大博覧会へ向け復元が決まる。
1958年に最上階のみを木造、一層~四層は鉄筋コンクリート造りで再建された。
天守閣内部では、広島城の構造や特徴、広島の文化を伝える資料などが展示されている。
五層は展望室になっており、天守閣から広島市内を一望できる。

天守閣のフロア構成

一層
構造がわかる展示・体験コーナー・ショップ
二層
暮らしと文化の展示・絵屏風の復元
三層
甲冑や刀剣の展示
四層
天守閣・企画展示
五層
華頭窓のある展望室
広島城を象徴する「天守閣」
広島城を象徴する「天守閣」

2. 攻守の要となった「表御門」

二の丸の玄関口「表御門」は、木造で脇戸付の櫓門だ。
屋根は入母屋造の本瓦葺となっており、高さ10.61m。
右側には平櫓も設けられ、広島城への侵入を防ぐ他、有事の際すぐ出撃できるように備えられた。
外からは平櫓しか見えないが、多聞櫓や太鼓櫓にも兵力を備えたことから、表御門は広島城を守る要の1つと言える。
敵が内堀にかけられた橋へ進んだ場合、平櫓から横矢で狙い撃ち、表御門でくいとめる役割を持っている。
平櫓には鉄砲狭間が再現され、それに続く全長68mの多聞櫓や太鼓櫓も見学可能だ。
内部には太鼓櫓や平櫓のミニチュア模型が置かれ、それぞれに説明を加えた案内板もある。
戦火で失われ、1991年に復元された。

表御門は広島城を守る要の1つ「表御門」
表御門は広島城を守る要の1つ「表御門」

3. 国の重要文化財に指定されている「二の丸」

天守閣と同様に国の重要文化財へ指定されている「二の丸」は、本丸の馬出として築かれた。
馬出とは出入口を守り、出陣に備えた拠点を置く場所だ。
つまり本丸の入口となる「中御門」を守護し、敵の襲来を防ぐ役割がある。
1945年、原爆に巻き込まれ、石垣以外はすべて消失した。
1989年に復元工事をスタートさせ、1994年西側の塀も含め完成している。
御殿(身分の高い人物の住居)は設けられていない。
建物は表御門・平櫓・多聞櫓・太鼓櫓の他、番所・馬小屋・井戸など戦いに必要な施設のみ。
敷地の半分は空きスペースとなり、出陣に備えた集合場所として伝えられている。

国の重要文化財へ指定されている「二の丸」
国の重要文化財へ指定されている「二の丸」

4. 原爆が投下された歴史を伝える「被爆樹木」

被爆樹木とは、広島に投下された原爆の爆心地から2km圏内に存在し、焼失しなかった樹木だ。
広島市内には160本あり、そのうち広島城には4本残っている。

種類 場所 爆心地からの距離
マルバヤナギ 中御門跡 770m
ユーカリノキ 二の丸 740m
クロガネモチ 大本営前に2本 910m
広島城内にあるマルバヤナギの被爆樹木
広島城内にあるマルバヤナギの被爆樹木

5. 歴史を知ると面白い「石垣」

天守台の石垣には、築城当時のものが残されている。
本丸と二の丸を合わせた石垣は、全部で31,781個。
自然の石を組み合わせた「野面積み」を採用し、ノミで削った筋状の跡も見られる。
海岸にあった石を使ったので、付着したカキの貝殻跡がくっきり残っている。
さらに北側にある石垣には、刻印のようなマークも刻まれていた。
これまで214個は確認されているが、誰が何のために刻んだものか不明だ。
福島正則が修復を試みた、崩れかけの石垣もある。

知っていれば見るべきポイントが多い「石垣」
知っていれば見るべきポイントが多い「石垣」

広島城周辺の観光スポット3選

広島城周辺には、歴史や文化を学べるスポットも盛りだくさんだ。
思いがけない新しい出会いと、驚きや感動の発見を期待できる。
「広島城」を見学したあとは、ぜひ魅力あふれる3つのスポットへ立ち寄ってほしい。

1. 縮景園

縮景園は広島藩主浅野長晟 によって、元和6年(1620年)から別邸の庭園として築かれた。昭和20年(1945年),広島に投下された原子爆弾により壊滅的な状態になってしまう。
その後の昭和24年(1949年)から始まった復旧は約30年をかけて完成し、現在に至っている。
園内中央に広がる濯纓池には、長寿を願った「鶴島」「亀島」と呼ばれる島が浮かぶ。池の水は淡水と海水が混ざった「汽水」になっており、海水に棲むボラなどが生息。
それを狙って野鳥も飛来する。
池の周りには茶室や小亭、山、川、島などが巧みに配置されていて、園路によって庭内を回遊することのできる回遊式庭園になっている。

広島の中心部に位置し、年間を通じて美しい景色が広がる庭園
広島の中心部に位置し、年間を通じて美しい景色が広がる庭園

2. 原爆ドーム(平和記念公園)

原爆ドームはもともと、チェコ出身のヤン・レツルの設計により、大正4年(1915年)4月5日に「広島県物産陳列館」として完成。
しかし、原爆投下の際には爆心地から160mの至近距離で被害を受けた。
むき出しになった鉄骨や、ボロボロになった外壁などが、被爆を受けた当時のままで残されており、いつからか「原爆ドーム」と呼ばれるようになった。
悲惨な歴史を現代に伝える貴重な建物である。

日本が被爆した当時の姿を現代に伝える貴重な建物。平和記念公園には平和の鐘が設置されている
日本が被爆した当時の姿を現代に伝える貴重な建物。平和記念公園には平和の鐘が設置されている

3. おりづるタワー

原爆ドームに隣接する複合ビルで、ここでしか出会えない風景や体験が楽しめる広島のランドマークタワー。観光エリアとして、1階の物産館やカフェ、12階の「おりづる広場」と「おりづるの壁」、屋上の展望台「ひろしまの丘」が開放されている。
屋上展望台は、風が吹き抜け、木の温もりが伝わるウッドデッキの気持ちがいいスペース。平和記念公園や原爆ドームはもちろん、晴れた日には宮島の弥山まで見渡せる。

祈りをこめた「おりづるの壁」をみんなで作る、広島らしい体験ができる場所
祈りをこめた「おりづるの壁」をみんなで作る、広島らしい体験ができる場所

広島城に関するよくある質問

Q

広島城は誰が建てた?

A

安芸の国(広島県西部の旧国)を治めた戦国武将、毛利家4代当主の毛利輝元です。

Q

広島城が壊れた原因は?

A

1945年、米軍の原爆投下により倒壊しました。

Q

広島城が建てられた目的を教えて

A

水上交通の良い場所で、商業を盛り上げて町を発展させるためです。

まとめ

この記事では「広島城」の魅力と合わせて、アクセスや見どころ、時間や料金、周辺の観光スポットを紹介してきたが、いかがだったろうか。
歴史的な背景を知れば「広島城」の観光は、さらに楽しくなるので、ぜひこの記事を読み込んで足を運んでほしい。
「広島県」には、他にも見逃せないスポットがいっぱい。
「広島」の魅力的なスポットを知りたいなら、こちらの記事も参考にしてほしい。