
会津若松の歴史文化を満喫できる!鶴ヶ城の観光ガイド
福島県・会津若松市のシンボルである「鶴ヶ城」。
武士が活躍していた時代の姿を再現した天守閣や茶室、様々な遺跡が点在し、会津若松の歴史や文化を体感できるスポットだ。
また、四季折々の自然も美しく、1年を通して多彩な表情を楽しめる。
この記事では、鶴ヶ城の見どころを中心に、その魅力を満喫するために知っておくべき情報を網羅的に紹介する。
鶴ヶ城ってどんなところ?
福島県会津若松市の市街地に位置する鶴ヶ城。
正式名称は「若松城」だが、地元では鶴ヶ城と呼ばれることが多く、会津若松の地にあるため、「会津若松城」と呼ばれることも。
その天守閣の白い漆喰の壁と赤瓦のコントラストは美しく、多くの人を惹きつけている。
天守閣を中心に周辺は鶴ヶ城城址公園として整備されており、桜や紅葉の名所としても知られている。
春には約1,000本の桜が咲き誇り、秋は色鮮やかな紅葉が城を彩る。冬には雪に包まれた幻想的な景色が広がり、季節ごとに異なる魅力を感じられるスポットだ。
また、園内には、茶室「麟閣」やミュージアムショップ、カフェなど、様々な施設も点在。

鶴ヶ城の歴史
鶴ヶ城の起源は、1384年に周辺を治めていた葦名直盛(あしな なおもり)が築いた「東黒川館」にまで遡る。
その後、戦国時代(1467年〜1615年)に勢力争いが繰り広げられ、1590年に会津を治めていた武将・伊達政宗(だて まさむね)が、石垣や堀などを備えた本格的な城郭を築く。1593年には天守閣が完成し、鶴ヶ城と名付けられる。
江戸時代(1603年〜1868年)の末期に起きた「戊辰戦争」では、現在の会津地方を治めていた「会津藩」が旧政府側の中心となって戦った。
8月には会津が戦場となり、鶴ヶ城では1か月にわたる籠城戦が続いた末に降伏。
新政府の方針で石垣を除く建物は取り壊されたが、市民の熱意によって1965年に天守閣が再建。その後、茶室や隅櫓も復元され、天守閣の屋根瓦も当時の赤瓦へと変えられた。
鶴ヶ城へのアクセス
鶴ヶ城の最寄り駅はJR「会津若松駅」。駅から徒歩でもアクセスできるが30分から40分はかかるため、バスでの移動がお勧めだ。
駅前のバス停から「まちなか周遊バス ハイカラさん」に乗り、バス停「鶴ヶ城入口」で下車。バス停からは徒歩5分で到着する。駅から鶴ヶ城までの所要時間は約25分だ。
「まちなか周遊バス ハイカラさん」のレトロな車体も注目のポイント。

鶴ヶ城の入場料と営業時間
鶴ヶ城城址公園の入園は無料だが、天守閣と茶室「麟閣」には以下の入場料がかかる。
- 茶室麟閣共通券
- 520円
- 大人
- 410円
- 子供
- 150円
また、スマートフォンなどで前売りチケットの購入も可能。スムーズに入城したい方にお勧めだ。
天守閣の開館時間と休館日は、以下の表を参考にしてほしい。
- 開館時間
- 8:30〜17:00(最終入場は16:30)
- 休館日
- 無休
鶴ヶ城の四季折々の魅力と見どころ
見どころの多い鶴ヶ城は、季節ごとに異なる表情を見せてくれる。
これから紹介する内容を参考に、その季節ならではの楽しみ方を見つけてみよう。
桜と歴史的建造物が調和した風景が広がる「春の鶴ヶ城」
春には約1,000本のソメイヨシノが咲き誇り、鶴ヶ城は桜の名所としての表情を見せる。
桜越しに望む天守閣はひときわ美しく、日本情緒あふれる光景が広がる。
見頃となる4月中旬から下旬にかけては、「鶴ヶ城さくらまつり」が開催。日没後に東日本最大級のライトアップが実施される。
ライトアップされた廊下橋と桜、照らされた桜が水面に映るお堀など、幻想的な景色が楽しめる。
期間中に実施される多彩なイベントとともに、「日本さくら名所100選」にも選ばれた、美しい桜の景色を堪能しよう。
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桜越しに望む天守閣
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ライトアップされた幻想的な桜並木
会津若松の歴史を感じられるイベントが見どころの「夏の鶴ヶ城」
緑豊かな木々に囲まれた夏の鶴ヶ城では、青空に映える赤瓦がひときわ印象的だ。
日差しが強い時期でも、城鶴ヶ城城址公園の木陰が心地良い涼しさを与えてくれる。
また、毎年9月に開催される「会津まつり」は、タイミングが合えばぜひ参加してほしいイベントだ。
会津最大のお祭りで、3日間にわたって様々な催しが行われる。
最も注目すべきは、最終日に開催される「会津藩公行列」。
江戸時代末期の大名や武士などに扮した人々が、会津若松市内を練り歩き、鶴ヶ城城址公園では出陣式が執り行われる。
鶴ヶ城観光と合わせて、会津若松市の歴史文化をより深く感じられる機会になるだろう。

紅葉で彩られる「秋の鶴ヶ城」
例年10月〜11月には、敷地内の木々が色鮮やかに染まる。
白壁と赤瓦の天守閣、黄金色のイチョウ、真紅のカエデが織りなす美しいコントラストは壮観だ。
紅葉の時期に訪れるなら「北出丸」方面から入城しよう。
北出丸へと続く北出丸大通りには、歴史を感じさせる建物と色づいた木々が並び、日本らしい風情が漂う。
さらに、北出丸から続く道にも紅葉が広がり、秋の鶴ヶ城の魅力を満喫できる。
天守閣や紅葉がライトアップされる日没後に訪れるのもお勧めだ。
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紅葉した木々に囲まれる鶴ヶ城
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ライトアップされた天守閣と紅葉
雪と光の幻想的な景観が魅力の「冬の鶴ヶ城」
冬には、積雪量の多い会津若松にあるお城だからこそ見られる風景が広がる。
雪化粧をまとった鶴ヶ城はまさに絵画のような美しさ。赤瓦に白い雪が積もる姿は、他の城にはない特別な景観を作り出す。
それだけでなく、冬にはさらに幻想的な景観を楽しめる2つのイベントが開催される。
光の杜ミュージアム アイヅテラス
例年2月から3月にかけて開催されるイルミネーションイベント「光の杜ミュージアム アイヅテラス」。
敷地内がイルミネーションで彩られるだけでなく、雪をまとった天守閣がライトアップされる。
他の季節では見られない、イルミネーションと史跡のコラボレーションを楽しもう。

会津絵ろうそくまつり〜ゆきほたる〜
イルミネーションとは異なる、和の趣が漂うイベントが「会津絵ろうそくまつり〜ゆきほたる〜」だ。例年2月下旬に開催される。
期間中は「会津絵ろうそく」が数多く並べられ、雪化粧した鶴ヶ城を優しく照らし出す。
会津絵ろうそくとは、1本1本に牡丹や菊などが鮮やかに描かれた伝統工芸品。職人の手作業によって作られた美しさにも注目してほしい。
鶴ヶ城以外にも市内各所に会津絵ろうそくが設置されるため、会津若松の夜の散策がより一層楽しめるだろう。

絶対に外せない鶴ヶ城の見どころ5選
鶴ヶ城には天守閣だけでなく、周囲の建物や庭園、現代的な演出まで多彩な見どころが揃っている。
ここからは、初めて訪れる人が立ち寄るべき見どころを厳選して紹介しよう。
1. 天守閣(若松城天守閣郷土博物館)
鶴ヶ城だけでなく会津若松のシンボルである天守閣は、五層構造の城郭建築。
現在の建物は1965年に再建されたもので、外観は忠実に再現。
現在の日本で唯一、赤瓦を用いた天守閣は、雪景色や桜とのコントラストも美しく、フォトスポットとしても人気が高い。
内部は歴史博物館となっており、地下の塩蔵から最上階の展望室まで、会津の歴史と文化を五感で楽しめる展示が並ぶ。
各層の概要は以下の表を参考にしてほしい。
- 塩蔵
- 食材を塩漬けにして保存する塩蔵として使用されていた場所で、復興のシンボルである石垣を間近に見られる。
- 1層
- 壁面に描かれたグラフィックや映像などで、鶴ヶ城の美しさを感じられる展示が並ぶ。
- 2層
- 過去にこの地を治めていた領主に関する資料や情報を展示。
- 3層
- 江戸時代の末期に起きた動乱や戊辰戦争の流れを紹介。
- 4層
- 現在の会津の礎を築いた偉人の功績やゆかりの地を紹介。
- 5層
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会津若松の市街地を一望できる展望そう。
スマートフォンで、江戸時代の風景と現在の風景を重ねて見られる。

2. 茶室「麟閣」
鶴ヶ城城址公園の南東に位置する「麟閣(りんかく)」は、千利休(せんの りきゅう)と縁の深い茶室だ。
武将・豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)の怒りにふれ、死を命じられた千利休の子・少庵(しょうあん)をかくまった際に建てたと伝えられている。
風情ある茅葺屋根と、少庵の孫が興した茶道の三千家「表千家」「裏千家」「武者小路千家」の扁額が掲げられているのが特徴だ。
建物を見学できるだけでなく、近くのお茶席で庭園を眺めながらお抹茶を味わえる。
すりおろしたつくね芋に砂糖と米粉を混ぜた生地で、皮むき餡を包んだ薯藷饅頭(じょうよまんじゅう)が添えられるのも嬉しい。
歴史と文化が息づく空間で、茶道の精神を感じてみよう。
- 開園時間
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8:30 〜 17:00
※1. 最終入場16:30
※2. お抹茶のラストオーダー 16:00 - 入場料
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・大人:210円
・子供(小中学生):無料 - 定休日
- 無休

3. デジタルアート「鶴ヶ城 光の歴史絵巻」
鶴ヶ城の干飯櫓・南走長屋・鉄門内では、プロジェクションマップや音声ガイドを中心とする演出や展示が行われている。
特に干飯櫓の壁一面を使った、大迫力のプロジェクションマッピングショーは必見。
幻想的な映像を見ながら、鶴ヶ城の歴史を楽しく学べる。
その他にも、鉄砲や矢を放つための「鉄砲狭間」の使い方を伝える展示や、歴代の城主の家紋が入った行燈、城主を務めた名将の歴史を描いたVR体感ショーなど、見どころが盛りだくさん。鶴ヶ城の歴史や紡いできた想いを体験してみよう。

4. 南走長屋・干飯櫓(ほしいやぐら)
城郭の中心である本丸と繋がる「南走長屋」、そこから繋がる「干飯櫓(ほしいやぐら)」。
南走長屋は武器庫、干飯櫓は炊いたお米を乾燥させた保存食の保管庫として使用されたと考えられている建物だ。どちらも2001年に復元された。
詳細な図面は残っていなかったが、発掘調査をもとに外観・内部・部屋割りを忠実に再現。
当時はどのような機能を持ち、どのように使われていたイメージできる資料が展示されている。

5. 武者走り
太鼓門の裏にある、全国的にも珍しいV字型に並んだ2つの階段が「武者走り」だ。
通路の邪魔にならないよう、石垣と並行に配置されており、戦や訓練の際は兵士たちがこの階段を昇り降りしていた。
武者走りの奥にある石垣には、ハート型の大きな石と小さな石が積まれており、石を背景に写真を撮るカップルも多い。
武者走りを訪れた際は、ハート型の石も探してみよう。


オリジナルメニューも楽しめる「鶴ヶ城喫茶」
観光の合間にひと息つきたい時は、天守閣の北西にある「鶴ヶ城喫茶」へ立ち寄ってみよう。
テイクアウト専門だが、お店の近くにある椅子に座って一休みできる。
人気メニューは、シャチホコ型の生地が特徴の「シャチホコ焼き」と、プレミアム特濃抹茶ソフト、抹茶まんじゅうを揚げた「抹茶天ぷら饅頭」だ。
いずれも鶴ヶ城喫茶のオリジナルメニューなので、ぜひ味わってみてほしい。
ドリンクメニューも充実しており、コーヒーやココア、会津産のリンゴを使用した「りんごジュース」など、好みに合わせて選べる。

お土産を購入するなら「鶴ヶ城天守閣ミュージアムショップ」へ
天守閣内にある「鶴ヶ城天守閣ミュージアムショップ」では、鶴ヶ城限定の商品や会津の民工芸品など、お土産にピッタリなアイテムを多数取り揃えている。
鶴ヶ城の天守閣が描かれたトートバッグやマグネットなど、訪れた記念となるアイテムが充実。会津絵ろうそくや会津塗など、職人の技が光る品も見逃せない。
城主の家紋など、お城にゆかりのある印を押してもらえる「御城印帳」も販売している。
入場無料なので、旅の思い出に鶴ヶ城ならではの品を探してみてほしい。

旅の記念に「御城印」を購入してみよう
お城に訪れた記念として人気の「御城印」は、鶴ヶ城観光案内所で販売されている。
鶴ヶ城の御城印には、紙の中央に「鶴ヶ城」と書かれ、周囲に歴代城主の家紋があしらわれたものや、天守閣の印が押されたものなど、季節や期間限定のものなど、様々な種類が揃っている。
鶴ヶ城天守閣ミュージアムショップで購入した御城印帳に押してもらおう。

鶴ヶ城のよくある質問
Q
鶴ヶ城と若松城、会津若松城って同じお城?
全て同じお城を指しています。正式名称は「若松城」で、通称が「鶴ヶ城」と「会津若松城」となります。
Q
鶴ヶ城の桜の見頃っていつ?
例年4月中旬から下旬です。
Q
積雪した鶴ヶ城を見られるのはいつ?
例年12月下旬から2月は雪が降るため、雪化粧した鶴ヶ城を見られる可能性が高いです。特に1月中旬〜2月初旬は積雪量が安定しているため、雪景色が見やすい時期となります。
まとめ
鶴ヶ城の見どころをはじめ、季節ごとの魅力など、その魅力を存分に味わうための情報を紹介してきた。
会津若松の歴史や文化が詰まったスポットなので、ぜひ足を運んでみてほしい。
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