山口県屈指の歴史スポット!瑠璃光寺の観光ガイド

山口県屈指の歴史スポット!瑠璃光寺の観光ガイド

更新 :
筆者 : GOOD LUCK TRIP

山口県屈指の観光スポットである「瑠璃光寺」。
国宝の五重塔をはじめとする歴史ある建造物と、四季折々の自然景観が楽しめる境内で趣深い風景を楽しもう。
この記事では「瑠璃光寺」を満喫するために、知っておくべき歴史と境内の見どころを紹介しよう。

瑠璃光寺ってどんなところ?

山口県山口市にある寺院、曹洞宗保寧山「瑠璃光寺」。
本尊は「薬師如来」であり、心身の健康を保つご利益がある。
国宝であり日本三名塔のひとつでもある「瑠璃光寺五重塔」と共に、山口県屈指の観光スポットとなっている。
境内は「香山公園」と呼ばれ、歴史的建造物が点在しているだけでなく、梅や桜、つづじ、紫陽花の名所だ。
江戸時代末期から明治時代にかけて起こった近代化革命である、明治維新ゆかりの地でもある。
幕末の藩士(藩に所属する武士)たちが、密談を重ねた「枕流亭」や茶室「露山堂」などの史跡も見どころのひとつだ。
「瑠璃光寺」に参拝するだけでなく、歴史の流れを感じながら、ゆったりとした境内を散策しよう。

瑠璃光寺の成り立ちと歴史

室町時代の武士・大内義弘(おおうち よしひろ)が、現在の「香山公園」に「香積寺」を建立。
大内義弘は1399年に応永の乱を起こし、足利義満(あしかが よしみつ)に敗れ戦死。
弟の大内盛見(おおうち もりあきら)は兄の菩提を弔うため、「香積寺」に五重塔を造営。
その造営中に九州の少弐氏(しょうにし)と戦って戦死するも、1442年頃に五重塔は完成した。
江戸幕府成立後、武将・毛利輝元(もうり てるもと)が、「香積寺」を山口県萩市に移す。
その跡地に「仁保瑠璃光寺」を移転し、現在の「瑠璃光寺」に。
移転に伴い、五重塔は「瑠璃光寺五重塔」と呼ばれるようになった。
「瑠璃光寺」の前身である「仁保瑠璃光寺」とは、室町時代の武将・陶 弘房(すえ ひろふさ)の死後、妻が夫を弔うために1471年建立したお寺だ。
移転前は、現在の山口市仁保高野にあった。

境内にも見どころが多い「瑠璃光寺」
境内にも見どころが多い「瑠璃光寺」

瑠璃光寺へのアクセス

山口観光で利用することが多い、JR山口駅から「香山公園」までのアクセスを紹介しよう。
JR山口駅からは、山口市コミュニティバス「香山公園五重塔前行き」を利用すれば、約15分で移動できる。
バス停「香山公園五重塔前」で下車し徒歩1分以内で、「瑠璃光寺」の境内である「香山公園」に到着する。

瑠璃光寺(香山公園)の営業時間と入場料

「瑠璃光寺」がある「香山公園」の入場料は無料。
「瑠璃光寺資料館」のみ有料で、大人200円・中高生100円・小学生50円。
開館時間は9:00〜17:00、年中無休でいつでも入園できるため、好きなタイミングで観光できる。

瑠璃光寺のお勧め観光シーズンは?

歴史的建造物と梅のコラボレーションが見応えのある、春がお勧めのシーズンだ。
2月上旬〜3月上旬にかけて、早春の訪れを感じる約40本の梅が咲き誇る。
続いて3月下旬〜4月上旬には、桜の見頃となる。
約170本のソメイヨシノが満開になり、「瑠璃光寺五重塔」と桜が幻想的な空間を作り出す。
シーズン中にはライトアップも行われるため、夜桜と「瑠璃光寺五重塔」も必見。

梅と国宝が作り出す風情ある空間
梅と国宝が作り出す風情ある空間
瑠璃光寺五重塔と桜の幻想的な風景
瑠璃光寺五重塔と桜の幻想的な風景

瑠璃光寺と合わせて巡りたい香山公園の見どころ5選

「瑠璃光寺」の境内は「香山公園」となっており、国宝の五重塔以外にも歴史的価値が高い建造物が多い。
「瑠璃光寺」にせっかく訪れるなら、「香山公園」の見どころも満喫しよう。

1. 室町時代で最も美しいと評された「瑠璃光寺五重塔」

奈良県「法隆寺」や京都府「醍醐寺」の五重塔と並ぶ、日本の三名塔の1つ。
室町時代中期で最も優れた建造物と評価されて、国宝に指定された。
高さは31.2mで、日本の伝統的な手法で作られている。
シャープな印象と安定感を両立させた姿が印象的だ。
室町時代の建造物としては装飾が少ないことも、特徴のひとつである。
裏山と五重塔が目の前の池に映し出される風景が美しく、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の景色を楽しめる。
応永の乱で戦死した大内義弘の菩提を弔うために、弟の大内盛見が建立した「香積寺」と共に「瑠璃光寺五重塔」は建てられた。
「香積寺」が別の場所に移転するも「五重塔」は残り、「瑠璃光寺」が移転してきたことで名称が現在の「瑠璃光寺五重塔」となった。
五重塔とは釈迦の遺体や遺骨を安置した、仏教建築で死者を弔うために建てられた塔のことだ。

雪化粧した美しい「瑠璃光寺五重塔」
雪化粧した美しい「瑠璃光寺五重塔」

2. 五重塔に関する展示が満載!瑠璃光寺資料館

国宝「瑠璃光寺五重塔」に関する資料や、骨組みを紹介する15分の1の模型展示だけでなく、全国の五重塔の模型も展示されている「瑠璃光寺資料館」。
室町時代に活躍した水墨画家「雪舟」の描いた、瑠璃光寺開山から三世までの肖像画も見どころのひとつ。
日本の五重塔に関する資料が多く展示されているため、日本の建築に興味がある方はぜひ訪れてほしい。

五重塔の骨組みを紹介する模型なども展示されている「瑠璃光寺資料館」
五重塔の骨組みを紹介する模型なども展示されている「瑠璃光寺資料館」

3. 明治維新とゆかりのある建物「枕流亭」

落ち着いた佇まいを感じさせる「枕流亭」。
長州藩(現在の山口県)の領主・毛利氏が、領国と江戸(現在の東京)とを1年おきに往復する「参勤交代」の際に、本陣として使用した豪商の離れ。
市内を流れる「一の坂川」のほとりにあったため、「枕流亭」と呼ばれた。
江戸時代末期に薩摩藩(現在の鹿児島県)と長州藩が、江戸幕府を倒すための連合軍の結成(薩長同盟)を誓い、密議がなされた建物。明治維新が始まった場所と言っても過言ではない。
「枕流亭」内部では、薩長同盟に関する人物のパネル展示や、会談を行った座敷などを見学できる。

日本の近代革命の始まりとも言える密議が行われた建物
日本の近代革命の始まりとも言える密議が行われた建物

4. 密談の場となっていた茶室「露山堂」

1863年に長州藩の領主・毛利敬親(もうり たかちか)が建てた茶屋。
「一露山」という山の麓に茶室を設けたことから、一露山の一の字を省いて「露山堂」と名付けた。
毛利敬親が茶の湯を楽しむふりをして、幕府に対する謀り事の議論を重ねていた建物。
藩が廃止された後「露山堂」は廃屋となったが、毛利敬親の側近・品川弥二郎が有志とともに購入。「瑠璃光寺」の境内に移築した。
「露山堂」には日本庭園もあり、苔むして幽玄さ漂う美しさがある。

茶事を建前に家来らと討幕の密談をしていた「露山堂」
茶事を建前に家来らと討幕の密談をしていた「露山堂」

5. 不思議な体験ができる「うぐいす張りの石畳」

「香山公園」にある「領主・毛利家墓所」の前には、「うぐいす張りの石畳」と呼ばれる不思議な場所がある。
「毛利家墓所」参道の石畳で、手を叩いたり足踏みをすると、うぐいすの鳴き声のような美しい音が響きわたる。
人為的に作られたのではないことも面白いポイントだ。

参拝者には人気のスポットとなっている「うぐいす張りの石畳」
参拝者には人気のスポットとなっている「うぐいす張りの石畳」

歴史と文化を楽しめる山口の観光スポット3選

「瑠璃光寺」以外にも、山口には歴史や文化を楽しめるスポットが点在している。
「瑠璃光寺」を満喫したら、ぜひ魅力ある3つのスポットへ立ち寄ってほしい。

1. 常栄寺雪舟庭

室町時代に活躍した水墨画家であり禅僧である「雪舟」。大内氏の庇護のもと周防に移り明(中国)に渡り水墨画を学び、画聖と称せられるほどに。「天橋立図」や「四季山水図(山水長巻)」など、現存する作品のうち6点が国宝に指定されるなど、日本の絵画史において別格の評価を受けている。
この常栄寺雪舟庭は、室町時代中頃、大内政弘が別荘として雪舟に命じて築園したといわれている庭園。常栄寺の本堂の北にあり、三方を山に囲まれた奥行きのある地形を生かした池泉回遊式だ。

画聖雪舟が作庭したと言われている庭園
画聖雪舟が作庭したと言われている庭園

2. 毛利氏庭園・毛利博物館

中国地方を支配した戦国大名として名を馳せ、明治維新後に公爵となった旧長州藩主、毛利宗家の旧本邸。
書院造の壮大な館と回遊式庭園(大きな池を中心にその周囲を巡る園路を設け作庭する)には、明治・大正時代の造園技術の粋が尽くされ、国の名勝に指定されている。
当時にしてはめずらしく発電設備や上水設備、水洗トイレ、井戸水を利用した冷蔵庫など、当時の最先端の設備を整えていたという。
現在は邸宅の一部が毛利博物館となっており、古文書、甲冑、刀剣、茶道具、漆器などの美術工芸品や絵画などを所蔵。

旧大名家本邸の風格を感じられる国指定名勝
旧大名家本邸の風格を感じられる国指定名勝

3. 防府天満宮

延喜4(904)年創建。学問の神様としてあがめられている菅原道真公を祀った日本で最初の天満宮。
菅原道真公を祀った神社は全国に約1万2000社あるが、当宮創建をもって日本で最初の天神様と称しており、京都の北野天満宮、福岡の太宰府天満宮とともに日本の三天神といわれている。
合格祈願や学業成就をはじめ、家内安全、健康長寿、商売繁盛などさまざまなご利益があり、連日多くの参拝客で賑わう。

日本で最初に創建された天神様
日本で最初に創建された天神様

瑠璃光寺に関するよくある質問

Q

瑠璃光寺の梅と桜の見頃は?

A

梅は2月初旬〜3月初旬。桜の見頃は3月下旬〜4月上旬です。

Q

香山公園の瑠璃光寺以外の見どころは?

A

国宝の瑠璃光寺五重塔のほか、明治維新ゆかりの場所である露山堂、枕流亭などの史跡が見どころです。

まとめ

国宝である五重塔と自然が織りなす四季折々の景観美が、山口観光のシンボルともなっている「瑠璃光寺」。
今回紹介してきた見どころを参考に、ぜひ「瑠璃光寺」の観光を楽しんでほしい。
瑠璃光寺以外にも山口県には、魅力あるスポットが盛りだくさん。
山口を観光するなら、観光スポットを厳選して紹介している、こちらの記事も読んでほしい。