【神話の地・出雲モデルコース】出雲の旅といえば、日本の神話と歴史の魅力を120%体感するに限る
毎年旧暦の10月(2023年は11月13日~12月12日)に、島根県出雲市の出雲大社に全国各地の神々が集うことをご存知でしょうか? この時期は一般的に「神無月」として知られていますが、出雲では「神在月」と呼びさまざまな神事が執り行われています。
そんな神秘的な地域には、数多くの神話にちなんだスポットが残っていて、今なお伝統的な歴史や文化、日本の原風景にふれることができます。
さらにはここでしか味わえない、島根が誇るグルメもお待ちかね。今回ご紹介する1泊2日のモデルコースでその魅力を実感してみませんか?
出雲へのアクセスは?
各地域の空港と直行便で結ばれている「出雲縁結び空港」は、宍道湖の西端に位置していて、今回のモデルコースで1日目に訪れる出雲大社へもほど近い距離です。空港から出雲大社へは、リムジンバスも出ていてスムーズな移動が可能です。
大阪駅からは新大阪駅で山陽新幹線に乗り換えて岡山駅へ。広島駅からも同様に山陽新幹線で岡山駅に向かい、そこからは特急やくも出雲行きで島根県を目指しましょう。
Day1
12:40 多彩なお土産店や飲食店が並ぶ「神門通り」へ
今回の旅は、ゆったりお昼すぎに出雲入り。
JR出雲市駅から一畑電車に乗車、出雲大社前駅に到着。駅の目の前から出雲大社のへ向かう表参道「神門通り」へ向かいます。
およそ60軒ものお土産店や飲食店などさまざまなジャンルのお店が立ち並んでいるので、ご当地感あふれる食べ歩きグルメも満喫しつつ、ご参拝前のおだやかな時間を過ごしましょう。
「神門通りおもてなしステーション」で観光情報をキャッチ
「神門通り」には、観光案内所としての役割をもつ「神門通りおもてなしステーション」が年中無休で営業中。こちらでは出雲大社周辺のナビゲートマップから各種パンフレットまで、島根観光に欠かせない資料を無料配布中。ぜひ手にとって、スマホの検索だけでは得られないコアな情報をキャッチしましょう。さらに1日2回(10時、13時発)、ボランティアガイドによる出雲大社ご参拝定時ガイドも実施中(所要時間90分、土・日・祝、1人800円)。事前予約不要で気軽に参加することが可能です。
13:00 歴史ある割烹「看雲楼」で古代出雲の味を堪能
昼食はこの地域でも歴史を誇る、割烹「看雲楼」で出雲ならではの郷土料理をご賞味あれ。
同店は明治15年(1882)創業、結婚披露宴や結婚式後の会食にも活用されるなど、地元の人からも親しまれています。古くは出雲大社の御用商人として、皇族に料理を献上したこともあるという由緒正しい老舗で、ぜひオーダーしたいのが「うず煮」です。
フグからとった上品な和風あんが美味しさの決め手
「うず煮」とは、島根県で水揚げされたフグからとったダシがベースの和風あんに具材を合わせ、ご飯をうずめるようにして味わうことからこの名前がついたという逸品。現在でも出雲大社の神楽殿で営まれる福神祭でふるまわれるおもてなし料理で、奈良時代の文献にも記載があるほど。出雲の長い歴史を感じさせてくれる美味しさに心も穏やかになること間違いなし。
14:00 ご参拝の前に「島根県立古代出雲歴史博物館」へ
お腹がいっぱいになったら出雲大社へ。
と、その前に「島根県立古代出雲歴史博物館」に立ち寄って、出雲大社をはじめ出雲の歴史、神話について学びます。
青銅器と200本以上の銅剣の復元模型は圧巻
テーマ別展示室は『出雲大社と神々の国のまつり』『出雲国風土記の世界』『青銅器と金色の大刀』という3つのテーマに分類されていて、幻の巨大神殿の様子や当時の文化について、貴重な資料をもとに解説。特に、出雲市の遺跡で発掘された青銅器と、200本以上の銅剣の復元模型の迫力には誰もが圧倒されるはず。
15:30 良縁を招くパワースポット「出雲大社」
「島根県立古代出雲歴史博物館」を後にして、いよいよ出雲大社にご参拝します。
日本最古の歴史書「古事記」にも記されている縁結びの神様・大国主命を御祭神として祀っています。手を合わせれば、良縁を招くパワースポットであるのはもちろんのこと、境内には4つの鳥居、美しい松の参道、日本一と言われる大きな国旗など見どころもたくさん揃っています。
また、隣接する神楽殿の長さ13m、重さ5.2トンの日本最大級の大きさを誇る大しめ縄も有名です。
16:30 出雲大社正門前の「ご縁横丁」でしっぽりとチルタイム
出雲大社でご利益を授かったら、出雲大社正門前の商業施設「ご縁横丁」を訪ねましょう。施設内には、出雲そばの人気店や手づくり漬物専門店、メイドイン出雲のクラフトビールを扱うブルワリーなどが営業中。
また恋愛・結婚・相性の運勢を鑑定する占いコーナー、一攫千金の運試しができる宝くじ売り場も併設しています。さらに、ここでしか買えない限定のお土産もチェック!
17:00 日本神話の舞台となった「稲佐の浜」で夕日観賞
「ご縁横丁」からテクテク歩いて15分ほど進むと、目の前に広がっているのが大スケールの砂浜海岸。ここは代表的な日本神話のひとつである「国譲り神話」の舞台となった「稲佐の浜」です。
日本海を望む、白砂青松の美しい景観は日本の渚100選に選定されており、国内のみならず、海外からも多くの観光客が訪れます。周囲が白み始める時間帯は特に幻想的で、海面が夕日で赤く染まるシーンは島根県イチの絶景といえるでしょう。
18:00 重厚感と格調の高さが漂う「いにしえの宿佳雲」で宿泊
思い出に残る景色を堪能した後は、今宵の宿泊場所である「いにしえの宿佳雲」に向かいます。
玄関で出雲神楽面が出迎え、各所にヤマタノオロチの神話のストーリーに沿ったデザインが施されているのが特徴の高級宿は、重厚感と格調の高さをいたるところで感じることができます。
客室は自然美を生かした和のしつらえ。客室は全室専用風呂(数室、天然温泉露天風呂付の客室もあり)が付いているのも嬉しいですね。
食事は地元のブランド食材・島根和牛や、出雲の蔵元から届いた日本酒が味わえる会席料理。ちなみに宿から出雲大社までは徒歩8分ほど。翌朝は少し早起きして神秘的な空気の中で、出雲大社をご参拝するのもおすすめです。
Day2
9:00 宿を出発して「出雲文化伝承館」へ
朝食を済ませて、2日目に最初に訪れる「出雲文化伝承館」へ向かいます。出雲大社前駅から一畑電車で浜山公園北口駅へ。浜山公園北口からは徒歩で20分ほどのところに立地しています。
出雲地方特有の築地松(ついじまつ)に囲まれた広々とした敷地内には、かつての豪農・江角家の母屋や出雲流庭園などが移築されており、入館料無料で散策することができます。
心を魅了する枯山水の出雲流庭園を鑑賞
江角家の母屋は、明治29年(1896)に建てられた風格漂うお屋敷。中に入ると広い土間、ケヤキの大国柱、黒松の梁組が出迎えてくれます。
間取りは、伝統的な日本建築のお手本ともいえる三間造りで、書院からは枯山水の出雲流庭園を鑑賞することができます。黒松、モッコク、ヒバ、モチなどの木々が植栽され、巨大な飛び石や短冊石を配したレイアウトは典型的な出雲様式。美しい木々の緑が訪れた人びとの心まで魅了します。
全国でも珍しい千利休ゆかりの茶室
庭園の次は、歴史ある「独楽庵」も見学しましょう。茶の湯の開祖である千利休ゆかりの茶室が完全復元されています。大名茶人として知られる松江藩七代藩主・松平治郷(不昧公)によって伝えられた名席です。“三関三露”という露地庭を配した全国でも珍しい構造が目をひきます。
10:00 日本屈指の品質を誇る「島根ワイナリー」
タクシーで移動すること約5分、続いて向かったのは「島根ワイナリー」です。こちらの歴史は、昭和34年(1959)にデラウェア100%でのワイン醸造から始まりました。島根の風土から最高のワインを目指すことをモットーに掲げ、醸造のみならずブドウ栽培の工程から手がける日本屈指の品質を誇るワイナリーです。
ワイン8種類に加えて、ぶどうジュースも飲み比べ!
ワイナリーでは、ワインが仕上がるまでの流れを理解できる工場の見学ができます。さらに即売館ではお楽しみの試飲がお待ちかね。ワイン8種類に加えて、ぶどうジュースも飲み比べするこが可能で、島根ワインならではの芳醇な味と香りを堪能しましょう。ワインのほかにも島根の特産品販売コーナーや、しまね和牛のBBQを提供するレストランも評判。
12:00 木綿の集積地として栄えた「木綿街道」を散策
お気に入りのワインを購入した後は、タクシーで約25分のところにある「木綿街道」にも立ち寄りましょう。かつては木綿の集積地として栄えたことから、この名前がついた一画には往時の様子をうかがわせる街並みが残っています。
歴史情緒あふれる雰囲気はまるでタイムスリップしたかのよう
江戸時代末期から明治時代にかけて建てられた、切妻妻入塗壁造と呼ばれる建築様式の家屋が軒を連ねており、その歴史情緒あふれる雰囲気はまるでタイムスリップしたかのよう。今なお醤油蔵や酒蔵、生姜糖の老舗は営業中で、見どころはたくさんあります。ちなみに街道の入り口付近に立つ旧長崎医家を復元した「木綿街道交流館」では、周辺の観光情報が得られるほか、散策に便利なマップや探訪帖を配布中。また「酒蔵見学と利き酒」など、14種類の体験ツアーの紹介もあり。
13:30 神々が最後にお立ち寄りになる「万九千神社」
今回の出雲旅モデルコースの最後に訪れるのは「万九千神社」です。神在月に、全国からお集まりになった神々が最後にお立ち寄りになるとのいわれが残る古社は、天下泰平・五穀豊穣・諸産業繁栄・病気平癒・旅行安全・諸願成就といった御神徳をいただける霊験あらたかなスポット。
境内には凛とした神殿と、三柱の神を祀る「立虫神社」の本殿が立つ
国造りに尽力されたといわれている少彦名命(すくなひこなのみこと)など四柱の御祭神が祀られています。本殿はありませんが、御神木の神籬(ひもろぎ)と磐境(いわさか)を守るように神殿が佇んでいます。また境内には「万九千神社」とは別に、1670年に遷された「立虫神社」の本殿が立ち、参拝者らを出迎えます。古事記や日本書紀にも登場する三柱の御祭神が祀られており、それぞれ木材・植林・建築などを司ったことから、現在もなお付近の土木・建築関係者らの守り神として親しまれています。
まとめ
出雲大社での良縁祈願をメインに、古代出雲の味を堪能し、日本神話にちなんだスポットを訪れる1泊2日の旅はいかがでしたか?
ほかにも100%島根ブランドのワインに触れてみたり、歴史情緒あふれる雰囲気の街並みを散策したり。島根県ならではの縁結びの旅の魅力をぜひ楽しんでみてくださいね。