歴史の深さと自然の美しさを感じられる平安神宮の観光ガイド
色鮮やかな朱色の建物が美しい「平安神宮」。
神社仏閣が多い京都の中でも、特に訪れておきたい観光スポットのひとつだ。
重要文化財に指定される歴史的建造物だけでなく、四季折々の魅力を持つ日本庭園もあり、見どころが多い。
この記事では、そんな「平安神宮」の基本情報や見どころなどを詳しく紹介していく。
周辺の観光スポットとグルメも紹介するので、「平安神宮」を観光する際の参考にしてほしい。
平安神宮ってどんなところ?
「平安神宮」は、京都市の東北部に位置する左京区にある。
桓武天皇(かんむてんのう)と孝明天皇(こうめいてんのう)を主祭神として祀っている「平安神宮」では様々なご利益があるが、中でも縁結びのパワースポットとして知られている。
縁結びのご利益を求めて訪れる参拝客は、国内外を通して後を絶たない。
そんな「平安神宮」には歴史的に重要な建造物がいくつもあり、「大極殿」を筆頭に国に指定された重要文化財も数多く存在する。
ここを訪れるだけで、歴史の息吹や風情を肌で感じられるだろう。
明治時代の代表的な日本庭園である「平安神宮神苑」は、造園技法の高さから国の名勝に指定されている。
100年以上守られ続けてきた庭園と自然の美しさを感じられる点も、「平安神宮」の魅力のひとつと言える。
毎年10月に「平安神宮」で開催される時代祭は、「葵祭」や「祇園祭」と並ぶ「京都三大祭り」のひとつであり、大きな賑わいを見せる。
2,000人ほどの市民が歴史上の人物に扮して、京都市街を練り歩く様子が見どころだ。
平安神宮の成り立ち
「平安神宮」は平安遷都1,100年を記念して、1895年に創建された神社で京都の神社仏閣の中でも新しい部類に入る。
「広隆寺」など古くからの歴史を持つ建築物が多い京都において、特筆すべき点と言える。
明治維新によって首都が東京に移ったこともあり、当時の「京都」は衰退していた。
そんな京都を復興させようとする、町おこし事業の集大成こそが「平安神宮」の創建であり、そこには市民の願いが込められている。
平安神宮へのアクセス
京都の玄関口であり、観光の活動拠点となる「JR京都駅」を起点に「平安神宮」へのアクセスを紹介しよう。
- 経路
-
1. JR「京都駅」で市バスに乗車し、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」で下車
2. 北へ歩いて5分 - 所要時間
- 約30分
平安神宮の参拝時間と入場料
「平安神宮」の参拝時間と入場料は、下記の表を参考にしてほしい。
参拝時間は時期によって異なるため、詳しくは公式サイトを確認しよう。
- 参拝時間
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6:00~17:00
(時期により17:30〜18:00に延長) - 入場料
- 無料
平安神宮神苑の拝観時間と拝観料
境内の「平安神宮神苑」は拝観時間と拝観料は、「平安神宮」自体の開場時間と入場料と異なるため、注意してほしい。
- 拝観時間
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・3月1日~3月14日 8:30~17:30(入苑は17:00まで)
・3月15日~9月30日 8:30~18:00(入苑は17:30まで)
・10月1日~10月31日 8:30~17:30(入苑は17:00まで)
・11月1日~2月末日 8:30~17:00(入苑は16:30まで) - 拝観料
-
・大人:600円
・子供:300円
平安神宮のお勧め観光シーズンは?
「平安神宮」を観光するなら、お勧めのシーズンは春と秋。
桜の名所であると同時に、紅葉の名所でもあるからだ。
もし観光する時期を調整できるのなら、ぜひ春か秋に訪れてほしい。
境内に咲き誇るシダレザクラは必見!春の平安神宮
春の観光をお勧めする理由は、「平安神宮」が桜の名所だからだ。
見頃は4月上旬から中旬となる。
見頃を迎えた境内ではいたる所で美しい桜が咲き誇り、その美しい景色には言葉を失うほど。
境内には300本の桜が植えられており、谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)の小説「細雪」にも登場する、ベニシダレザクラは必見だ。
夜には桜がライトアップされ、幻想的な世界と情景を堪能できる。
紅葉と幻想的な空間を楽しめる秋の平安神宮
「平安神宮」は桜と並んで紅葉の名所でもある。
「平安神宮」の紅葉の見頃は11月上旬から中旬なので、紅葉が見たい方はこの時期に訪れてほしい。
紅葉の見頃を迎えた境内では、赤やオレンジの燃えるような紅葉と朱色の歴史的建造物の共演が楽しめる。
11月下旬から12月中旬まで行われる、ライトアップイベント「NAKEDヨルモウデ」が開催されることも、秋の観光をお勧めする理由のひとつだ。
提灯を持ちながら光と音で演出された、幻想的な境内を散策できるイベントにもぜひ参加してみてほしい。
歴史の深さと情緒を感じよう!平安神宮の見どころ5選
「平安神宮」には荘厳な建築物が多く、ほとんどは重要文化財に指定されている。
境内を散策すれば視覚的に楽しめるだけでなく、歴史の深さや情緒を感じられるはずだ。
「平安神宮」には数多くの見どころがあり、どこを巡るべきか迷ってしまうことも少なくない。
そこで、「平安神宮」を観光するなら外せない見どころを厳選して紹介する。
1. 四季折々の魅力を持つ日本庭園「平安神宮神苑」
「平安神宮神苑」は明治時代を代表する日本庭園で、国の名勝にも指定されている。
東・西・中・南の4つの庭からなり、社殿を取り囲むような形で造られているのが特徴だ。
四季折々で異なる表情を見せる「平安神宮神苑」は、何度見ても飽きない魅力があり、100年以上守られてきた歴史と今を生きる自然の優美さが感じられる。
「西神苑」の見どころは200種を超える数多くの植物で、特に睡蓮は必見だ。
「中神苑」は「蒼龍池」を中心にした庭園であり、「臥龍橋」(がりゅうきょう)と呼ばれる飛び石がある。
「東神苑」には「栖鳳池」(せいほういけ)という「平安神宮神苑」の中で最も大きな池があり、その周辺から眺める景色には心を落ち着かせてくれる魅力がある。
2. 平安神宮のシンボル「大鳥居」
「大鳥居」は1928年に昭和天皇の御大典(天皇が即位する際の儀式)が、京都で行われたことを記念して建造された。
その大きさは高さ24m・幅18mもあり、建造当時は日本最大であった。
存在感ある佇まいと美しい朱色が魅力的で、「平安神宮」のシンボルとも言える。
「大鳥居」は「京都」でも人気のフォトスポットとして、多くの観光客に親しまれている。
3. 荘厳さと美しさを併せ持つ「大極殿」
「平安神宮」の社殿は「平安京」の正庁(正面の大広間)だった、「朝堂院」(ちょうどういん)を8分の5のサイズで再現した建物だ。
「大極殿」は1895年の創建当時に建てられたもので、「外拝殿」としての役割を持つ。
言わば、参拝客が参拝する場所にあたる。
「大極殿」の奥にある「本殿」には、桓武天皇と孝明天皇を祀っており、良縁を結ぶご利益があるとされる。
鮮やかな朱色で塗られた柱と碧瓦(へきがわら)の緑が美しく、圧倒されるような荘厳さが大きな魅力であり見どころだ。
「大極殿」を含む6棟の建築物が、2010年に重要文化財に指定されていることも知っておきたい。
4. 京都三大祭りのひとつ「時代祭」
祇園祭、葵祭と並ぶ京都三大祭のひとつで、毎年10月22日に行われる平安神宮の大祭。
1895年に行われた平安遷都1100年紀念祭の奉祝を発祥とし、平安京が造営された延暦時代から明治維新時代までの約1000年間を、時代を遡りながら紹介する時代風俗行列が一番の見どころだ。
明治維新の立役者である桂小五郎や西郷隆盛、戦国武将の織田信長など誰もが知る歴史上の人物が次々と登場。約2000人の市民が参加し、2時間をかけて練り歩く。
5. 平安時代へと遡る美しい入口「應天門」
「平安京」の「應天門」を模した様式で建造され、朱色で色付けされた2層の楼門と碧瓦が印象的だ。
「應天門」をくぐると「平安神宮」の境内となるため、玄関口としての役割を担っている。
「大極殿」などと同じく国の重要文化財に指定されている、貴重な建築物のひとつだ。
「應天門」を通り抜けると、過去の時代に足を踏み入れるような不思議な感覚になるはずだ。
平安神宮周辺で人気のグルメスポット3選
「平安神宮」周辺では「京都」の食材や特有の調理法を使用した、いわゆる京料理が楽しめる。特に絶品なのは京野菜を使ったグルメだ。
「平安神宮」を満喫したら、ぜひ訪れてほしい飲食店を厳選して紹介しよう。
1. 京料理六盛
創業1899年と120年以上の歴史を誇り、現在は岡崎の平安神宮に近い琵琶湖疎水沿いに店を構える京料理の名店。
店の代名詞ともいえるのが、人間国宝の中川清司氏の手による美しい手桶に彩り豊かな料理が盛り込まれた「手をけ弁当」。
四季折々の食材が使われており、京料理の魅力が詰まった目でも楽しめる一品になっている。
過去の文献を参考に平安貴族の食事を再現し、現代風にアレンジを加えた「創作平安王朝料理」にも注目。
2. 天ぷら圓堂岡ざき邸
平安神宮からもほど近く、京都らしさを存分に感じさせる岡崎の疎水沿いにある天ぷらの店。
八坂に本店を構える人気店で、こちらの「岡ざき邸」は2016年にオープン。
京野菜や山菜を筆頭に、瀬戸内海や若狭湾から直送された新鮮な魚介類、清流で育った川魚など、京都ならではの四季折々の食材を贅沢に使用。
上質な綿の実を絞った最高級の綿実油でカラリと揚げた天ぷらは、衣も薄く実に軽やかな仕上がり。
3. 京都モダンテラス
1960年に建造された京都会館に大規模な改修工事を実施し、2015年にオープンした「ロームシアター京都」。
2階部分にある「京都モダンテラス」はモダニズム建築の特徴を受け継いだ空間が自慢のカフェ&レストラン。
ランチ、ディナーには1日に必要な野菜の1/2を取れる「12品目の野菜のスパゲッティー」のほか、グリル料理やサラダなど旬の野菜をふんだんに使った多彩なメニューを提供。
平安神宮の周辺観光スポット5選
「平安神宮」の周辺には、歴史や京都の文化を楽しめるスポットやレジャースポットなど、魅力的な観光スポットが多い。
「平安神宮」と合わせて観光するとより楽しめるので、これから紹介する観光スポットにも足を運んでみよう。
1. 南禅寺
13世紀後半、2度のモンゴル(元)の襲来をはねのけた亀山上皇が法皇となり、禅寺としては日本初の勅願寺としたのが元となっている。規庵祖円によっておもな伽藍が建てられたあと、元の使者として日本に派遣された高僧、一山一寧が後を継いだ。
現在残る建物の多くは江戸時代以降に建てられたもの。
国宝となっている方丈は豊臣秀吉によって建てられた京都御所の建物を、江戸時代に移築したもので、狩野派による桃山美術らしい絢爛な障壁画や、左甚五郎作と伝わる彫刻や小堀遠州による石庭も有名。
2. くろ谷 金戒光明寺
“くろ谷さん”の愛称で親しまれている浄土宗の大本山。
1175年、比叡山の黒谷を下りた浄土宗の開祖・法然上人が、はじめて草案を結ばれた地で、浄土宗最初の寺院である。幕末に京都守護職に任命された会津藩主・松平容保が本陣を構えた寺で、近藤勇、土方歳三らを配下としたことから新撰組発祥の地とも言われている。
「浄土真宗最初門」の勅額がある山門、豊臣秀頼により再建された阿弥陀堂、法然上人の御影を安置する御影堂など、境内には見応えある建造物が多数点在。
3. 京都市動物園
岡崎公園の一角にある京都市動物園。開園は1903年と古く、上野動物園に続いて日本で2番目の歴史を誇る。
2015年にリニューアルオープン、2023年には開園120周年を迎え、京都市民の憩いの場として老若男女から愛され続けている。
園内はサバンナさながらにキリンとシマウマが混合展示された「アフリカの草原」、熱帯雨林の木に見立てたポールやロープを利用し、ゴリラが自然に近い姿を見せる「ゴリラのおうち」、アジアゾウの水浴びやオス・メスによる生活の違いを観察できる「ゾウの森」など、動物が行動を選択できる展示が充実。
4. 京都国立近代美術館
1963年、国立近代美術館の京都分館として岡崎公園内に開館した京都国立近代美術館。
現在使われている建物は昭和61年(1986)に竣工したもので、公園内の景観に配慮し平安神宮の大鳥居よりも高さを抑えて設計されている。
日本の近・現代美術史全般の流れを踏まえつつ、京都、ひいては関西や西日本の美術に重点を置いて作品を収集・展示。
ジャンルは絵画や彫刻、版画など多岐にわたり、なかでも陶芸や染織といった工芸分野のコレクションに力を入れている。
5. 京都市京セラ美術館
日本で2番目となる大規模な公立美術館「大礼記念京都美術館」として誕生。
その後、「京都市美術館」へ名称を変更した。2020年の春、通称を「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープン。
近代京都画壇の作品を中心に日本画、洋画、彫刻、版画、工芸、書などの作品3800点を超えるコレクションを所蔵している。
館内は、現代アートを魅力的に展示できる最新設備を持つ「東山キューブ」、シャープな内装が印象的な、新進作家を中心に発信する「ザ・トライアングル」、コレクションルームとして収蔵品を展示する専用スペースなど、同時に多数の展覧会が開催可能な、複数の展示スペースがあり、さまざまな時代やジャンルのアートを広く展示している。
平安神宮に関するよくある質問
Q
平安神宮に祀られている神様は?
桓武天皇と孝明天皇が祭神として祀られています。
Q
平安神宮のご利益は?
最も代表的なものとされるのは、縁結びのご利益です。
まとめ
魅力的な観光スポットが多い「京都」の中でも、特に有名な「平安神宮」。
今回の記事では「平安神宮」の基本的な情報や見どころを、歴史も交えながら紹介してきた。
「平安神宮」を観光して、日本の歴史を感じてみてはいかがだろうか。
「平安神宮」周辺の観光スポットやグルメも紹介してきたが、京都にはまだまだ魅力的な観光スポットがある。
「京都」で訪れる観光スポットに迷ったら、以下の記事も参考にしてほしい。