【貴船神社の観光ガイド】風光明媚な場所で縁結びを願う
日本でも有数の古社に数えられる京都の「貴船神社」。
縁結びのご利益は、京都でも指折りと言われるパワースポットだ。
それだけでなく、自然豊かな場所であり、四季折々の自然景観と神社の建造物が織りなす、日本風情たっぷりな景観も人気。
この記事では「貴船神社」へのアクセスや見どころ、参拝方法などを詳しく紹介する。
合わせて訪れたい周辺観光スポットも紹介するので、「貴船神社」や京都を観光する前に知っておきたい情報を網羅的に得られるはずだ。
貴船神社ってどんなところ?
京都市左京区の「貴船川」沿いにある「貴船神社」。全国に2,000社ある水神の総本宮としても知られる。
始まりは不詳ながらも1,300年前には記録があることから、それ以上の歴史を持つ日本でも屈指の古社だ。
「本宮」と「奥宮」には高龗神(たかおかみのかみ)、「結社」(ゆいのやしろ)には磐長姫命(いわながひめのみこと)を祭神として祀っている。
高龗神は水の供給を司る神だ。
そのため、地名では「貴船」(きぶね)と濁って読むところを、清らかな水が濁らないようにと神社名では「きふね」と発音する。
様々なご利益があるが、縁結びのご利益は「京都」でも随一と言われるほど。
「本殿」の真下には日本三大龍穴に数えられる「龍穴」があることから、水と大地のパワースポットとしても有名だ。
自然豊かで四季折々の景観を眺められるほか、夜間拝観ができることも魅力のひとつだ。
神社への参拝には欠かせない、絵馬の発祥地であることも知っておきたい。
周辺には「貴船の川床」と呼ばれる、「貴船川」のすぐ近くに席を設けて納涼を楽しみながら食事できるスポットもある。
貴船神社の成り立ち
「貴船神社」の創建を明記するものは残っておらず、創建時期は不明とされている。
とはいえ、1,300年前には社殿の造替が行われたとされることから、かなりの歴史を持つと言える。
「奥宮」に祀られているとされる玉依姫命(たまよりひめのみこ)が黄色い船に乗り、「淀川」や「貴船川」を遡って到着した場所に社殿を建てたのが起源だと伝えられている。
「貴船神社」の名前には玉依姫命が乗っていた黄色い船を由来とする説もある。
貴船神社へのアクセス
京都観光の移動拠点である「JR京都駅」を起点に、「貴船神社」へのアクセスを紹介しよう。
- 経路
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1.地下鉄烏丸線に乗車し、「国際会館駅」で下車
2.「国際会館駅」から徒歩すぐの京都バス亭「国際会館駅前」で乗車し、「貴船口」で下車
3.「貴船口」から徒歩すぐの京都バス停「貴船口駅前」で乗車し、「貴船」で下車
4.歩いて5分ほど - 所要時間
- 約50分
貴船神社の参拝時間と参拝料
「貴船神社」の参拝時間と参拝料は、以下の表にまとめたので、参考にしてほしい。
参拝時間は時期によって変わり、ライトアップ開催期間中は参拝時間が延長される。
リアルタイムで参拝時間を知りたい方は、公式サイトを確認しよう。
- 参拝時間
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・12/1~4/30:6:00〜18:00
・5/1~11/30:6:00~20:00
(授与所は9:00~17:00) - 参拝料
- 無料
季節によって異なる貴船神社の魅力
四季折々それぞれの魅力がある「貴船神社」だが、特にお勧めの観光シーズンは夏と言える。
自然が豊かなこともあり、「京都」の市街地よりも涼しいと有名なのが「貴船神社」。
体感温度は5度も違うと称され、名物である「貴船の川床」を最も楽しめる季節でもある。
とはいえ、他の季節にもそれぞれの魅力があるため、季節ごとの魅力を紹介しよう。
新緑芽吹く爽やかな「春の貴船神社」
春の「貴船神社」では、新緑が広がる美しい景観を満喫できる。
自然に溢れる場所で自然の息吹を身体中で感じよう。
木陰から入り込む日差しや吹き抜ける風はとても心地が良いので、ぜひ体感してほしい。
七夕と納涼文化を楽しむ「夏の貴船神社」
夏の「貴船神社」は非常に涼しく、暑さが激しいと言われる京都でも過ごしやすい点が魅力だ。
大きな目玉といえば、一帯が幻想的な空間に包まれる七夕笹飾りライトアップだろう。
古代中国における七夕では秋の豊作を願う風習があり、いわゆる雨乞いのための水神祭だった。
水の供給を司る高龗神を祀っている「貴船神社」とは関係が深いと言える。
「貴船神社」からほど近くの「貴船川」では、川の近くで涼みながら食事できる「貴船の川床」も楽しめる。夏にぴったりの場所だ。
紅葉で彩られる「秋の貴船神社」
「貴船神社」は紅葉の名所としても有名だ。
見頃を迎えた境内ではかなりの数の紅葉が見られ、その姿は圧巻の一言に尽きる。
単調な色彩ではない、オレンジや赤などのコントラストは見ていて飽きさせない。
夜には紅葉にライトアップが施され、幻想的な空間の中に没入する感覚が味わえる
そんな「貴船神社」の紅葉の見頃は11月の上旬から11月下旬とされている。
幻想的かつ荘厳な景観を見られる「冬の貴船神社」
冬の「貴船神社」では、辺り一面が真っ白な雪の世界に包まれる。
銀世界の中に佇む建造物の数々は幻想的であり荘厳だ。
自然の雄大さを感じられると共に、雪の結晶が反射して光り輝く様子は一見の価値がある。
夜間に行われるライトアップでは、幻想的な雪化粧の世界がさらに美しくなる。
昼間以上に風情を感じられる空間に早変わりし、思い出に残る風景になるはずだ。
一度は実際に目にしてもらいたい景色のひとつと言える。
参拝するなら知っておくべき作法「三社詣」
「貴船神社」の境内には「本宮」と「奥宮」、「結社」の3つの社殿がある。
「本宮」・「奥宮」・「結社」の順番で参拝するのが、正式なルートとされている。
この三社を参拝することを「三社詣」(さんしゃまいり)と呼び、順序通りに全ての社殿を参拝すると願いが叶うとされている。
訪れた際には、ぜひともこの方法で参拝してほしい。
貴船神社の魅力を堪能できる見どころ5選
有数のパワースポットである「貴船神社」には、神聖な雰囲気漂うスポットだけでなく、フォトスポットとしても魅力的な場所がたくさんある。
見どころが数多く存在する「貴船神社」の中でも、特に外せないものを詳しく紹介しよう。
観光前に知っておくことで、参拝・観光がより一層有意義な時間になるはずだ。
1. 日本風情漂う幻想的な景観は必見!「春日灯篭」
「本宮」へと通ずる参道の石段には、両側に春日灯篭がずらりと並んでいる。
この石段と春日灯篭は「貴船神社」の中でも、随一のフォトスポットとして人気を博している。「貴船神社」に参拝するなら、必ず訪れたい場所のひとつだ。
まるで異世界へと続く道のように神秘的な趣があるので、ぜひ写真に収めてもらいたい。
日中だけでなく、日没後の灯篭がともされた時間も魅力的。日本ならではの幻想的な風景が目の前に広がる。
2. 商売を営む人はぜひ訪れてほしい「本宮」
「本宮」に祀られているのも高龗神であり、運気隆昌(うんきりゅうしょう)のご利益がある。
運気隆昌とは、会社の運気の勢いが盛んになることだ。
高龗神は水の供給を司る神であることから、水に関連する事業や商売をしている方の参拝が特に多い。
創建の地だった「奥宮」が洪水で破損したため、1055年に今の場所へ「本宮」が移された。
その後は複数の造替が行われ、現在の「本宮」は2007年に基礎から一新して建て替えられたもの。
歴史を感じられる荘厳な佇まいには、自然と背筋が伸びてしまう迫力がある。
3. 霊泉で吉凶を占う「水占みくじ」
「本宮」で引ける水占みくじ(みずうらみくじ)では、一見すると真っ白に見える紙を引く。
この紙を水占齋庭(みずうらゆにわ)と呼ばれる霊泉に浮かべると、文字が浮かんで吉凶が分かるというものだ。
「貴船神社」にとって水はとてもご利益がある大切なものであり、この水占みくじ自体も非常に当たると評判で人気も高い。
神社の参拝においておみくじは欠かせないが、「貴船神社」のおみくじは特に魅力的と言える。
4. 神秘的な雰囲気漂う「奥宮」
山深い場所にあるがゆえ、より神秘的な雰囲気を漂わせるのが「奥宮」。
川のせせらぎや風で揺れる木々の音が心地良く、訪れるだけで心が洗われるような魅力がある。
「奥宮」の祭神は高龗神であり、諸願成就のご利益がある。
特に、縁切りの祈願が叶うことで有名だ。
「奥宮」が「貴船神社」創建の地であり、玉依姫命が「淀川」や「貴船川」を遡り到着した場所とされている。
そんな玉依姫命が乗っていた黄船は現在も「本殿」の側に祀られている。
「本殿」の真下には日本三大龍穴に数えられる「龍穴」が存在する。
5. 恋愛成就を静謐な空間で祈る「結社」
「結社」に祀られている祭神は磐長姫命であり、縁結びのご利益があるとして人気を集めている。
平安時代(794年~1185年)中期の歌人として知られる和泉式部(いずみしきぶ)が夫の心変わりに悩んで参拝し歌を捧げたところ、その願いが叶ったことから「恋の宮」とも称される。
木々の中にあり、並んだ灯篭とすっきりとした佇まいが魅力の「結社」。
自然の音だけが聞こえる静かな空間も魅力的だ。
貴船神社が発祥の地となった風習や儀式
「貴船神社」には、様々な逸話や伝承が存在する。
全国的に広がった風習や、有名になった儀式の発祥地でもあり、その歴史の深さが窺える。
これから紹介する説は、「貴船神社」への参拝をさらに興味深くさせるだろう。
全国の神社で見られる風習「絵馬」
今やほとんどの神社で見られる絵馬は、「貴船神社」が発祥の地とされている。
絵馬とは神社仏閣に祈願するときや祈願した願いが叶ったお礼をする際に、社寺に奉納する木製の板に絵が描かれているものだ。
かつて神々は馬に乗った姿で現れるとされており、神座を移動するには馬が必要不可欠とされていた。
そのため、神事の際には神の乗り物となる馬、いわゆる神馬(しんめ)を奉納する風習が広まっていった。ところが、馬を奉納できない者も数多く存在した。
彼らは木や紙で作った馬の像で代用するようになり、奈良時代(710年~794年)には板に描いた馬の絵が見られるようになっていった。
これが絵馬の風習が生まれた経緯として伝わっている。
祈願成就の儀式が呪いの儀式に「丑の刻参り」
「貴船神社」は丑の刻参りの発祥地として知られている。
丑の刻とは現在の午前1時から午前3時を意味し、この時間に祈願成就のため神社へ参拝することを指す。
ところが、丑の刻参りは祈願成就ではなく、相手を呪うための儀式として徐々に変化していった。
現在では、丑の刻参りは誰かを呪うための儀式を指す言葉として認識されている。
呪いの儀式としての丑の刻参りの原型は、宇治の橋姫の伝説にある。
嫉妬に狂った貴族の娘が「貴船神社」に参拝し、信託の後に行った荒行によって鬼神となり、目的の女性や数多くの人々を殺したというものだ。
この伝説を元にした能の演目が鉄輪(かなわ)であり、この演目がきっかけとなって大衆に丑の刻参りが呪いの儀式として広まっていった。
貴船神社周辺の人気飲食店2選
「貴船神社」周辺で食事するなら、やはり「貴船の川床」だろう。
神社のすぐそばを流れる貴船川の川面のすぐ上に座敷が設置されており、その上で川のせせらぎやひんやりとした空気を感じながら日本食を食べる体験は、貴船ならではだ。
その他にも貴船川沿いには様々な飲食店が並んでおり、どこで食事するか迷ってしまうほど。
飲食店が充実している「貴船神社」周辺でも、特に人気の飲食店を厳選して紹介しよう。
1. 貴船 右源太
貴船神社の社家職を長年に渡って務め、1962年に料理旅館として開業した「右源太」。
鴨川の源流のひとつ、貴船川に設けられた川床で食事のできる店のなかでも代表的な存在だ。
食事は昼・夜ともに鱧や湯葉など京都ならではの食材をふんだんに使った会席料理が提供される。
2. 鳥居茶屋
貴船神社の鳥居前にある京懐石料理店。
京・貴船の四季折々の懐石料理や手軽なお茶漬けがこちらで味わうことができる。
一度白焼にした鮎を一日かけ実山椒と一緒に煮込んだ「名物 あゆ茶漬け」をはじめ、お造りや湯葉あんかけといった全9品目が並ぶ「茶店弁当」、特上の猪ロース肉を、自家製スープと麹味噌で焚き、自家製ポン酢で味わう「ぼたん鍋」(冬季のみ2名以上で要予約)など、1品から鍋まで絶品料理が多く揃う。
貴船神社の周辺観光スポット3選
「貴船神社」の周辺には、特徴的な神社仏閣が多い。
余すことなく「貴船神社」を観光したら、これから紹介する観光スポットにも、ぜひ足を運んでほしい。
1. 三千院
伝教大師が比叡山延暦寺を建立の際、東塔南谷に庵を構えたことに始まるとされる天台宗の三門跡寺院のひとつ。
門跡寺院とは皇子皇族が代々住職をつとめた格式高い寺院のこと。
その後、近江の坂本や京都洛中など幾度も移転を繰り返し、明治時代に現在の場所に移った。
その都度寺名も変わり、大原の地で「三千院」となった。本尊は最澄作と伝わる薬師瑠璃光如来で秘仏となっており、宸殿に祀られている。
2. 瑠璃光院
平安時代から貴族や武士たちに愛されてきた八瀬大原にひっそりと佇む寺院。
通常は非公開で、春と秋の年2回特別拝観が行われる。
境内には百種を超えるモミジが植えられる京都随一の紅葉スポットだ。
辺り一面真っ赤に染め上がる秋の景色は格別。
また新緑に包まれる青モミジも見応えがある。
3. 由岐神社
天慶3年(940)に朱雀天皇の命で、平安京の北方鎮護を目的に創建された古社。
天狗伝説の残る霊峰・鞍馬山に鎮座する唯一の神社で、「鞍馬寺」への参道途中に位置する。
日本三大火祭・京都三大奇祭の1つに数えられる「鞍馬の火祭」でもよく知られている。
貴船神社に関するよくある質問
Q
貴船神社に祀られている神様は?
高龗神を主祭神とし、磐長姫命などが祀られています。
Q
貴船神社のご利益は?
運気隆昌や諸願成就、縁結びです。なかでも縁結びのご利益が有名。
まとめ
この記事では「貴船神社」における四季折々の魅力や見どころ、アクセス方法などを紹介してきた。
四季折々の美しい景観を楽しめるのはもちろん、歴史の深さを全身で感じられる点も大きな魅力だ。
京都で神社仏閣巡りをするなら、「貴船神社」は絶対に外せないスポットと言っても過言ではない。
京都で訪れるべき観光スポットに迷ったら、以下の記事も参考にしてほしい。