金閣寺をより深く楽しむために読むべき観光ガイド

金閣寺をより深く楽しむために読むべき観光ガイド

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本に数あるお寺の中でも、特に人気が高い「金閣寺」。
極楽浄土をイメージして作られた、金色に輝く建造物や庭園には、誰もが目を奪われるだろう。
「金閣寺」の美しさを堪能するために知っておきたい、「金閣寺」の見どころから歴史、アクセスや拝観料、周辺観光スポットまで詳しく紹介していこう。

金閣寺ってどんなところ?

京都府京都市にある「金閣寺」は、禅宗を起源とする臨済宗相国寺派のお寺。
清水寺」や「銀閣寺」などと合わせて「古都京都の文化財」として、1994年にユネスコ世界文化遺産に登録されている。
実は「金閣寺」は通称で、正式名称は「鹿苑寺」。
境内の黄金に輝く「金閣」という建物が有名だったため、「金閣寺」と呼ばれるようになった。
「金閣寺」は、日本を代表する小説家の一人「三島由紀夫」の作品のタイトルにもなっている。
内容は1950年の放火事件の犯人にスポットを当てたものであり、「金閣寺」の美に取り憑かれた僧の放火にいたるまでの経緯を、一人称形式で綴っている。
この作品は国内だけでなく、海外からも高い評価を受けている。
また、アニメ「一休さん」の作中にも「金閣寺」と、「金閣寺」を建立した室町幕府3代将軍・足利義満(あしかが よしみつ)が登場している。

雪化粧が金閣寺の輝きをより一層強める
雪化粧が金閣寺の輝きをより一層強める

金閣寺の歴史と成り立ち

「金閣寺」の歴史を遡ると、元々は「西園寺」という貴族が邸宅として所有していた。
鎌倉時代から室町時代にかけて貴族の権力が弱くなり、それに伴い西園寺も土地を手放すことになった。
室町時代である1397年に、足利義満が西園寺の邸宅を別荘として立て直した建物が、後の「金閣寺」となる。
お寺となったのは足利義満の死後。足利義満の遺言により、禅寺となった。
「金閣寺」が建立された室町時代に栄えた「北山文化」は、貴族と武士・禅の文化が融合した文化だが、その中でも貴族文化の影響が特に強い。
「北山文化」の特徴は、「金閣」に強く現れている。
「金閣」と「金閣」を中心にした庭園は極楽浄土を表現したと言われており、この世の光景とは思えないほど美しい。

「金閣寺」はこれまでに何度か壊滅的被害を受けている。
1467年に「応仁の乱」が勃発し「金閣寺」の大半が焼失。しかし「舎利殿」を含む、いくつかの建物は被害を免れた。
1950年には「金閣寺」の見習い僧によって放火された「金閣」は完全に焼失し、その輝きは消えてしまった。
しかし、詳細に残されていた図面を元に大修理が行われ、1955年に再建されている。

金閣寺へのアクセス

「金閣寺」の近くには駅がないため、阪急河原町駅とJR京都駅からバスでアクセスしよう。
どちらも駅のバスターミナルから205系統の市バスに乗り、金閣寺道バス停で降車。
降車後は徒歩3分で金閣寺に到着する。

阪急河原町駅から金閣寺
所要時間:約40分
JR京都駅から金閣寺
所要時間:約50分

金閣寺の拝観料・参拝時間・所要時間

「金閣寺」の拝観料と参拝時間は下記の通り。
入館時にチケットの代わりにお札が貰え、記念品として持ち帰れる。

営業時間
9:00〜17:00(年中無休)
参拝料金
大人(高校生以上)500円
小・中学生300円
所要時間
40分〜60分

境内の見どころを回るには、40分から60分は必要だ。
拝観コースの出口付近には、お抹茶がいただける茶処「金閣寺不動釜茶所」というお茶所がある。
ここではお菓子付きのお抹茶を500円で楽しむことができ、4〜5人座れるテーブルと椅子が10席ほどある。
お茶所での休憩を考えているなら、プラス30分くらい多めに見積もろう。

金閣寺のお勧め観光シーズンは?

四季折々の景色を楽しめる「金閣寺」だが、秋と冬が特にお勧め。
秋には紅葉が黄金色の「金閣」と「鏡湖池」を、紅と黄色に彩る。
冬には境内に雪が降り積もる、幻想的な世界が広がる。
雪化粧した金閣や境内は必見だ。

金閣寺の絶対に外せない見どころ7選

「金閣寺」には黄金色に輝く「舎利殿(金閣)」だけでなく、数多くの見どころが存在する。
パワースポットと呼ばれる場所もあるため、ご利益を授かりたい方は、ぜひ訪れてみてほしい。
数多くの見どころの中でも、特に人気の見どころを厳選して紹介しよう。

1. 誰もが目を奪われる「舎利殿(金閣)」

極楽浄土を表現したと伝わる「舎利殿(金閣)」の輝きと庭園の美しさには、誰もが目を奪われることだろう。
「舎利殿(金閣)」は高さ12.5mの3階建て。
2〜3階には10.8センチ四方の金箔が、約20万枚貼られている。
舎利殿とは、お釈迦さまの骨を収める1つの容器と考えられている建物である。
「舎利殿(金閣)」の屋根頂上部にも、金色の鳳凰が輝く。
鳳凰は永遠の命・権力の象徴であり、争いのない平和な世の中を祈って掲げられた。
「金閣寺」が通称となるほどの人気を誇る、「舎利殿(金閣)」に訪れない手は無い。

「舎利殿」の屋根に佇む鳳凰の像
「舎利殿」の屋根に佇む鳳凰の像

2. 寄棟造りと茅葺き屋根が特徴の「夕佳亭」

「夕佳亭(せっかてい)」は高台に位置する、「舎利殿」や「鏡湖池」を見下ろせる3帖ほどの茶室だ。
茶室から眺める、夕陽に照らされた「金閣寺」の美しさが名前の由来。
江戸時代に建築された建物で、寄棟造りと茅葺き屋根も特徴のひとつだ。

狭さを感じさせない工夫された造りの「夕佳亭」
狭さを感じさせない工夫された造りの「夕佳亭」

3. 水面に金閣が輝く「鏡湖池」

「舎利殿(金閣)」を鏡のように映し出す小さな池。
「鏡湖池」は浄土世界に存在する、七宝の池を模して造られたとされている。
ここには「葦原島」など大小様々の島々があり、奇岩名石を見られる。
水面に「舎利殿(金閣)」やその周囲の島々が映る様子は、まさに絶景だ。

「鏡湖池」の水面に映し出された「舎利殿(金閣)」
「鏡湖池」の水面に映し出された「舎利殿(金閣)」

4. 樹齢600年を超える足利義満の盆栽「陸舟の松」

圧倒的な迫力を誇る「陸舟の松」。
京都市に指定された天然記念物であり、「京都三大松」の一つとされている。
他の松と比べても樹齢が長い「五葉松」で作られた。
足利義満が植えた盆栽で、当初は小さかったものが植え替えられ、600年以上の時を経て見事に成長した。

樹齢600年を超える「陸舟の松」
樹齢600年を超える「陸舟の松」

5. 重要文化財の不動明王が眠る「不動堂」

重要文化財に指定された、2体の不動明王像が安置されている「不動堂」。
空海が造仏したとも言われている「石不動明王」と、鎌倉時代に造仏された木製の「不動明王像」は、2月3日と8月16日にのみ公開される。
「金閣寺」に現存する最古の建造物であるため、不動明王像が見られなくとも、訪れる価値のあるスポットだ。

金閣寺に現存する最古の建物「不動堂」
金閣寺に現存する最古の建物「不動堂」

6. 弁財天の使いが祀られる「安民沢・白蛇の塚」

「安民沢」は樹林に囲まれた池で、鏡湖池の半分ほどの大きさ。
池の小島に建つ石製の五輪塔は、弁財天の使いである白蛇を祀った「白蛇の塚」だ。
弁財天は水神でもあり、七福神の一柱でもあるため、様々なご利益をもたらすと考えられている。
賽銭を投げて、「白蛇の塚」の前に置かれたお椀に入れば、弁財天が願いを叶えてくれるパワースポットにもなっている。

パワースポットにもなっている「白蛇の塚」
パワースポットにもなっている「白蛇の塚」

7. 中国の故事「登竜門」を表現した「龍門滝」

「龍門滝」は2.3mの高さを一段落としにしたもので、今にも跳ね上がりそうな鯉を表した「鯉魚石」が滝壺に置かれている。
鯉が滝を登ると龍になるという、中国の故事「登竜門」が元になっている。
「登竜門」を表現した滝であることから、出世開運のご利益があるとされている。

緑に囲まれた小さな滝「龍門滝」
緑に囲まれた小さな滝「龍門滝」

影響された文化による違いを感じられる「銀閣寺」

「金閣寺」と並んで、有名な寺院のひとつである「銀閣寺」。
京都市の西に「金閣寺」があり、真反対の東に「銀閣寺」はある。
室町幕府8代将軍の「足利義政(あしかが よしまさ)」によって、「銀閣寺」は1482年に建立された。
「金閣寺」と同じく別荘として建てられたが、足利 義政の死後に臨済宗の寺院となり、「東山慈照寺」と名付けられた。
「銀閣寺」は通称であり、正式名称は「東山慈照寺」。
足利 義政の法号である「慈照院」がその由来だ。

「金閣寺」とは建てられた年代が違うため、影響を受けた文化も異なる。
「銀閣寺」が影響を受けた「東山文化」は、「金閣寺」が影響を受けた「北山文化」よりも禅の特色が強い。
簡素な物に美しさを見出す精神と侘び寂びが、「東山文化」の特徴だ。
名前のイメージから「金閣寺」と同様に、「銀閣寺」には銀箔が貼られていると思うだろう。
しかし、実際には「銀閣寺」に銀箔は貼られていない。
東山文化を取り込んだ「銀閣寺」に派手さは無いが、侘び寂びを感じる荘厳な造りをしている。
「金閣寺」とは異なる魅力を持つ「銀閣寺」にも足を運び、「北山文化」と「東山文化」の違いを比べてみよう。

落ち着いたたたずまいは東山文化の粋
落ち着いたたたずまいは東山文化の粋

金閣寺周辺の観光スポット3選

「金閣寺」を満喫した後も、歴史の街「京都」を引き続き存分に味わっていただきたい。
京都には歴史ある神社やお寺が多く、どこから観光するか迷ってしまうかもしれない。
そんな時はこれから紹介する、金閣寺周辺のお寺と神社から巡ってみよう。

1. 龍安寺

「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている、臨済宗妙心寺派の禅宗寺院。室町時代の1450(宝徳2)年、幕府の管領だった細川勝元が徳大寺家の山荘を譲り受け、妙心寺第五祖の義天玄承禅師を開山に迎えて創建した。後の応仁の乱で焼失するが、勝元の子・政元の下で妙心寺の僧・特芳禅傑の尽力により再興。方丈や石庭も、この頃に造営されたと伝えられている。

15の石が配された枯山水庭園「石庭」で名高い、世界遺産登録の禅刹。平安期の名残を留める回遊式庭園も見事で、紅葉の名所としても知られる
15の石が配された枯山水庭園「石庭」で名高い、世界遺産登録の禅刹。平安期の名残を留める回遊式庭園も見事で、紅葉の名所としても知られる

2. 仁和寺

「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている、真言宗御室派の総本山。
境内奥にある金堂は、桃山時代に建てられた京都御所の紫宸殿を江戸時代前期の寛永年間(1624−1645年)に移築。
当時の宮殿建築を今に伝える貴重な遺構として、仁和寺で唯一国宝に指定されている。堂内には、御本尊である阿弥陀三尊像をはじめ四天王像や梵天像などを安置し、壁には浄土図が極彩色で描かれている。

宇多天皇による創建以来、皇族が代々の住職を務めた日本初の門跡寺院。御所の宮殿を移築した金堂(国宝)や、皇族の御室だった御殿など、宮殿建築の貴重な遺構が見どころ
宇多天皇による創建以来、皇族が代々の住職を務めた日本初の門跡寺院。御所の宮殿を移築した金堂(国宝)や、皇族の御室だった御殿など、宮殿建築の貴重な遺構が見どころ

3. 伏見稲荷大社

五穀豊穣、商売繁昌、家内安全、病気平癒、諸願成就の神様として日本各地で親しまれ、全国で約30,000社あると言われる稲荷神社の総本宮。711年に創建された。
特に注目度の高いスポットは、「千本鳥居」。本殿の後ろに朱色の鳥居がトンネル状に連なっている。
参拝者が祈りと感謝を込めて奉納したのがはじまりで、稲荷山全体では1万基を越えているそう。

神秘的な美しさを誇る朱色の「千本鳥居」は壮観
神秘的な美しさを誇る朱色の「千本鳥居」は壮観

京都を代表する観光エリア「嵐山」も巡ってみよう

京都を代表する観光地「嵐山」は、自然と歴史の調和を楽しめる場所だ。
平安時代の貴族に愛された美しい「嵯峨野竹林の小径」や嵐山の顔とも称される「渡月橋」など、京都らしい風景を堪能できる観光スポットが多い。
「金閣寺」から「嵐山」への移動は、タクシーをお勧めする。
所要時間は30分程度で、料金は3,000円程度。
バスと電車でもアクセスできるが、複雑な乗り換えが必要だ。

貴族に愛された「嵯峨野の竹林」
貴族に愛された「嵯峨野の竹林」

金閣寺に関するよくある質問

Q

金閣寺の正式名称は?

A

金閣寺の正式名称は「鹿苑寺」です。

Q

金閣寺の拝観料と参拝時間は?

A

大人(高校生以上)500円、小・中学生300円です。拝観時間は9:00〜17:00

Q

金閣寺の見どころは?

A

なんと言っても黄金に輝く舎利殿(金閣)が最大の見どころです。

Q

金閣寺と銀閣寺の違いは?

A

室町幕府3代将軍・足利義満が建立したのが「金閣寺」で、その孫にあたる8代将軍・足利義政が建立したのが「銀閣寺」です。豪華絢爛な「金閣寺」に対して、「銀閣寺」は侘び寂びを感じる建物となっています。

まとめ

この記事では「金閣寺」の歴史から魅力、周辺の観光スポットまで詳しく紹介してきた。
時代背景を知って訪れると、より一層「金閣寺」を楽しめるだろう。
「金閣寺」を満喫したら、豊かな自然と日本の歴史的建造物が調和した風景を楽しめる「嵐山」や「銀閣寺」、「龍安寺」にも訪れて、古都・京都を満喫してほしい。
京都観光の予定がある方は、京都の定番観光スポットを紹介している、こちらの記事も読んでみよう。