【南禅寺の観光ガイド】歴史と自然が調和する静謐で美しい空間を散策

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

禅宗寺院の中でも最高位の格式を持つ「南禅寺」。
国宝や重要文化財に指定された建造物と豊かな自然が調和する、静謐で美しい空間が境内に広がっている。
四季折々の美しい自然景観を見られるが、桜と紅葉の見頃の美しさには、誰もが目を奪われるだろう。
魅力たっぷりの「南禅寺」を満喫するために、知っておきたい歴史や見どころから、
アクセスや周辺の観光スポットまで詳しくご紹介。
この記事を参考に「南禅寺」を最大限楽しもう。

目次

南禅寺ってどんなところ?

京都府左京区にある「南禅寺」は禅宗を起源とする、臨済宗南禅寺派の総本山。
境内全体が史跡に指定されており、国宝の「方丈」、重要文化財の「三門」や「絹本著色大明国師像」など歴史的に貴重な建造物が多い。
日本庭園の「方丈庭園」も、鑑賞価値が高いとされる日本の名勝に指定されている。
広い境内は豊かな自然に囲まれており、季節ごとの自然を楽しめる。
各建造物が自然に溶け込む姿は、とても魅力的だ。
桜や紅葉の名所としても知られており、春に桜が、秋には紅葉したカエデやモミジが色鮮やかに境内を彩る。
桜は3月下旬から4月上旬、紅葉は11月中旬から12月上旬が見頃だ。
境内には都会の喧騒から離れた、穏やかな時間を味わえる「南禅会館」がある。
宿泊が可能で、朝には修行中のお坊さんたちの読経が聞こえてくる。

南禅寺の歴史と成り立ち

「南禅寺」は法皇の命令によって建てられた、初めての禅宗寺院。
1291年に亀山法皇が無関普門(むかんふもん)禅師を迎えて開創した。
法皇とは、簡単に言ってしまえば出家した「天皇」、もしくは天皇を譲位した「上皇」のことだ。
つまり、元々信心深い天皇が禅師を迎え入れることで「南禅寺」が開かれた、ということだ。
南北朝時代(1336〜1392年)には、格式高い京都五山・鎌倉五山よりもさらに格上である「五山之上」とされた。
さらに優れた禅僧が代々住職となったこともあり、数ある禅宗寺院の中でも最も高い格式を誇っている。
その歴史の長さもあり、様々な戦いに巻き込まれて焼失と再建を繰り返していることも知っておこう。

紅葉の名所として知られているが桜の見頃にも絶景が広がる
紅葉の名所として知られているが桜の見頃にも絶景が広がる

南禅寺へのアクセス

京都観光の移動拠点である「JR京都駅」を起点とした「南禅寺」へのアクセスを紹介しよう。

経路
1. 「JR京都駅」から烏丸線で「烏丸御池駅」へ。
2. 「鳥丸御池駅」にて東西線に乗り換え「蹴上駅」で下車。
3. 「蹴上駅」から徒歩7分で「南禅寺」へ到着。
所要時間
約30分

南禅寺の開場時間と入場料

「南禅寺」の開場時間と入場料は、下記の表にまとめたので、参考にしてほしい。
時期によって閉場が異なるため、注意しよう。入場は閉場20分前までとなっている。

開場時間

3月〜11月
8:40〜17:00
12月〜2月
8:40〜16:30

入場料

方丈庭園
・大人:600円
・高校生:500円
・小中学生:400円
三門
・大人:600円
・高校生:500円
・小中学生:400円
南禅院
・大人:400円
・高校生:350円
・小中学生:250円

南禅寺のお勧め観光シーズンは?

四季折々の景色を堪能できる「南禅寺」だが、特に秋がお勧め。
200本を超えるカエデやモミジの木々は、境内を見事に赤やオレンジに彩る。
国宝の「方丈」や文化財の「三門」などが、一層美しく見えるだろう。
紅葉の名所として知られているだけに、秋の「南禅寺」は絶景スポットが多い。

紅葉で彩られた日本情緒漂う境内
紅葉で彩られた日本情緒漂う境内
境内のいたる所が紅葉で染まる
境内のいたる所が紅葉で染まる

南禅寺の魅力が詰まったお勧めのスポット5選

「南禅寺」の境内は広く、見どころも多いため、どこから観光するか迷ってしまうかもしれない。
でも安心してほしい。
これから紹介するお勧めのスポットを巡れば、「南禅寺」の魅力を余すところなく楽しめる。

1. 自然・和・洋が調和した人気のフォトスポット「水路閣」

「水路閣」は「南禅寺」の境内にある高さ最大13m、幅93.2mの煉瓦作りのアーチ橋。
1888年に琵琶湖の水を京都市内へ運ぶために作られた水路橋で、今もなお現役で使用されている。
1291年に建てられた「南禅寺」の和と、約600年後に建てられた洋風の「水路閣」が不思議と調和する美しい景観が見られる場所だ。
その美しい景観から、フォトスポットとしても人気を博している。

煉瓦造りのアーチ橋が風情を漂わせている
煉瓦造りのアーチ橋が風情を漂わせている
美しい写真が取れるスポットが多いので、カメラを持って散策しよう
美しい写真が取れるスポットが多いので、カメラを持って散策しよう

2. 存在感と上層に広がるパノラマの絶景が魅力「三門」

「南禅寺」の正門である「三門」で、別名は「天下竜門」。
「三門」とは、仏道修行で悟りに至る為に透過しなければならない三つの関門を表している。
日本最大級の高さ22mを誇り、「京都三大門」と「日本三大門」にも選ばれている。
1899年には、国指定重要文化財にも指定された。
22mもの高さを支える円柱は太く、重量感のある「三門」には圧倒される事間違いなし。
「三門」の階段を登ると、上層の「五鳳楼」へ出られる。
「五鳳楼」から広がるパノラマは、絶景なので要チェックだ
「三門」は1295年に貴族の寄進によって創建され、1447年に応仁の乱が勃発し一度焼失している。
現在の三門は1628年に、当時の戦国武将・藤堂高虎(とうどう たかとら)が大坂夏の陣で戦死した兵たちの菩提を弔うために、再建されたものだ。

圧倒的な存在感を直に感じてみよう
圧倒的な存在感を直に感じてみよう
上層からの眺めも見逃さないように
上層からの眺めも見逃さないように

3. 格別に美しい紅葉を見られる「天授庵」

「天授庵」は南禅寺の第15世である虎関師錬(こかんしれん)が、「南禅寺」を創建した無関普門を奉祀するための塔頭として創建。
塔頭とは禅宗寺院において、祖師や高僧の死後にその方達の徳を尊い建てる庵(小院)の事をいう。
「天授庵」も「三門」と同様に応仁の乱時に焼失したが、1602年に再興されている。
「天授庵」はたくさんのモミジに囲まれた建物で、敷地内には本堂や2つの庭、書院まで様々な建物がある。
本堂や書院は一般公開されていないため、人気なのが枯山水庭園と池泉回遊式庭園の2つだ。
枯山水庭園は本堂前庭に位置する。
杉苔と白砂が美しく、本堂の縁側から見られる。この時代には珍しい幾何学模様の石畳が特徴だ。
池泉回遊式庭園は書院南庭に位置し、池に浮かぶ睡蓮がなんとも幻想的な姿を見せてくれる。
「天授庵」に彩る紅葉は実に美しく、特にライトアップした艶やかな紅葉は必見だ。

美しい庭園を彩る紅葉
美しい庭園を彩る紅葉
ライトアップされた紅葉は必見だ
ライトアップされた紅葉は必見だ

4. 国の名勝や重要文化財など見どころ盛りだくさんの「方丈」

国宝に指定されている「方丈」は、「大方丈」と背後に接続された「小方丈」からなる。
「方丈」を構成する大小様々な部屋の中でも、「虎の間」と呼ばれる部屋は要チェック。
「狩野探幽」によって描かれた、迫力ある「群虎図」は必見だ。
「群虎図」は重要文化財にも指定されている。
「大方条」も見どころのひとつで、京都御所にあった建物の一部を移築しており、宮廷の姿を今に伝え続けている。

方丈に続く道さえも美しい
方丈に続く道さえも美しい

5. 美しくも趣深い「方丈庭園」

「方丈」にはいくつも美しい庭があるため、建物だけでなく、隣接するそれぞれの庭も楽しもう。
「方丈庭園」は「大方丈」の南側にあり、国の名勝に指定されている。
江戸時代初期に茶人・小堀遠州(こぼり えんしゅう)によって作られた、枯山水庭園だ。
虎に見立てた石と、河を模した白浜から構成され、通称「虎の児渡し」と呼ばれ親しまれている。
「小方条」の西側にある「小方丈庭園」は、「如心庭」とも呼ばれている。
建設時の南禅寺管長(最高責任者)から庭石の配置で、「心を表現せよ」と熱血に指導されて作られた。
そのため「解脱した心のよう」に、落ち着いた雰囲気となっている。
「小方条」を奥に進むと「六道庭」がある。
「小方条庭園」が「解脱した心のよう」なのに対して、「六道庭」は仏教の世界観を描いた「輪廻」の戒めの庭となっている。

構成の意図を思い返しながら、「方丈庭園」を観察してみよう
構成の意図を思い返しながら、「方丈庭園」を観察してみよう
各庭園を巡って、違いを楽しむのもお勧めだ
各庭園を巡って、違いを楽しむのもお勧めだ

南禅寺の境内・参道でお勧めの飲食店3選

「南禅寺」の境内と参道には、いくつかの飲食店があり、その中でも特にお勧めの飲食店をご紹介。
いずれも日本庭園を眺めながら、静謐な空間の中で日本の食文化を味わえる。
南禅寺の見どころと合わせて、ぜひ境内や参道の飲食店にも訪れてほしい。

1. 南禅寺 順正

南禅寺の参道で古くより愛されてきた湯豆腐を通じて、京都に根付く湯豆腐文化や、伝統的な京都文化を伝える老舗。
季節の草花が四季折々の表情を映す1,200坪の回遊式庭園を眺めながら、名物の湯豆腐や湯葉をゆったりと堪能することができる。
庭園内にある「順正書院」は、江戸時代の蘭学医・新宮凉庭が建てた医学学問所で、現在は国の登録有形文化財にも指定。

南禅寺門前にたたずむ、情緒あふれる湯豆腐の老舗
南禅寺門前にたたずむ、情緒あふれる湯豆腐の老舗

2. 大力邸

京都の観光名所・南禅寺の境内にあり、十一代目小川治兵衛が作庭した「双龍庭園」を有する邸館。
邸館内にある、「東山」、「南禅」、「大広間」と「はなれ」の4つの空間で、庭を眺めながら食事が楽しめる。
メニューは、A5ランクの黒毛和牛を使ったコース料理や一品、自家製ブレンドの国産小麦粉で作るうどんなどが揃う。

伝統的な日本庭園を眺めながら、黒毛和牛やうどん料理に舌鼓
伝統的な日本庭園を眺めながら、黒毛和牛やうどん料理に舌鼓

3. 桜鶴苑

大正4年(1915)建築の和風邸宅を利用した懐石料理店。
南禅寺の参道にあり、街の喧騒から離れた静かな雰囲気の中でゆったりとしたひとときを過ごせる。
季節を感じさせる京都ならではの素材を使い、受け継がれる伝統に新たな感性を加えた「五感で楽しめる」京料理を提供。

名匠が手掛けた日本庭園を眺めつつ、風情ある大正建築で懐石料理をいただく
名匠が手掛けた日本庭園を眺めつつ、風情ある大正建築で懐石料理をいただく

南禅寺の周辺観光スポット3選

「南禅寺」を満喫した後も、歴史と伝統の街「京都」を存分に堪能しよう。
「南禅寺」の周辺にも、見どころが多い神社仏閣や自然豊かなスポットが点在している。
まずはこれから紹介する、「南禅寺」周辺の観光スポットから巡ってみよう。

1. 平安神宮

平安遷都1100年を記念して、1895年に創建された比較的新しい神社。
社殿群は、平安京で重要な儀式が執り行われていた正庁「朝堂院」を再現している。
境内に立ち並ぶ朱塗りの建築物が美しく、境内に足を踏み入れると、まるで平安時代にタイムトリップした気分に。
「朝堂院」の正殿をモチーフにした壮麗な「大極殿」や、細やかな意匠が施された「白虎楼」、「蒼龍楼」など、国の重要文化財も多く、見どころが満載。

朱塗りの社殿群が美しい京都有数の観光スポット
朱塗りの社殿群が美しい京都有数の観光スポット

2. 蹴上インクライン

大津と京都をつなぐ人工運河の琵琶湖疏水。
竣工は明治期だが、今なお現役で、全長約20kmの「第1疏水」、全長約7.4kmの「第2疏水」、全長約3.3kmの「疏水分線」などからなる。
滋賀・大津、京都・山科、岡崎とそれぞれのエリアで特色ある光景を作り上げており、1981年に運転を開始した日本で初めての一般供給用水力発電所「(第1期)蹴上発電所」や、国登録有形文化財の「旧御所水道ポンプ室」など、歴史的価値のある建物や建造物が数多く点在する蹴上エリアも、人気スポットとなっている。

明治時代に竣工した現役の人口運河「琵琶湖疏水」を代表する観光スポット
明治時代に竣工した現役の人口運河「琵琶湖疏水」を代表する観光スポット

3. 禅林寺(永観堂)

永観堂の名で知られる浄土宗西山禅林寺派の総本山。
853年に空海の弟子である真紹が真言宗の道場として開いたのが始まり。
1072年に第7世永観が入寺して以来、徐々に浄土念仏道場へと変わっていった。
「モミジの永観堂」という別名がつくほど、京都随一の紅葉の名所として知られる。
例年11月中旬の見ごろになると、約3,000本ものオオモミジやイロハモミジが色づき、境内を艶やかな秋色に染め上げる。

境内が艶やかな朱に覆われる、京都屈指の紅葉の名所
境内が艶やかな朱に覆われる、京都屈指の紅葉の名所

南禅寺に関するよくある質問

Q

南禅寺の桜の見頃は?

A

桜は3月下旬から4月上旬が見頃です。

Q

南禅寺の紅葉の見頃は?

A

紅葉は11月中旬から12月上旬が見頃です。

まとめ

豊かな自然と歴史の深さを誇る「南禅寺」。
この記事では「南禅寺」の魅力を余すところなく紹介してきた。
「南禅寺」の境内はとても広いので、時間に余裕を持って観光しよう。
紹介した周辺観光スポット以外にも、京都にはまだまだ魅力的なスポットがたくさんある。
京都に訪れる際は、ぜひこの記事を参考にして京都を堪能してほしい。