世界にひとつ 自分だけの日本酒づくり!「日本酒ブレンド」の奥深さをMy Sake Worldで体験

世界にひとつ 自分だけの日本酒づくり!「日本酒ブレンド」の奥深さをMy Sake Worldで体験

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筆者 :  元村颯香

「自分好みの日本酒を作ってみたい!」と思ったことはありませんか?日本酒はそのまま飲むことが一般的ですが、ブレンドして飲むこともできるお酒なのです。同じ蔵の別の銘柄と混ぜても、ほかの蔵の銘柄と混ぜてもOK。日本酒を製造することは難しいですが、ブレンドであれば自分好みのお酒を気軽に作ることができます。現在でも蔵の中ではさまざまな銘柄を混ぜて作っているところもありますし、実は江戸時代の酒屋では顧客の好みに合わせて日本酒をブレンドして販売していました。
日本では古くからある手法なのです。日本酒をブレンドすることでより深い味わいになったり、自分の好みに寄せたりすることができます。そんな体験を、日本酒のまちである京都で行ってみませんか。さまざまな蔵の日本酒をブレンドすることができ、持ち帰ることができる施設があります。スポイトやビーカーを使って混ぜる体験はまるで理科の実験のようで、いま京都で大人気の体験です。
本記事では、日本酒のブレンドについてや、その体験施設についてご紹介します。ぜひ京都で日本酒を味わってみたいと思っているかたは、観光前にご一読ください!

日本酒とは

日本酒とは米、米麹、水を主な原料として造られる日本独自の醸造酒のことです。諸説ありますが約3000年前に日本では稲作が始まり、狩猟していたころから生活は一変。稲作文化が広がりました。正確な史実はないのですが、それ以降に日本酒も造られるようになったと考えられています。稲作文化が広がると、天候によって米の収穫量に大きな影響を与えるため、やがて日本人は自然を畏れ敬うようになっていきます。自然そのものが神と考え、その神にお米やお酒を捧げ、そのおさがりをいただくという風習が生まれます。現在でも神社にお酒が奉納されていたり、神棚にお酒を祀ったり、神事に日本酒は欠かせません。お酒はグルメのためや酔うためだけの道具以上に、日本の文化やお祭りと深い結びつきがあるものなのです。

日本酒イメージ
日本酒イメージ

日本酒をブレンドするとは?

日本酒は一般的には「獺祭」や「黒龍」「十四代」など、それぞれの銘柄ごとの個性を楽しむものだとイメージするかたも少なくないと思います。近代以降は酒蔵ブランドが確立して、“蔵ごとの個性”を楽しむことや、吟醸酒や純米酒の製造技術が向上し、そのまま飲んでおいしい日本酒がたくさん生産されているからです。

ただ、実は江戸時代までさかのぼると、日本酒をブレンドするということはごく一般的なことでした。というのも江戸時代のお酒は製造技術がいまほどのものではなく、お酒の品質が安定していませんでした。同じ蔵でも天候の影響で米のできが年ごとに違っていたり、精米技術が未発達だったり、温度管理が難しかったりと、お酒のできがその年によって違っていたのです。蔵の中でも味を均一化させ、品質の安定を目的として行っていました。当時、お酒を調合することを「合酒(あいしゅ)」と呼んでいたそうです。現在でも大手の酒蔵などでは味を均一化させるために、タンクごとの酒を調整して出荷しているところもあります。

また、江戸時代には小売店である酒屋が顧客の好みに合わせて、お酒をブレンドしていたそうです。ビンがなかった時代、酒屋には酒蔵から樽でお酒が納品されていました。お客は現代でいうマイボトルの「通いとっくり」で酒屋に行き、お酒を量り売りしてもらっていました。その際に「もう少し辛いほうがいい」や「もっと甘口で!」などお客の要望に合わせて日本酒をブレンドして売っていたのだとか。ある酒屋ではそうしたお客さんの好みに応じてブレンドしていたという帳簿も残っています。

考えてみれば、ワイン、ウイスキー、コーヒー、米、お茶などでもブレンドが行われているのだから日本酒もブレンドするとおいしいお酒ができるのも納得ですね。

My Sake Worldで日本酒ブレンド体験

江戸時代からある伝統的な日本酒の飲み方を現代によみがえらせた施設が、京都市にある「My Sake World 京都河原町店」です。こちらでは、試飲しながら自分好みの日本酒をブレンドして、自分だけの「マイサケ」を作ることができます。

「日本酒は飲むだけでなくほかにも楽しめる方法があるのでは?」と、もともとは酒蔵と一緒にブレンド酒を作って売り出したのが、この施設の始まりだそうです。ブレンドの日本酒を飲食店に売りに行った際に「味わいの調整が簡単にできるなら、うち専用のオリジナルブレンド酒を作ってほしい!」と言われ、一緒にブレンドしていく中で、ブレンドする作業が楽しかったという反応があったそう。「これを体験にしたら、日本酒をブレンドしてもいいという認知拡大になるのでは」とこの施設を作られたそうです。その狙いは的中!いま、日本酒ブレンドはブームを起こしていて、体験者が急増しています。

京都一番の繁華街である四条木屋町や清水寺からも徒歩圏内で、京都の町の散策途中に立ち寄れるのがうれしいポイント。友人やカップルでの体験はもちろん1人でも気軽に入店できます。いろいろ日本酒を試しながら自分にぴったりのブレンド酒「マイサケ」を作ってみてください。

スタッフによる日本酒講座も行っている体験施設「「My Sake World 京都河原町店」」
スタッフによる日本酒講座も行っている体験施設「「My Sake World 京都河原町店」」

「マイサケ」を作ってみよう!

「My Sake World京都河原町店」は、阪急河原町駅の10番出口から出て、寺町通を南に下がると歩いて7分ほどで到着します。

My Sake World京都河原町店 外観
My Sake World京都河原町店 外観

広々とした店内に最大30名まで入ることができます。基本的にはスタンディングスタイルでの体験で、予約なしでも体験できるのが特徴です。着席でも体験が可能ですが6席しかないため、着席での体験が希望であれば要予約です。団体もOKで、最近では企業研修で体験することも増えているそうです。

机のうえにはメスシリンダーや三角フラスコがセッティングされていて、まるで理科室の実験のよう。どんなことが始まるのかとワクワクします。

広々とした店内で最大30名まで体験可能
広々とした店内で最大30名まで体験可能

まずブレンド体験をする前に座学があります。

座学のようす
座学のようす

日本酒の歴史や、日本のお祭りや神事と深く結びついた文化であるということ、その文化や精神性を含め、日本酒を含めた日本での「伝統的酒造り」が2024年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことを教えてもらいました。純米酒・純米吟醸・純米大吟醸などの日本酒の区分や精米歩合による味の違いなども詳しく解説してくださるので、日本酒のことをあまり知らないというかたでも安心して体験できます。

10分ほどの座学のあとは、きょうブレンドする8種類の日本酒をテイスティングしていきます。

8種類の日本酒をテイスティングする
8種類の日本酒をテイスティングする

取材したのは2026年6月。その日のラインナップは、京都・齊藤酒造「英勲」(えいくん)、京都・松井酒造「神蔵」(かぐら)、愛媛・水口酒造「仁喜多津」(にきたつ)、京都・城陽酒造「城陽」(じょうよう)、群馬・土田酒造「シン・ツチダ」、山形・米鶴酒造「ピンクのかっぱ」、京都・増田德兵衞商店「月の桂 抱腹絶倒」、京都・Assemblage Club「Assemblage Club 06 KOKA-古花-」の8種類です。京都を中心とした日本全国50の蔵に協力をしてもらっていて、日本酒の銘柄は半年に一度、ラインナップが変わります。毎回日本酒同士の相性を見ながら8種類を決めているのだそうです。

お酒のラインナップ(2026年6月時点)
お酒のラインナップ(2026年6月時点)

ひとつずつテイスティングしていきますが、そのなかで3つ、好きなお酒をメモしておいてください。組み合わせを論理的に考えるとなかなかうまくいかず、自分の好みと離れた「マイサケ」ができやすいそうなので、あまり考えすぎず、直感に従うといいでしょう。

レシピノートにメモをとりながら試飲していく
レシピノートにメモをとりながら試飲していく

お酒は大きく4種類に分けられています。「吟醸酒系」、「純米酒系」、「モダン系」、「熟成酒系」です。ひとつずつどういったお酒なのか解説してもらいながら試飲していきます。

まず「吟醸酒系」のお酒を3種類。香りの良いお酒たちです。
ひとつめ、「英勲」はリンゴの蜜のような甘い香りが特徴ですが、甘さがあとにひかず、口の中でお米のうまみが残ります。京都の飲食店でもよく見かけるお酒のひとつですね。味が好みで、ひとつめのお酒はこれに○をつけました。

ふたつめの「神蔵」も京都で人気のお酒のひとつです。とてもトロピカルで、その香りはラフランスやパイナップルと表現されることが多いです。こちらは生酒。そのためジューシーさがあるのも特徴です。夏を思わせるようなはじける香りが好みで、ふたつめのお酒はこれに○をつけました。

続いての「仁喜多津」は、花酵母を使って醸造されているため、さくらんぼのような甘い香りがするのが特徴です。一方で口当たりはキレが良く、ドライな吟醸酒になっています。

少量ずつ飲み比べることで、同じ吟醸系といっても蔵によって味わいや風味が大きくちがうことを改めて実感できます。

続いては、「純米酒系」を2種類。
「城陽」は淡麗辛口!食事も邪魔しない香りで、飲み飽きない味です。どんな料理にも合わせやすいため、私も普段から食事のときには好んで飲んでいます。

ここからは個性的な日本酒が続きました!日本酒の味の幅の広さに驚かされること間違いなしです。

2つ目の「純米酒系」が「シン・ツチダ」。はじめていただいたお酒ですが、まず出た感想が「カレーの味がする?」でした。それもそのはず。実は「プリンセスサリー」というインディカ米で作ったお酒なんです。地球温暖化を加味したお酒で、酒米も高温障害が発生して収穫量が減っているという背景があるということも伺いました。ジャポニカ米でなくても日本酒が作れるのだという、常識をひっくり返すような、エピソードたっぷりの一杯です。超芳醇な「うまみ」が特徴。

「シン・ツチダ」をいただく際には、日本で発見され、いまや国際的に認知されている「うまみ」を、かつおと昆布だけでとった「だし」と一緒にいただいて体感します。

うまみを体感するため「だし」もテイスティングする
うまみを体感するため「だし」もテイスティングする

塩やしょうゆで味付けしていないのにおいしい、それがうまみの正体であること解説していただきました。ここでもう一度「シン・ツチダ」を一口飲むと、うまみ同士が引き合ってうまみが倍増されたことが感じられます。ちなみに、うまみの強い日本酒は常に1種類入れているそうで、日本酒のラインナップが変わったとしても、うまみの飲み比べを体験することができます。

続いて、日本酒とは思えないような味わいである「モダン系」を2種類。
「モダン系」のお酒1種類目は、ほんのりとピンクに色づいたお酒です。ベリーっぽい甘酸っぱさがある「ピンクのかっぱ」は、赤色酵母で作ったお酒。ワインのような風味もあります。こちらも甘酸っぱさが好きなのと、ピンク色を入れるとお酒に色がついて見た目にも華やかになりそう、ということで○をつけておきます。

「月の桂 抱腹絶倒」は第一印象が、すっきりとした酸味。しかし甘さもあって、とてもバランスのいいお酒ということがわかります。こちらも好みのお酒で気になりました。

最後は「熟成酒系」。日本酒は熟成させておいしくなるということを知ってほしいとスタッフのかたはおっしゃっていました。それが「Assemblage Club 06 KOKA-古花-」。コクと少しの苦みがあって、複雑な紹興酒のような味わいでした。

日本酒にあまり親しんでこなかったかたにも製法によって味にちがいが出ることや、日本酒の懐の深さを知ってほしいということで、わかりやすい日本酒のラインナップにしているそうなのですが、本当にどれも特徴的な味で、そのちがいを楽しみながら試飲することができました。

さあ、続いては日本酒ブレンダーとしての第一歩!
○をつけたお酒を中心に、合計で40mlになるようにします。3種類の理由は、これ以上種類を増やしてしまうと調整がしにくいからだそうで、3種類くらいがちょうどいいとのことでした。

レシピに○をつけてお酒の割合を考える
レシピに○をつけてお酒の割合を考える

今回「英勲」、「神楽」、「ピンクのかっぱ」に○をつけましたが、「シン・ツチダ」のうまみの味が心に残っていたため、それも入れることにしました。
結局「英勲」を20ml、「シン・ツチダ」を15ml、「ピンクのかっぱ」を5mlで作ることに。

メスシリンダーの目盛りを見ながら、お酒を測っていきます。

お酒を測る
お酒を測る

測ったお酒は三角フラスコの中に入れます。これを繰り返して、3種類すべてのお酒をフラスコの中に入れます。この作業がまるで理科の実験!懐かしい気持ちにもなれる不思議な感覚でした。

お酒を測ったあとは三角フラスコに入れる
お酒を測ったあとは三角フラスコに入れる

フラスコを回して撹拌させたら、グラスに入れると完成です。

フラスコのなかで撹拌させる
フラスコのなかで撹拌させる
完成!
完成!

さあ、自分好みのお酒ができたのか、試飲してみましょう!
すっきりしつつも、「ピンクのかっぱ」で甘さを出し、「シン・ツチダ」でコクがでる仕上がりになりました。やはり、ピンときた好みのお酒だけを集めると、いままで味わったことのないようなドンピシャのおいしいお酒ができ、驚きました!

続いて、2回目のブレンドです。同じお酒を使い割合を変えたものを作るでもよし、気に入って調整がいらないと思えば、全く別のお酒を作ってもよし。どちらでも構いません。
今回は1回目で納得のいくお酒ができたので、ちがう種類のお酒を使ってちがう味わいのお酒も作ってみることにします。

「英勲」30ml、「神楽」5ml、「抱腹絶倒」5mlの3種類でトライします。同じようにメスシリンダーで測り、三角フラスコに入れ混ぜ、グラスに入れて完成です。
こちらも試飲してみるとかなり自分好みの味がします。甘さにトロピカルな甘酸っぱさが加わって、夏にゴクゴク飲みたくなるような味わいです。

2回の試作で、自分好みのブレンド酒が2種類できました!

ブレンド酒2種類
ブレンド酒2種類

できたブレンド酒も飲み比べしてみましょう。どちらのお酒がより好みかじっくりと検討します。
2回目に作ったもののほうがより好みかもしれない…ということで、持ち帰りする「マイサケ」は2回目のものに決定!

レシピノートに、確定したお酒とそれぞれの分量を書き記してスタッフのかたに渡してください。作ってもらっている間、ビンのラベルを決めます。4種類から選ぶことができます。黒と白のラベルのほか、花柄のものが2種類です。

ラベルを決めて、酒瓶に貼る
ラベルを決めて、酒瓶に貼る

今回は白色のラベルに。自分の名前と、日付、作った「マイサケ」の名前を決めて記します。

できあがったお酒は、入り口にある別棟の「SakeWorld牧野蔵」で瓶詰され、そちらの蔵の窓口で受け渡してもらえます。

できあがった「マイサケ」は入り口の別棟「SakeWorld牧野蔵」でお渡し
できあがった「マイサケ」は入り口の別棟「SakeWorld牧野蔵」でお渡し

「マイサケ」と、日本酒ブレンダー認定証を受け取りました。

瓶詰された「マイサケ」!
瓶詰された「マイサケ」!

できた「マイサケ」は、レシピが蔵に保存されているので、国内であればラインナップが変わるまで(最長半年間)は、リピートして購入することができます。

「My Sake World京都河原町店」ではブレンド体験だけでなく、日本酒の飲み比べ体験だけも行うことが可能です。飲み比べ体験でもスタッフのかたにそれぞれの銘柄を詳しく紹介してもらいながら飲むことができるので、飲食店での飲み比べセットとはちがい、深く日本酒を理解しながら飲むことができてオススメです。

まとめ

日本酒はひとつの銘柄をそのまま味わうイメージが強かったですが、歴史をさかのぼると「合酒」という言葉が記録に残っているなど、お酒を調合する文化も日本酒の歩みの一部だということがわかりました。日本酒のブレンド体験を通して、米と水のおいしさや、日本文化に改めて触れることができました。お気に入りの銘柄を探す楽しみに加えて、自分だけの味を生み出す楽しさを知れる体験だと感じました。

自分の直感を信じて作った「マイサケ」は、お気に入りの1本になりました!今回の取材では1人で行き、日本酒と真剣に向き合って黙々と作る楽しさがありました。実は「My Sake World京都河原町店」には、過去に友人と一緒に訪ねたこともありました。その時は友人のお酒の好みと自分の好みが似ていて、ベースとなるお酒がほとんど一緒だったのですが、友人が作った「マイサケ」を飲ませてもらうと、1種類だけお酒が違ったり、分量が少し違ったりするだけで、全く別物の香りと味のブレンド酒ができることに驚きました。複数人で行くと、友人の好みを知れて楽しい時間になること間違いなしです。

また、ブレンドするお酒8種類は、人気のお酒は残しますが、半年に一度はほぼすべて入れ替えるということなので、何度も来たくなる体験だなと感じます。
ぜひ「My Sake World京都河原町店」で、江戸時代からある日本酒のブレンドという文化を、体感してみてください!

元村颯香

筆者

フリーアナウンサー

元村颯香

伝統文化や芸能、歴史を中心に発信