【銀山温泉の観光ガイド】古き良き日本を感じられる寛ぎのひと時を
古き良き日本の風景を残す「銀山温泉」。
自然に囲まれ洋風の木造多層建築が建ち並ぶ温泉街は、ノスタルジックな雰囲気を満喫できる。
日常を離れてゆったりと過ごせるのが「銀山温泉」の魅力だ。
「銀山温泉」で日本の古き良き文化を体感するために、この記事で紹介する観光スポットやお勧め観光シーズン、宿泊施設などをぜひ参考にしてほしい。
目次
銀山温泉ってどんなところ?
山形県尾花沢市に位置する「銀山温泉」。
山形県は全市町村に温泉が湧き、どこへ行っても温泉が楽しめる「温泉天国」だ。
そんな山形県の中でも特に有名な「銀山温泉」は、江戸時代から栄える歴史ある温泉街。
昭和初期に建て替えられた和洋折衷の木造多層建築が、銀山川の両岸に建ち並ぶ景観はノスタルジックな雰囲気を醸し出す。
モダンな旅館の外装に装飾された、「鏝絵(こてえ)」と呼ばれるレリーフも見どころのひとつ。
NHK朝の連続テレビ小説「おしん」の舞台であり、映画「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルになったといわれていることからも、街並みが魅力的なことがわかるだろう。
温泉街にはご当地グルメも満載。
温泉まんじゅうやくるみが入った餅菓子、スイカを使った漬物など、個性豊かなご当地グルメを楽しもう。
旅館の温泉以外にも、共同浴場が1ヶ所と銀山川沿いに無料の足湯が1ヶ所ある。
風情たっぷりの街並みを眺めながらの足湯は魅力のひとつだ。
「銀山温泉」の泉質は、微かな塩味を含んだ硫黄泉。疲労回復や健康増進、病後回復期などにも効果がある。その効能から、湯治場(温泉宿に長期滞在して療養する場所)として重宝されてきた。
ノスタルジックな温泉街で湯浴みを楽しんだり、地元のお蕎麦やスイーツを満喫したり、日常を忘れてゆっくりした時間を過ごせる。
スイーツを片手に散策しながら、色鮮やかな「鏝絵」も楽しんでほしい。
周辺には「白銀の滝」や「延沢銀山遺跡」など見どころも多いので、温泉街だけでなく銀山温泉周辺も散策してみよう。
銀山温泉の歴史
江戸時代に栄えた延沢銀山(のべさわぎんざん)の採掘とともに、歴史を歩んだ「銀山温泉」。
「銀山温泉」という名前は、延沢銀山からつけられている。
炭鉱労働者が銀山川の川辺に湧く温泉を発見し、江戸時代から明治時代にかけて湯治場として賑わった。
人気を博した「銀山温泉」だが、1913年の川の氾濫によって温泉街は壊滅。
その後、地元財界の協力のもと昭和初期ごろに、銀山川の両岸に洋風な木造多層建築が立ち並ぶ、現在の景観に近い状態まで復興。
しかし、観光地・温泉地としての人気は低迷していた。
1999年の新幹線延伸によって、「銀山温泉」までのアクセスが良くなったことをきっかけに、観光客が再び増加。人気の温泉地として「銀山温泉」は蘇った。
銀山温泉へのアクセス
国際線の発着もある「山形空港」から、「銀山温泉」までのアクセスを紹介しよう。
「山形空港」から「銀山温泉」までは、バスかタクシーの2つのアクセス方法がある。
「おいしい山形空港観光バス」を利用する場合の所要時間は、約1時間15分。予約不要で利用でき、銀山温泉までのバス代は2,000円
飛行機の到着に合わせて運行しているバスなので利用しやすいが、1日に2本運行していないので、乗り逃さないように注意してほしい。
タクシーを利用する場合は、「おいしい山形空港観光ライナー」がお勧め。
前日17時までの事前予約が必要だが、「銀山温泉」まで約1時間、料金は2,600円で移動できる。
飛行機の到着から15分後に出発し、飛行機が出発する40分前に到着するよう運行しているのも便利だ。
2024年冬季から始まる交通規制と入場制限
銀山温泉では、2024年12月20日から2025年3月31日まで、交通規制と入場制限が実施される。
冬季間の無理な観光計画で思わぬ事案が発生し、銀山温泉のスタッフが早朝から夜間まで救出作業を行う状況になっていたため、観光客の安全を守るために規制と制限を実施することが決定した。
これから紹介する規制と制限の内容は、2024年10月4日時点に発表されたものであり、変更される可能性がある。
2024年から2025年の冬季に銀山温泉へ訪れる予定がある方は、充分に調べてから観光計画を立ててほしい。
交通規制の内容
交通規制の期間内は、銀山温泉街から約1km離れた「大正ろまん館」の駐車場発の有料シャトルバスでしかアクセスできない。
レンタカーやマイカーでアクセスする場合も、大正ろまん館の駐車場に車を止めて、シャトルバスに乗り換える必要がある。
もちろん、規制区間を歩いて温泉街まで向かうことも、人命に関わるため禁止だ。
- 交通規制区間
- 十分一関所跡から銀山温泉方面への県道188号線
- 交通規制時間
- 16:00〜翌10:00(毎日実施)
- 規制対象
-
日帰り観光客
※銀山温泉に宿泊する方は、宿泊施設の駐車場まで入域可
入場制限の内容
主に夕方から翌朝まで、日帰り観光客は銀山温泉街へ入れなくなる。
昼間は日帰り観光客でも入れるが、チケット制になるため、事前にオンラインでチケットを購入する必要がある。
- 入場制限時間
- 17:00〜翌10:00(毎日実施)
- 規制対象
-
日帰り観光客
※飲食店・宿泊施設予約の方を除く
銀山温泉のお勧め観光シーズンは?
最も美しい景観を堪能したいなら、冬の「銀山温泉」がお勧めだ。
雪化粧をした温泉街がガス灯のオレンジの光に照らされた、幻想的な景観を楽しめる。
大正ロマンあふれる雪景色の温泉郷を見るために、冬に訪れる観光客も多い。
寒い冬ならではの雪見風呂も魅力のひとつ。
しんしんと降り積もる雪を見ながら温かい温泉に浸かれる、至福のひとときを体感してほしい。
「銀山温泉」がある地域は豪雪地帯で、12月上旬から雪が降り始める。
積雪量のピークは1月〜3月下旬まで、1メートル以上の積雪となるため防寒対策は必須だ。
温泉だけじゃない!様々な楽しみ方ができる銀山温泉の観光スポット6選
「銀山温泉」では温泉を楽しむだけでなく、浴衣と下駄に着替えて温泉街を散策したり、周辺の自然景観を楽しんだりと、様々な楽しみ方ができる。
「銀山温泉」の数ある見どころの中でも、外せない見どころを厳選して紹介しよう。
1. 共同浴場しろがね湯
16世紀に銀山として栄え、江戸時代後期の享保年間(1741)には温泉地としてすでに人気を集めていた銀山温泉。
その名は、江戸時代の「諸国温泉効能鑑」にも名称が記されるほど、古くから全国に知られている温泉地だ。
現在は、明治後期から大正期に建てられたレトロモダンな建物が建ち並ぶ、情緒あふれる温泉街として人気。
そんな温泉街に佇む日帰り入浴施設が、「共同浴場しろがね湯」だ。
2. 和楽足湯
大正から昭和初期にかけて建築された温泉旅館が建ち並ぶ「銀山温泉」温泉街の入口にある、共同足湯「和楽足湯(わらしゆ)」。
2001年に完成した無料で楽しめる足湯で、温泉街の中心を流れる銀山川沿いにあり、温泉宿でも使用される銀山温泉の源泉を使用している。
3. 白銀の滝
温泉街周辺に整備された散策路を少し奥へ行くと自然豊かな「白銀公園」がある。
その入口にあるのが落差22メートル、大小2本の滝「白銀の滝」だ。
白銀の滝は滝壺の近くまで歩いて行くことも可能で、滝壺へ落ちていく水を間近で見られる。
水しぶきをあげながら流れ落ちる滝の様子は涼やかで、夏は納涼にもおすすめだ。
4. 銀山観光センター 大正ろまん館
市街地から少し離れた場所に位置する、銀山温泉へのアクセス途中にあるのが、観光センター「銀山観光センター 大正ろまん館」。
大型バスも駐車できる広大な駐車場を兼ね備えるほか、多目的バリアフリートイレや休憩室も完備する、ドライブ途中にうれしい施設だ。
館内には、揚げパンにずんだやあんこを挟んだ「揚げパン」や「銀山のお月さま」など、ろまん館限定の商品や「銀山まんじゅう」や「かりんとうまんじゅう」など山形土産の定番商品まで揃う土産処などが入っている。
5. 徳良湖
山形を代表する祭で、東北四大祭りのひとつ「花笠踊り」発祥の地である徳良湖は、大正時代に造られた人造湖。
2010年には農林水産省により「ため池百選」にも選出されたこの湖の工事の際に唄われた土つき唄から、「花笠踊り」が生まれたとされている。
6. 伊豆こけし工房 本店
大正14年(1915)に木地職人が県から銀山温泉に派遣され、技術を伝授されたことから玩具としてつくられるようになった「銀山こけし」。
昭和58年(1983)に放送された朝の連続テレビ小説「おしん」にも登場したことから「おしんこけし」とも呼ばれ、銀山温泉土産の一つとして人気を集めている。
五感で和を感じられる!銀山温泉でお勧めの旅館5選
「銀山温泉」には、趣ある建物の温泉旅館が建ち並ぶ。
「銀山温泉」の観光拠点であり、温泉に入って寛ぐ場所となる旅館選びは、温泉街を満喫する上でとても大切だ。
大正ロマンあふれる、伝統的な老舗旅館を4つに厳選してご紹介。
1. 能登屋旅館
銀山川の両岸に木造の温泉旅館が立ち並ぶ温泉街沿いにあり、本館は登録有形文化財に指定されている。
大浴場の他に2つの露天風呂や洞窟風呂など異なる風呂に入れるのも魅力のひとつ。硫黄の香りがほのかに香る温泉の効能は神経痛や皮膚病など多岐にわたる。夕食は地元の食材を贅沢に使った会席料理。
2. 古勢起屋別館
天保年間(1831-1845)頃から「古勢起屋」の名で、長期間温泉地に滞在して温泉療養する「湯治」のための宿を開業したとされる老舗温泉宿だ。
銀山川のほとり、温泉街の中心地にあるこちらの宿は、大正ロマン漂う木造和風建築で風情あふれる佇まい。
2016年にリニューアルした最上階5階の「浪漫客室」をはじめ、客室は川側・山側それぞれ二間続きのゆったりとした間取りで、くつろぎのステイを実現する。
3. 瀧見舘
大正ロマンあふれるまち並みが広がる銀山温泉の、中心街より少し離れた高台に位置する隠れ家のような温泉宿。
和モダンの落ち着いた空間でくつろぐことができる全客室から、銀山温泉の山々を望むことができる、自然に包まれたロケーションが魅力だ。
温泉は日帰り入浴も可能。「瀧見舘」の名の通り、白銀の滝を眼下に見下ろす展望露天風呂では、冬の雪景色や秋の紅葉、夏の新緑など四季折々の美しい景観を眺めながらの湯浴みを楽しめる。
4. 八室の宿 藤屋
建築家・隈研吾氏による設計のスタイリッシュな建物がひときわ目を引く温泉宿「銀山温泉 八室の宿 藤屋」。
創業は江戸時代まで遡る老舗温泉宿を、2006年にリノベーション。
まち並みに溶け込む木造3階建ての外観ながら、館内は竹製のフィルター「簾虫籠(すむしこ)」とステンドグラスのフィルター「ヴェールダルト」で仕切られた、モダンな空間が広がっている。
5. 仙峡の宿 銀山荘
銀山温泉の中心街から徒歩5分ほどの場所に佇む温泉宿。
喧騒とは離れ、静かな空間で銀山温泉と滋味深い食、落ち着いた和の空間が広がる客室などでゆったりとリラックスしたステイを楽しむことができる。
素朴で美味しいグルメを満喫!銀山温泉で人気の飲食店3選
「銀山温泉」では、風味豊かな手打ち蕎麦からカフェや食べ歩きスイーツなど、様々なグルメを楽しめる。
素朴ながらも素材を生かしたグルメをぜひ堪能してほしい。
大正時代の衣装に着替えられる、個性的なカフェも利用してみよう。
数あるグルメの中でも、外せないグルメを厳選して紹介しよう。
1. 野川とうふや
銀山温泉の入り口、「和楽足湯」すぐそばで営業する元祖銀山とうふのお店。
民家のような店舗に「とうふや」の看板が目印で、隣では昔、理髪店を営業していた。
玄関を入るとカウンターがあり、そこで注文するスタイル。
豆腐は木綿で、すべて手作りの数量限定。
2. あいらすげーな
温泉街を楽しむならぜひ利用したいのが、銀山温泉の入り口で営業する、貸衣装&カフェ「あいらすげーな」だ。
用意するのは、大正時代に日本で流行した「はいからさんスタイル」の衣装。
衣装に身を包んで温泉街を散策すれば、大正時代にタイムトリップ。
オープンデッキが特徴的なカフェスペースで、コーヒーなどのドリンクを楽しむことも。温泉街散策の一休みにもおすすめだ。
3. 伊豆の華
昭和27年(1957)に町の食堂としてオープン。
2013年には築140年の古民家を改築、現在の場所でリニューアルオープンしたカフェ兼食事処だ。
名物は創業当時から代々受け継がれた製法でつくる「蕎麦」。
そば処としても知られる山形県の尾花沢産のそば粉「最上早生」を使用した蕎麦を、鰹出汁の自家製つゆでいただこう。
銀山温泉の次の日はココ!美人づくりの湯で知られる「蔵王温泉」
「銀山温泉」からバスと電車を乗り継げば、2時間程度で移動できる場所にあるため、2泊目は「蔵王温泉」に泊まってほしい。
「蔵王温泉」は47の源泉から1日8,700トンと豊富な湯量を誇り、温泉街には3つの共同浴場、4つの足湯、5つの日帰り温泉施設が点在する。
110年に開湯したとされる自然湧出の温泉で、強酸性の硫黄泉は表皮の殺菌作用や皮膚を強くする作用があり、「美人づくり」の湯として知られている。
なかでも源泉掛け流しの蔵王温泉大露天風呂は大人気のスポット。
川のせせらぎを聞きながら、硫黄の香りと白濁した温泉に浸れる。
1月下旬から2月であれば、山形蔵王で山形が誇る冬の絶景「蔵王樹氷」も見られる。
銀山温泉に関するよくある質問
Q
映画「千と千尋の神隠し」の旅館のモデルは銀山温泉?
「千と千尋の神隠し」のモデルとなったと言われていますが、公式からの言及はありません。
Q
銀山温泉へのアクセスは?
国際線の発着もある「山形空港」からは、バスとタクシーでアクセスできます。
まとめ
大正時代の面影を残す「銀山温泉」の観光スポットやグルメ、宿泊施設などを紹介してきた。
この記事を参考に、タイムスリップした気持ちになれるレトロな景観と、温泉とグルメを楽しもう。
「銀山温泉」を満喫したら、魅力あふれる山形県の定番観光スポットも、こちらの記事も参考に楽しもう。