【奈良公園の観光ガイド】歴史と自然が織りなす情緒溢れる景観を散策

更新 :
筆者 : GOOD LUCK TRIP

奈良の観光スポットの中でも、高い人気を誇る「奈良公園」。
敷地内には貴重な歴史的文化遺産が点在しており、京都より古い日本の歴史と四季折々の自然景観を楽しめる。
見どころが多い「奈良公園」を満喫できるように、この記事で外せない見どころやその魅力、お勧めの観光シーズンなどを予習しておこう。

目次

奈良公園ってどんなところ?

奈良県奈良市、5.11㎢と広大な敷地を持つ「奈良公園」。
国の名勝に指定されているだけでなく、敷地内の歴史的文化遺産とともに「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録されている。
敷地内には貴重な歴史的建造物が点在しており、中でも「奈良の大仏」がある「東大寺」や世界遺産である「春日大社」、「興福寺」は必見。
豊かな自然も魅力のひとつで、「春日山原始林」や「春日大社ナギ樹林」など、国の天然記念物に指定されているものも多い。
園内に生息する鹿と触れ合えるのも「奈良公園」の特徴だ。
「ライトアッププロムナード」や「鹿の角切り」、「若草山焼き」など、1年を通して多くのイベントや行事が開催されている。
「奈良公園」に歴史的文化遺産が集まっている理由は、奈良に首都があった奈良時代(710〜784年)に、日本の中心として発展したからだ。
東大寺三月堂や南大門、興福寺などの建立を経て、1880年に「奈良公園」として開設。1897年には楓・桜・柳・松・百日紅・杉を植樹がされ、自然豊かな景観が造られた。
奈良時代から残る歴史的文化遺産と四季折々の自然が調和した、日本風情あふれる空間をゆっくり散策してみよう。

歴史的文化遺産と自然が調和する景観は実に美しい
歴史的文化遺産と自然が調和する景観は実に美しい

奈良公園へのアクセス

奈良観光の移動拠点であり、「奈良公園」の最寄り駅となる、「JR奈良駅」からのアクセスを案内しよう。
徒歩だと約20分かかるため、バスでアクセスすることをお勧めする。
バスは2種類あるが、土曜日・日曜日・祝日に利用するなら、1回100円の「ぐるっとバス」がお勧めだ。
どちらもバス停からは徒歩3分で、駅からの所要時間は15分前後。

種類 経路 利用できる日
市内循環バス 外回りへ乗車し、「県庁前」で下車 毎日
ぐるっとバス 奈良公園ルートへ乗車し、「県庁前」で下車 土曜日・日曜日・祝日

奈良公園の営業時間と入場料

「奈良公園」は年中無休、24時間解放されており、入場料も無料だ。
園内の各施設はそれぞれ営業時間と入場料が異なるため、行きたい施設がある場合は、事前に調べておこう。

奈良公園のお勧め観光シーズンは?

どの季節に訪れても美しい景観を見られるが、「奈良公園」のお勧め観光シーズンは春と秋だ。
桜と紅葉の名所なので、見頃には驚くほど見事な景色を楽しめる。
観光のタイミングを調整できるなら、ぜひ春か秋に訪れてほしい。

歴史的建造物と桜が織りなす春の風情あふれる奈良公園

春を勧める理由は、「桜の名所100選」に選ばれた景色を眺めてほしいからだ。
園内には約1,500本の桜が植えられており、歴史的建造物とのコラボレーションが楽しめる。
特に鷺池に浮かぶ浮見堂とライトアップされた夜桜が織りなす、幻想的な空間は必見だ。
桜の見頃は4月下旬から5月上旬。少し早い2月下旬〜3月中旬なら、250本の梅が咲き誇る景観も楽しめる。

浮御堂と桜のコラボレーションは必見
浮御堂と桜のコラボレーションは必見
満開の桜の中を鹿が散歩している姿に心が和む
満開の桜の中を鹿が散歩している姿に心が和む

様々な色彩とバリエーションの紅葉が見られる秋の奈良公園

鮮やかな紅葉で彩られる、秋の「奈良公園」もお勧めだ。
敷地内の神社仏閣が紅や黄色に染まり、日本ならではの美しい景色を様々なシチュエーションで見られる。
10月下旬はイチョウ、11月中旬~12月初旬は約800本のカエデやモミジと、時期によっても異なる景色が見られるのも特徴のひとつだ。

紅葉の中を歩く鹿は神々しくも見える
紅葉の中を歩く鹿は神々しくも見える
桜の時期と異なる魅力を持つ秋の浮見堂
桜の時期と異なる魅力を持つ秋の浮見堂

豊かな歴史と自然を満喫できる!奈良公園で訪れるべき観光スポット7選

「奈良公園」には豊かな歴史と自然を満喫できる、魅力的なスポットが盛りだくさん。
その中でも絶対に外せないスポットを紹介するので、「奈良公園」を訪れたら必ず足を運んでほしい。

1. 東大寺

「奈良の大仏さま」として親しまれている盧舎那仏坐像が安置される世界最大級の木造建造物、大仏殿をはじめ、東大寺建築のなかで最も古い法華堂(三月堂)、国内最大の山門である南大門など境内には国宝建造物が多数。
二度の戦禍を免れ、創建時の伽藍建築の面影をみることができる正倉院西側の転害門も見どころ。

奈良時代に創建された寺院で、「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録される
奈良時代に創建された寺院で、「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録される

2. 興福寺

藤原鎌足の私邸、山階寺として山背国・山階陶原(やましろのくに・やましなすえはら)に建てられたのがはじまりで、和銅3(710)年、平城京遷都にともない藤原不比等の計画により現在の場所に移され、「興福寺」と改名。
境内には鎌倉時代に再建された北円堂をはじめ室町時代に再建された五重塔や東金堂など国宝建築物や江戸時代に再建された南円堂などの重要文化財が立ち並ぶ。

世界遺産に登録される古刹で、奈良時代の四大寺のひとつとして栄えた寺院
世界遺産に登録される古刹で、奈良時代の四大寺のひとつとして栄えた寺院

3. 春日大社

御蓋山(春日山)は古来より神様が鎮まる聖地として信仰を集めた神山。
平安時代には狩猟・伐採が禁じられたことから原生林が現在も残り、国の特別天然記念物にも指定されている。
1998年には春日大社および春日山原始林は世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつとして登録された。
境内にある「国宝殿」は国宝・重要文化財を含む約3,000点を収蔵する美術館。
平安時代に造られた神宝や、日本を代表する甲冑や刀剣等武器武具などを展示しており、「平安の正倉院」と称されている。

平城京の守護と国の繁栄のために創建された全国に約3,000社ある春日神社の総本山。春日原生林を背景に広がり、世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつに認定されている。
平城京の守護と国の繁栄のために創建された全国に約3,000社ある春日神社の総本山。春日原生林を背景に広がり、世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつに認定されている。

4. 若草山

若草山は、標高342メートル。山全体が芝生で覆われた、なだらかな山である。3つの笠を重ねたように見えるため、別名「三笠山」とも呼ばれる。奈良の伝統行事であり毎年1月に行われる、山焼きでも有名。
山麓ゲートから山頂までは、徒歩30分程度で登ることができる。頂上からは興福寺、東大寺など、奈良の景観を見渡せる。

奈良市街を見渡すことができ、夜景も美しい絶景スポット。年に一度の山焼きでも知られる
奈良市街を見渡すことができ、夜景も美しい絶景スポット。年に一度の山焼きでも知られる

5. 奈良国立博物館

国内2番目の国立博物館として1895(明治28)年に開館。
飛鳥時代から鎌倉時代までの日本の仏教美術を中心に、仏像や物がなど、国宝や重要文化財を数多く所有する。
東大寺、興福寺、春日大社などに囲まれた奈良公園の一角にあり、ゆったりとした環境で仏教美術やその背景にある豊かな歴史や文化が学べる。

国内で2番目に開館した国立博物館。仏教美術を中心に数多くの国宝・重要文化財を所蔵し、その背景にある豊かな歴史や文化が学べる
国内で2番目に開館した国立博物館。仏教美術を中心に数多くの国宝・重要文化財を所蔵し、その背景にある豊かな歴史や文化が学べる

6. 浅茅ヶ原園地・浮見堂

広大な敷地内に文化遺産が点在する「奈良公園」の一角にあるのが「浅茅ヶ原園地」。
公園の南側、「春日大社」の一之鳥居から本殿に通じる参道南側に広がる丘陵地で、地形の変化に富んだ景勝地として知られている。
とくに「浮見堂」が建つ鷺池の景観は圧巻の美しさだ。

池の上に浮かぶように建つお堂が美しい、水辺の景勝ポイント
池の上に浮かぶように建つお堂が美しい、水辺の景勝ポイント

7. 猿沢池園地

春日大社や興福寺などの文化遺産と、雄大で豊かな自然景観を有する「奈良公園」。
そんな奈良公園の中でも市街地に近く、訪れやすい場所にある景勝ポイントが「猿沢池園地」だ。
三条通りの商店街を通り抜けた場所にある周囲360メートルの人工池で、周りには柳が植えられ風情たっぷり。

五重塔が水面に映る、奈良公園内の景勝地
五重塔が水面に映る、奈良公園内の景勝地

神の使いとして保護されている鹿と触れ合おう

「奈良公園」に訪れたら、歴史的文化遺産と自然景観を楽しむだけでなく、鹿との触れ合いも楽しんでほしい。
「春日大社」で祀っている神さまが白い鹿に乗ってきたという逸話から、昔から神の使いとして鹿は手厚く保護されている。
そのため、「奈良公園」には約1,200頭もの鹿が生息している。
園内の売店と自動販売機で鹿せんべいを購入すれば、餌付けも可能。
ただ、病気になる恐れがあるので、鹿せんべい以外は与えないでほしい。
鹿は人に慣れているが、手荷物を奪われないように注意しよう。

鹿と触れ合えるのも奈良公園の魅力のひとつだ
鹿と触れ合えるのも奈良公園の魅力のひとつだ

奈良公園の周辺観光スポット3選

「奈良公園」の敷地内だけでなく、その周辺には歴史を感じられる観光スポットが盛りだくさん。
京都よりも古い歴史が残る、奈良の観光スポットを満喫しよう。

1. 元興寺

6世紀末、蘇我馬子によって明日香村に開かれた日本最古の本格的な仏教寺院である飛鳥寺が前身。その後平城京遷都によって平城京内に移され、名前も元興寺に改まった。
8資産群から成る「古都奈良の文化財」のひとつとして、旧僧坊である「極楽堂(極楽坊本堂)」と「禅室(極楽坊禅室)」が世界文化遺産に登録されている。
屋根の一部には飛鳥寺から移築した瓦が現存し、往時の雰囲気を伝えている。

1300年もの歴史をもつ風格ある世界遺産
1300年もの歴史をもつ風格ある世界遺産

2. ならまち

京都や金沢と並ぶ、全国的にも希少な奈良の旧市街地。
元興寺の旧境内を中心としたエリアに江戸時代から明治時代に建てられた町家が今も残り、レトロな街歩きが楽しめる。
現在はレトロな街並みの中にカフェや飲食店、雑貨店が並び、幅広い世代が訪れる観光スポットになっている。
「奈良町南観光案内所」はかつて点在していた町家を活用した観光案内所。受付窓口に散策マップが設置され、エリアを散策する前にまず訪れるのがお勧めだ。

元興寺の旧境内を中心に広がる奈良の旧市街地。江戸時代から明治時代にかけての町家が残り、カフェや雑貨店などが集まる街歩きが楽しい観光スポットになっている
元興寺の旧境内を中心に広がる奈良の旧市街地。江戸時代から明治時代にかけての町家が残り、カフェや雑貨店などが集まる街歩きが楽しい観光スポットになっている

3. 平城宮跡歴史公園

710年の平城京遷都により日本の都として栄えた場所。
唐の都・長安をモデルにした約2,500haの総面積を誇る大規模な都には10万人以上の人びとが暮らしていたとされている。
「平城宮」は平城京の中核施設で、天皇の住まいとして政治や行事が行われていた。
現在は復元された朱雀門、第一次大極殿、第一次大極殿院 南門(復元中)、第二次大極殿、東院庭園などが「平城宮跡歴史公園」として整備・保存されている。

約1,300年前に作られた都の跡。世界遺産にも登録される日本を代表する歴史・文化遺産で、現在は史跡を利用した国営公園に整備されている
約1,300年前に作られた都の跡。世界遺産にも登録される日本を代表する歴史・文化遺産で、現在は史跡を利用した国営公園に整備されている

奈良公園に関するよくある質問

Q

奈良公園の桜の見頃は?

A

種類にもよりますが、4月上旬〜5月上旬です。

Q

奈良公園の紅葉の見頃は?

A

10月下旬〜12月初旬まで楽しめます。

Q

奈良公園が開放されている時間は?

A

365日24時間、いつでも開放されています。

まとめ

見どころが多い「奈良公園」を観光する前に知っておくべき、魅力や見どころ、お勧めの観光シーズンなどを紹介してきた。
この記事を参考に歴史的文化遺産を巡りながら、古都・奈良の香りを感じてみよう。
京都よりも古い歴史を持つ奈良には、この記事で紹介した観光スポット以外にも、魅力的なスポットがたくさんある。
奈良を遊び尽くしたいなら、お勧めの観光スポットやグルメを紹介している、こちらの記事も参考にしてほしい。