
【熊出没情報・熊出現マップまとめ】旅行を安全に楽しむための基礎知識とポイント
2025年秋、連日のように熊の出没情報、被害件数が日本で報道されている。
ニュースを見て不安を覚えた人も多いだろう。
事実として深刻な状況だが、全エリアが危険というわけではなく、正しい知識と充分な対策を講じれば必要以上に恐れる心配はない。
この記事では、熊の生態・出没エリアから、知っておくべき熊対策、遭遇した時の対応まで幅広く紹介する。
最後まで読めば、熊問題の現状を理解し、安心かつ安全に旅行を楽しめるはずだ。
日本に生息する熊の種類と特徴
| 種類 | 体長・体重(平均値) | 特徴・性格 |
|---|---|---|
| ヒグマ |
オス:体長1.5m〜2m、体重150〜250kg メス:体長1.4m〜1.7m、体重60〜150kg |
・国内最大級の陸上哺乳類 ・雑食性(サケ、木の実など多様なものを食べる) ・好奇心旺盛で、空腹時や驚くと攻撃的になる |
| ツキノワグマ |
オス:体長1.2m〜1.5m、体重40〜100kg メス:体長1m〜1.3m、体重30〜60kg |
・胸部に白い三日月模様があるのが基本(ない個体も生息) ・雑食性(植物の実や昆虫などが中心に食べる) ・基本的におとなしく、臆病で人間を避ける |


日本に生息する熊の生態
春から夏にかけては体重が減り、秋は食欲が増す飽食期を迎え、冬眠に備えて活発に食べ物を探し回る。
一般的には昼行性だが、秋は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)に変わり、1日の活動時間が夜間を含めて長くなるのが特徴だ。
人里・登山道で熊と遭遇する時間帯が広がり、結果として秋の出没・被害が増加傾向にある。
地域差・気候によるが、11月下旬〜12月頃から絶食状態が続く冬眠期に入り、3月〜5月頃に出てくることが多い。

2025年は熊の出没件数と被害が増加
2025年度、日本では熊の出没件数および人身被害が過去最悪のペースで推移している。
原因は複合的だが、一言で表すなら「自然環境と社会構造の変化が複雑に絡み合った結果」。
近年、木の実(ブナ・ミズナラなど)の不作・減少が顕著で、熊が山中で充分な食料の確保が困難になったため、人里への出没機会が増えた。
気候変動・異常気象の影響で生態のリズムが乱れつつあるのも要因のひとつ。
また、地方の過疎化・高齢化により里山の緩衝帯が失われ、生活圏の境界線が曖昧になっている。
加えて人間を恐れず、住宅地や観光地にも出没する“アーバンベア”の存在も被害の深刻さを物語る。
つまり、熊問題は現在だけではなく、長期的な対応が必要だ。

日本全国の熊の出没件数と人身被害件数
以下の表は、2025年4月から9月までの熊の出没件数と人身被害件数をエリア別に集計したものだ。
北海道は熊の出没件数を未公表、九州地方および沖縄県については熊が生息していないため、調査対象外となっている。
| エリア | 出没件数 | 人身被害件数 |
|---|---|---|
| 北海道 | 公表データなし | 4 |
| 東北地方 | 11,198 | 61 |
| 関東地方 | 845 | 7 |
| 中部地方 | 1,419 | 30 |
| 北陸地方 | 1,836 | 11 |
| 関西地方 | 1,102 | 5 |
| 中国地方 | 1,005 | 1 |
| 四国地方 | 10 | 0 |
| 九州地方 | - | 0 |
| 沖縄 | - | 0 |
事前に確認しておくべき全国各地の熊出現マップ
各都道府県や公共性の高い機関が作成した熊出現マップを紹介する。
このマップを見れば、都道府県・地域ごとに熊の分布状況がわかるので、事前に危険や被害を避けられる。
一部の県は未作成だが、日本旅行を予定中の方は該当エリアのマップを確認しながら、安全なプランを立ててほしい。
北海道・東北地方の熊出現マップ
- 北海道
- ひぐまっぷ
- 青森県
- 熊出没マップ
- 秋田県
- クマダス
- 岩手県
- ツキノワグマ人身被害状況マップ
- 山形県
- R7クマ目撃マップ
- 宮城県
- 令和7年度クマ目撃等情報マップ
- 福島県
- R07年度クマ目撃マップ
関東地方の熊出現マップ
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県から成る、関東地方の熊出現マップは以下のリンク先から確認してほしい。
2025年11月時点では、茨城県・千葉県・神奈川県には熊出現マップが作成されていない。
- 栃木県
- とちぎのクマ目撃情報2025
- 群馬県
- 群馬県クマ出没マップ
- 埼玉県
- 埼玉県ツキノワグマ出没マップ
- 東京都
- 東京都ツキノワグマ目撃等情報マップ 〜TOKYO熊っぷ〜
中部地方の熊出現マップ
- 山梨県
- ツキノワグマ出没マップ
- 長野県
- 令和7年度ツキノワグマ情報マップ
- 岐阜県
- 岐阜県クママップ
- 静岡県
- 令和7年度クマ出没マップ
北陸地方の熊出現マップ
- 新潟県
- にいがたクマ出没マップ(R7最新情報)
- 富山県
- クマっぷ
- 石川県
- R7 ツキノワグマ目撃・痕跡情報
- 福井県
- 福井クマ情報
関西地方の熊出現マップ
- 大阪府
- 大阪府クマ出没マップ
- 京都府
- クマ出没情報マップ
- 三重県
- ツキノワグマ出没情報マップ
中国地方の熊出現マップ
- 鳥取県・島根県
- 島根県・鳥取県熊目撃マップ
- 山口県
- YPクマっぷ(2025)
四国地方の熊出現マップ
- 高知県・徳島県
- ツキノワグマの目撃情報
熊との遭遇リスクを予測してくれる「クマ遭遇AI予測マップ」
「クマ遭遇AI予測マップ」は、人工知能(AI)を用いて日本各地の熊遭遇リスクを科学的に予測し、危険な場所が可視化された地図をオンラインで公開したもの。
上智大学の研究チームが開発に取り組んでおり、過去の熊の遭遇データ、地形、植生、人口分布、気象条件など多様な環境情報を活用し機械学習によって分析、予測している。
適合率・再現率も示され、熊が出没しやすい場所の傾向を掴めるのも特徴だ。
2025年11月時点で札幌市・秋田県・東京都など19地域に対応し、各ページから詳細な情報を閲覧できる。
マップは、1km四方ごとにリスクを5段階(非常に高い〜低い)のグラデーションで表現しており、赤色に近いほど熊との遭遇確率が高いことを示す。
ただ、注意喚起が目的のツールかつ開発途上で、確実な情報を保証するものではない。
それでも、予測の的中事例があり、事前の安全対策に役立つため、自治体の最新情報と併せたマップの活用がお勧めだ。

熊の出没を気にせずに旅行を楽しみたい人にお勧めのエリア
熊による被害を避けたい方は、熊の出没が少ない、もしくは生息していない地域への旅行を計画しよう。
特にお勧めなのが、千葉県・四国地方・九州地方・沖縄の4エリア。
いずれも野生の熊と接触するリスクが極めて低いため、自然を満喫しながらも安全かつ安心に過ごせる。
美しい海・歴史的な街並み・有名なエンターテインメント施設・日本有数の温泉地など、異なる見どころがあり、相手や目的に応じて楽しめるのもポイント。
特に小さな子供がいるファミリー、キャンプ・ハイキングといったアウトドアアクティビティが好きな方にぴったり。
ここからは各地域の魅力と人気観光スポットを紹介するので、旅行先選びの参考にしてほしい。
東京から日帰りでも観光できる「千葉県」
「千葉」は、関東地方の南東部に位置し、東京の東側に広がる。
大部分を房総半島が占めており、太平洋と東京湾に囲まれた起伏の少ない地形を持つ。
日本の空の玄関口「成田国際空港」があり、国内外の旅行者・ビジネスパーソンの重要拠点というのも特徴。
都心からのアクセスに優れるうえに、自然景観・レジャースポット・歴史文化など、観光面での見どころは多岐にわたる。
豊かな自然と歴史的な見どころが詰まった「鋸山」、紅葉の名所として知られる「養老渓谷」など、自然豊かなスポットを安心して楽しめるのも嬉しいポイントだ。
また、新鮮な海産物、個性的な郷土料理といったグルメも魅力のひとつ。
千葉で人気の観光スポットを紹介していこう。
1. 東京ディズニーランド
“夢と魔法の王国”のキャッチコピーで愛される東京駅から電車で約15分の大型テーマパーク。
園内は以下の7つのテーマで構成されている。パレードなどのエンターテインメントも見逃せない。
とりわけ、光と音楽で夢の世界に誘ってくれる「東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード・ドリームライツ」は必見だ。

2. 鴨川シーワールド
千葉県鴨川市にある鴨川シーワールドは、「海の世界との出会い」をテーマに、約800種11,000点の海の動物や魚たちが飼育されている水族館テーマパーク。
自然環境を再現した生態展示とパフォーマンスにより生命のぬくもりや、生命を取り巻く環境の大切さを学ぶ場を提供している。

3. 成田山新勝寺
940年に寛朝大僧正によって開かれた歴史ある寺院で、平将門の乱の平定を祈願したことが由来。
本尊の不動明王は、真言宗の開祖、「弘法大師空海」が自ら祈りをこめて開眼された像。
参詣の際には大本堂内に上がり、「不動明王」にお参りすることができる。
歌舞伎役者の一族「市川家」により、不動明王が登場する芝居が行われ、庶民の信仰を集めた。

日本の豊かな自然と歴史を感じられる「四国地方」
本州の南西部に位置する「四国」は、瀬戸内海と太平洋に挟まれた日本の主要四島のひとつ。
愛媛県・香川県・高知県・徳島県の4県で構成されている。
ゆったりとした時間の中で、手つかずの自然と伝統が調和した個性的な特徴をそれぞれに持つ。
地域色の強い食文化、アクティビティ(登山・サイクリング・カヤック)、歴史のある温泉地など多彩な体験ができるのが魅力だ。
比較的コンパクトなので、四国を1周する旅行プランもお勧め。
四国の代表的なスポットを3つに絞って紹介していく。
1. 松山城
松山市のシンボルになっており、難攻不落の城としても名高い松山城。天守を含めて21もの重要文化財があり、天守や一ノ門、紫竹門といった見所も多い。天守の内部には、貴重な資料も展示されている。
格子窓形式の突揚げ戸や、狭間や石落といった難攻不落の工夫を見学するのも楽しい。
甲冑の試着や、火縄銃の体験コーナーなどもあり、写真撮影を楽しみながら歴史を体感できる。

2. 栗林公園
高松藩主松平家の別邸として、歴代藩主が修築を重ね300年近く前に完成した栗林公園。
平庭部の広さは、16ヘクタールととても大きいが、背景となっている紫雲山を含めた面積は、なんと約75ヘクタールにも及ぶ。国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中で、日本一の大きさを誇る。

3. 仁淀川
西日本最高峰の石鎚山を源とし、愛媛県と高知県を約124kmに渡って流れる四国三大河川のひとつ。
水質日本一に何度も選ばれ、リゾートの海辺を思わせるような高い透明度と、比類のない青さから「仁淀ブルー」と呼ばれ、その美しい景色をひと目見ようと多くの観光客が訪れている。

多彩なグルメと体験を楽しめる「九州地方」
「九州」は、本州の南西部に位置する日本の主要四島のひとつ。
北側は日本海・瀬戸内海、南側は東シナ海・太平洋に面しており、福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県の7県で構成されている。
自然の恵みと歴史文化の融合が九州の魅力だ。
例えば、火山地帯として有名な「阿蘇山」、活火山の「桜島」はスケールの大きさを感じさせるほか、「別府温泉」・「由布院温泉」といった日本有数の温泉地が多い。
港町の福岡・長崎に行くと、ご当地グルメやアクティビティ、史跡巡りなどを楽しめる。
ここでは、宮崎・熊本・福岡の人気観光スポットを1つずつ紹介しよう。
1. 高千穂峡
阿蘇山の噴火で流れ出した溶岩を五ヶ瀬川が数万年かけて浸食して出来たV字峡谷。
高いところで100m、平均80mにも達する断崖が7㎞に渡って続く景観は見事。国の名勝、天然記念物に指定されている。
最大の見どころは、落差17mの「真名井の滝」。日本の滝百選に選定されており、手漕ぎボートで近くまで行ける。

2. 熊本城
熊本城は、1607年に加藤清正が築いた名城。当時の最先端技術と労力を投じて作られており、以後、日本のさまざまな歴史の重要な舞台となった。
1877年の西南戦争の際に、天守は焼失したが、1960年に現在の姿に再建された。
その後、2016年の熊本地震で甚大な被害を受けたが、2021年3月に天守閣復旧が完了した。
その際、最新の制震技術を駆使、「復興のシンボル」と位置付けられた。

3. 太宰府天満宮
天神さま(菅原道真公)を祀る全国10,000社の総本宮。
菅原道真公は、無実ながら政略により京都から大宰府に左遷され、この地で亡くなった。
御本殿はその墓所の上に建立され、1100年以上の歴史の中で天神信仰の聖地として大切に守られてきた。
菅原道真公は学者・政治家・文人として活躍した類まれなる才能の持ち主であったことから、学問の神様として広く知られ、国内外から多くの受験生が参拝に訪れる。

絶景と独自の歴史文化を満喫できる「沖縄県」
日本列島の最南端、南西諸島の南半分を占める「沖縄」は、沖縄本島を中心に宮古諸島や八重山諸島など、大小160以上の島々で構成されている。
アジアの主要都市に近く、日本の南の玄関口として重要な役割も担う。
南国文化とゆっくり流れる島時間、エメラルドグリーンに輝く海が沖縄の魅力。
琉球王国の歴史が色濃く残る「首里城」周辺、日常に息づくエイサー・組踊といった伝統芸能の数々、温暖な気候を生かしたグルメをはじめ、見どころが盛りだくさん。
また、透明度が高い海でのマリンスポーツ・ダイビングは世界的にも有名で、他では味わえない体験ができる。
沖縄でお勧めの定番スポットを紹介しよう。
1. 沖縄美ら海水族館
「沖縄美ら海水族館」は、沖縄の海洋博公園内にある、人気の観光スポット。
建物4Fからエスカレーターで3Fへ降りたら水族館入口へ着く。2F・1Fへと海深くへ潜っていくような造りになっている。神秘に満ちた沖縄の生き物たちの雄大な世界が広がる。
水族館のメインスポットである巨大水槽「黒潮の海」では、世界最大の魚ジンベエザメや、世界初の繁殖に成功したナンヨウマンタが観察できる。

2. 首里城公園
首里城は、鮮やかな朱色に彩られた日本で唯一の赤い城であり、沖縄のシンボル的存在である。
かつて1429年から1879年までの450年間にわたり存在した「琉球王国」の政治、外交、文化の中心地として威容を誇った首里城。
那覇の町が見下ろせる小高い丘の上に立地し、曲線を描く城壁に取り囲まれている。

3. 那覇市国際通り商店街
那覇市の中心街にあり、沖縄を代表するメインストリート「那覇市国際通り商店街」。
那覇市最大の繁華街で、商業とエンタテインメントの中心地としても有名だ。「人に優しい街・歩いて楽しい街」がコンセプトで、「国際通り」と呼ばれ親しまれている。
約1.6kmの通りには、飲食店や土産物店をはじめ、デパートやカフェ、雑貨店、ホテルなど約600もの店舗が軒を連ね、国内外から訪れる多くの観光客で賑わっている。

熊と遭遇しないために実践したいポイント
熊は人と至近距離で出会うと、驚いて自分の身を守るために攻撃を仕掛けてくる場合がある。
そのため、普段から熊と至近距離で出会わないような対策を講じておくことが重要だ。
ここでは、実践しやすい4つの行動を紹介するのでぜひ参考にしてほしい。
人の気配を熊が感じられるように音を出しながら行動する
熊は基本的に人間を避ける習性があるうえ、聴覚や嗅覚が非常に優れている。
人間の気配を音・匂いで察知すると、通常は危険を感じてその場から離れるので、自分の存在を知らせるために音を出しながらの行動が有効だ。
熊に気づいてもらい、お互いに不意の接近を防ぐことが事故回避につながる。
具体的な方法は以下の通り。
特に曲がり角、視界の悪いエリアでは強く心掛けてほしい。
- 熊鈴や電子ホイッスルを装備し、歩行中は常に音が出るようにする
- まとまって行動して体を大きく見せる(単独行動は非推奨)
- 人を呼ぶくらいの大きさの声を出して歩く(拍手も効果的)
- 近距離で熊を見た時はと大きめに声を出し、こちらの存在を気づかせる

朝と夕方を避けて行動する
熊は薄明薄暮性と呼ばれる性質を持ち、明け方(4時〜8時頃)と夕暮れ時(17時〜20時頃)に最も活動が活発になる。
この時間帯は餌を探して人里近くに下りてくる可能性が高く、山間部や川沿い、農地などで遭遇リスクが高まる。
そのため、同時間帯の行動はできるだけ控えた方が良い。
やむを得ず必要な場合は、危険を避けるために十分な対策を講じよう。

熊の痕跡を見つけたら引き返す
山中などで以下のような痕跡を見つけたら、その付近に熊がいる確率が高い。
自分の存在を熊に知らせて距離を取りつつ、迷わずに安全な場所へ引き返そう。
- 足跡
- 5本の指がはっきりと見られ、前足は丸く肉球が大きく、後足は縦長でかかとまでつくのが特徴。
- 糞
-
握りこぶし1〜2つ以上の大きな塊で、食べたもの(果実の種子・植物の繊維など)が消化せずにそのまま排出されるため、臭いはそれほど強くないのが特徴
※悪臭の場合は熊以外の糞である可能性が高い。 - 爪痕・角の研ぎ跡
-
木の幹・樹皮に対して平行な筋の傷が複数つくのが特徴。
※樹皮を剥ぎ取った跡(熊ハギ)、幹に体をこすりつけた毛の付着も痕跡として有名。
熊を誘引しない環境を作る
キャンプは熊と遭遇する可能性が高いシチュエーションのひとつ。
もし熊出没地域でキャンプを予定している場合は、以下のような熊を引き寄せない工夫をしよう。
- 食料・ゴミの管理を徹底
-
・食料や生ゴミは密閉容器に収納し、テント内に置かない
・食事後、帰宅時は周囲をきれいに掃除し、匂いを残さない
・ゴミは放置せず、決められた場所に捨てるか持ち帰る
・釣った魚を放置しない - 人工的な香りを発しない
-
・香水、柔軟剤、強い匂いの洗剤などの使用を避ける
※嗅覚に優れる熊が香りを餌と勘違いする - テント内で調理・食事をしない
-
・テントと炊事場は100m程度距離を確保するのが望ましい
・匂いが風下に流れにくいように配置を考慮 - キャンプ場の安全装備を確認
- ・熊除けの電気柵やフェンスがある施設を選ぶ
【シチュエーション別】熊に遭遇した時の対応
上述の通り、熊の出没件数が近年大幅に増え、人間の生活圏や観光地での目撃情報も頻繁に聞くようになった。
事前の安全対策は非常に重要だが、一方で熊出没地域ではいつ、どこで熊と遭遇するかわからない。
自分の身を守り、被害を避けるために知っておきたい、熊と遭遇した時の適切な対応をシチュエーション別に紹介していく。
遠くに熊がいることに気がついた場合
遠くに熊を見つけたら、慌てずにその場から静かに離れることが最も重要。
熊がこちらに気づいていない場合は、音を出して自分の存在を知らせる。
熊の反応を確認しながら背を向けず、一定の距離を保ちつつゆっくりと後退してほしい。
この時、急に大声を出す・走ってしまうと、熊が驚いて想定外の行動に出る恐れがあるので注意が必要だ。

近くに熊がいることに気がついた場合
近距離で熊に気づいた時は、まずは落ち着いて状況を把握することが最も重要。
熊は追走対象を追う傾向があるため、背を向ける・走って逃げるといった行動は避け、熊の目を見ながらゆっくりと後退して距離を取る。
静かに声をかけるなど自分の存在を継続的に知らせつつ、急な動作をせずに冷静に安全な場所へ移動しよう。
熊がこちらに向かってきても、威嚇突進(ブラフチャージ)の可能性が考えられるので慌てないように。
万が一、攻撃されそうな場合は地面に伏せて、顔・首の後ろを両手で守り、防御姿勢を構える。

至近距離で突発的に遭遇した場合
至近距離で突発的に熊と遭遇した時は、熊が過激な反応をみせる可能性が高く、攻撃への完全な対処法はない。
顔面・頭部などを上腕で引っ掻く・噛み付くといった行動が多いため、直ちにうつ伏せになり、両手で顔面や頭部を覆って守備体勢をとるのが重要だ。
攻撃を受けるのは覚悟のうえで、致命的なダメージを最小限にとどめるように意識しよう。
また、多くのケースでリュックサックがプロテクターの代わりになるほか、熊撃退スプレーを噴射すれば最悪の事態を避けやすい。

親子グマと遭遇した場合
親子グマと遭遇した場合は、背を向けずに速やかにその場から離れるのが最優先。
母グマは子グマを守ろうと非常に神経質で警戒心が強く、攻撃的な行動をとりやすいのでより一層の注意が必要だ。
子グマだけ見つけても、近くに母グマがいることがほとんどで、不用意に近づくと突進してくる恐れがある。
状況によっては被害を抑えるために、周囲の人たちにも共有しつつ安全圏へ移動しよう。

持っておきたい熊対策アイテム
最後に熊対策アイテムを紹介しよう。
これらを持っておくと、熊との遭遇リスクを軽減でき、熊と遭遇した時も被害を回避する確率が高まる。
入手は容易なので特に山・自然豊かな地域に行く予定がある方は安全確保のため、自分に合ったアイテムの購入をお勧めしたい。
音を出して熊に人の存在を知らせる「熊鈴」
「熊鈴」は、登山やキャンプなどで人間の存在を熊に知らせるためのグッズ。
リュックサック、ベルトにぶら下げて歩くと歩行に応じて音が出て、熊と不意に遭遇するリスクを軽減できる。
特に視界が悪い場所(曲がり角・藪の中)、足音が聞こえにくい場所(沢沿い・落ち葉が積もった林床)、単独行動時に効果的だ。
ただし、風向き・地形・時間帯の影響を受けやすいので、他グッズとの併用がお勧め。
登山用品店、アウトドアショップ(モンベル・ヘリーハンセン)、家電量販店(ヨドバシカメラ)、オンラインショップ(アマゾン)をはじめ、様々な場所で購入可能。

熊鈴と併用したい「携帯ラジオ」
「携帯ラジオ」は、熊鈴と同じように人間の存在を熊に知らせるためのグッズ。
熊は周波数の音を嫌う傾向を持ち、ラジオを流しながら歩くことで熊への警告音になるとされている。
また、ラジオは天候・災害情報をリアルタイムに得られる便利な情報収集ツールであり、リスクの高い環境での安全対策に役立つ。
特に山岳地帯、電波の届きにくい場所での登山やキャンプ時に使うと効果的だ。
家電量販店、オンラインショップ、アウトドアショップで購入できる。

大きな音で熊を遠ざける「電子ホイッスル・ベアホーン」
「電子ホイッスル・ベアホーン」は、瞬時に大きな音を出すことができ、熊に威嚇効果をもたらすグッズ。
電子ホイッスルは軽量で耐候性があり、ボタンひとつで繰り返し音を鳴らせるので、視界不良の藪地や沢沿いといった自然音が大きい場所での使用に向いている。
ベアホーンは高圧ガスを使い最大130デシベルもの大音量を出し、遠方まで音が届くため、熊と出会う前に退避させる効果がある。
どちらも主目的は”音で熊に人間の存在を知らせて不意の遭遇を減らす”であり、音の使い方には注意が必要だ。
熊鈴と同様に、登山用品店、アウトドアショップ、オンラインショップなどで購入可能。

至近距離で熊に出会った時に使用する「熊撃退スプレー」
「熊撃退スプレー」は、熊に強い刺激を与えて視界・行動を妨げ、攻撃の抑止を目的としたグッズ。
主成分に唐辛子由来のカプサイシンを含み、熊(目・鼻・のど)に向かって噴射すると、一時的に痛覚や熱覚を引き起こして、逃げる時間と距離を確保できる。
熊の活動が活発になる時間帯の移動、熊と近距離での遭遇時、逃げ場のない緊急時に役に立つ。
ただ、事前に使用手順を覚えたうえで適切な携行が必須、公共機関への持ち込みは基本的に禁止なので気をつけてほしい。
登山用品店、アウトドアショップ、オンラインショップのほか、防犯用品専門店で購入可能。

日本の熊に関するよくある質問
Q
日本で熊に遭遇したらどうすればいい?
冷静さを保ち、熊を視界に入れつつ背を向けず、ゆっくりと後退して距離を取ることが基本です。走って逃げる、大声を出すのは避けましょう。
Q
日本のどこに熊は生息しているの?
北海道ではほぼ全域にヒグマが、本州・四国地方では山岳地帯を中心にツキノワグマが生息しています。※九州地方・沖縄にはいません
Q
市街地や観光地にも熊は出没するの?
近年、北海道や東北地方を中心に熊の市街地への出没件数、目撃情報が増えています。熊が人間を襲うとは限りませんが十分な警戒が必要です。
Q
東京にも熊は出没するの?
八王子市・青梅市・奥多摩町・高尾山周辺など、東京都西部の山間部や住宅地近くで熊の出没が確認されています。
Q
大阪にも熊は出没するの?
大阪府では恒常的な熊の生息は確認されていません。ただ、近隣府県からの個体群が一時的に侵入するケースが増えており、警戒レベルが上がっています。
まとめ
この記事では、日本での熊の出没件数・被害状況から、知っておきたい熊対策、撃退グッズまで網羅的に紹介してきた。
近年、熊の出没が多く、遭遇リスクが高いのは事実だが、行政および各地の自治体を中心に様々な対応措置が進められている。
正確な知識と装備を整え現地のルールや注意喚起を守れば、必要以上に恐れなくて大丈夫だ。
充分な対策をしたうえで、観光を楽しんでほしい。



